米Dellは6月末に、女性起業家を支援する年次イベント「Dell Women’s Entrepreneur Network(DWEN) Summit 2016」を開催した。今年の開催地は、南アフリカ・ケープタウン。日本からの参加者2人を含む約150人の女性起業家が世界から集まり、ビジネスの成長についてそれぞれの立場から議論を交わした。
女性の起業家が男性を上回る南アフリカ
Dellが毎年開催するDWEN、これまで中国、インド、ブラジル、トルコ、米国、ドイツなどで開催されたが、今年はついにアフリカ大陸に足を踏み入れた。アフリカを選んだ理由に、成長市場であること、起業家に占める女性が多く、経済貢献にとっても大きな役割を果たしていることがあったという。アフリカでの女性の起業は数の面で男性を上回っている。
南アフリカの中小企業省Lindiwe Zulu大臣
民族音楽とともに幕を開けたオープニングでは、南アフリカの中小企業省Lindiwe Zulu大臣が登場し、南アフリカにおける女性、経済におけるスタートアップとSMBの重要性を語った。
ネルソン・マンデラ政権により民主主義国家となったのが1994年、それから全ての面で見直しが進められた。人種差別(アパルトヘイト)の撤廃が有名だが、女性差別もあった。黒人だけではない。「女性すべてが経済成長に貢献できるとみなされていなかった」とZulu氏は説明した。南アはアフリカ大陸で第2の経済を誇るが、経済成長を国家として進める中で、起業家とSMBは重要だった。そこで、2年前にZulu氏の中小企業省が新設される。
政策としては、政府の調達でSMB、中でも女性と障害者から調達する比率を定めていること、自国の製品やサービスの消費を奨励していることなどを挙げた。
国連財団グローバルアントレプレナーカウンシル会長のAshish Thakkar氏。自身も15歳で起業した起業家
次に登場したのは、国連財団でグローバルアントレプレナーカウンシルの会長を務めるAshish L. Thakkar氏。アフリカ全域で複合企業のMara Groupをたちあげた。非営利団体Mara Foundationの創業者でもある。
Thakkar氏は英国生まれだが、少年のときにルワンダで発生した虐殺を経験し、わずか15歳にしてウガンダでITビジネスを立ち上げた。資本金はローンで得た5000ドル。起業は成功しMara Group立ち上げに至る。
Mara Groupは現在、アフリカ25カ国でIT、金融、不動産などさまざまな事業を展開している。中でも、自身が資金調達で苦労したことから、Atlas Maraはアフリカの起業家の最大の障害である資本へのアクセスを解消するために立ち上げた金融事業だ。起業家のアプリ「Mara Mentor」はネットワークを目的としたもので、アドバイスを受けたり助け合うことができる。
「若い起業家をエネーブル、エンパワー、インスパイアするツールやプラットフォームを作る」とAshish氏は自身のライフワークを表現した。同時に、集まった起業家に向けて「起業家精神とは継続的な進化、ジャーニーであり、目的地ではない」もアドバイスした。