Red Hat Enterprise Linux(RHEL)6.8がリリースされた。エンタープライズ向けLinuxディストリビューションはいろいろあるが、Fortune 500企業の多くがRHELを採用している。それには相応の理由がある。RHELの特長は、トップクラスのLinuxディストリビューションであるだけでなく、優れたRHELサポートプログラムが提供されていることだろう。
毎回のことだが、RHEL 6.xシリーズには、数多くの小さな改善が施されている。RHEL 6.8のベースイメージは、従来のワークロードをコンテナベースのアプリケーションに移行しやすいように変更された。
RHEL 6.8では、VPNのセキュリティを強化するため、広く利用されているIPSecの実装であるlibreswanに移行している。
また、ID管理システムである「System Security Services Daemon」(SSSD)に新機能が追加されたことで、クライアントサイドの性能が向上し、管理も簡単になった。クライアント側でキャッシュされた認証ルックアップを使用することにより、Active Directory(AD)サーバとの不必要なユーザー認証情報の交換が減少し、ログインも高速化されている。さらに、AD管理ツールである「adcli」がサポートされたことで、ADドメインの管理が簡単になった。また、SSSDではスマートカードによるユーザー認証がサポートされた。
ローカルバックアップを利用しているユーザーにも朗報がある。今回のバージョンから、「Relax-and-Recover」が同梱されることになった。Relax-and-Recoverは、非常に使いやすいベアメタルシステム用アーカイブツールだ。このツールは、珍しく、本当にセットアップしたら後は放置しておいて構わないバックアップシステムだと言える。筆者自身これを使ってみて、実際にうまくいくことを確認している。
今回のRHELでは、パッケージ管理ツール「yum」も強化されている。この強化によって、パッケージのインストールが簡単になるのと同時に、新しいプラットフォーム機能を追加するのに必要なパッケージの発見プロセスが改善される。これはUbuntuのsnapのようなパッケージシステムとは異なるものの、機能的には同じ方向に一歩進んでいる。
ストレージ関連では、「dmstats」を使ってストレージの利用状況とパフォーマンスを可視化できるようになった。それに加え、RHELの「Scalable File System Add-on」で、300テラバイトまでのXFSファイルシステムがサポートされるようになった。
今回のリリースで、RHEL 6は運用フェーズ2に入った。このフェーズでは、イノベーションよりも重要なプラットフォームのためのセキュリティ機能の強化が優先されるようになる。最新の機能を重視するのであれば、RHEL 7.2の利用を検討するのがよいだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。