Amazon Web Services(AWS)は将来、エンタープライズシステムの3倍の効率を持つサーバ130万台と、空間を効率よく利用し、利益率が約20%高いデータセンターを保有するようになる可能性が高いという。
この極めて楽観的な予想は、米国の投資銀行Oppenheimerの調査レポートに記載されていたもので、同社はAmazonの目標株価を930ドルに引き上げた。
Oppenheimerのアナリストチームが公表したレポートの大部分は、AWS事業の分析と、AWS事業が今後Amazonの業績にどう貢献するかに割かれている。同アナリストチームは、AmazonのEコマース事業の拡大計画についても楽観的な見通しを示しているが、現実的には、Amazonの利益の大部分は、AWSが生み出している。
Oppenheimerの結論を一言で言えば、AWSの資本支出は一般に予想されているほど高くはならないということだ。これはなぜだろうか。同社は、「AWSの競争上の優位性は、データセンターの調達、設計、計画にあり、同社の持っている計算資源およびストレージ資源は、従来の予想よりも収益性の上昇と、資本集約度の低下を促進する」と述べている。
これらのことに加え、AWSのデータセンターは、床面積が10万平方フィート(9290平方メートル)増えるごとにかかる経費は約3億7600万ドルにすぎず、20%以上の利益を生み出す。
このAWSの効率性の高さ(ほかのクラウドプロバイダーも同様である可能性が高い)は、規模の弾み車効果を生み出す。Oppenheimerのアナリストチームは、次のように述べている。
インターネットプロバイダーおよび大手クラウドプロバイダーが持つコンピューティング能力は、全世界のコンピューティング能力の45%に相当すると考えられる。この数字は5年以内に65%に近づき、世界的なコンピューティング能力との比率の観点では、定常状態に達すると予想される。
実際、Oppenheimerは、AWSと「Microsoft Azure」を合算すると、サーバの設置台数は2020年までに世界全体の12.6%を占めるようになると予想している。これにIBMやGoogleも加えれば、今後どんな状況になるかは明らかだろう。サーバメーカーは、製品のほとんどを数社の大規模な買い手に販売することになる。