前回は、2020年以降(ポスト五輪)の労働人口社会におけるデジタル技術による人事領域の変革の可能性を指摘した。人事の領域において特に変革が期待されているテーマのひとつが日本人の働き方である。
デロイト トーマツ コンサルティングのワークスタイル実態調査の結果として、すでにご紹介した通り、企業におけるワークスタイル変革への注目度は上昇傾向にあるものの、高まる関心とは対照的に「様子見」の姿勢を構える企業が多いのが実情だ。
ワークスタイル変革がなかなか進まない要因に、人事労務に関する懸念を挙げた企業の回答が最も多く、時間や業務の管理に加え人材の評価が難しさを感じているようだ(図1)。これは、皆が同じ「場所」「時間」で仕事をすることで成立していた従来の働き方の変革が不可避であることを意味している。
図1:ワークスタイル変革に関する懸念
難題に取り組むだけの価値がワークスタイル変革にあるのか。本調査の2013年度との比較において、ワークスタイル変革の目的として「多様な人材の維持・獲得」や「イノベーションの創出」、「コミュニケーションの活性化」と回答した割合が増加していた(図2)。ワークスタイル変革を実現することで、コミュニケーションの量と質を高めることでイノベーションを生み出し、成長の加速につなげようとする企業の姿が見て取れる。
図2:ワークスタイル変革の目的