「Red Hat Enterprise Linux 6.8」がリリース

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-05-13 10:41

 Red Hat Enterprise Linux(RHEL)6.8がリリースされた。エンタープライズ向けLinuxディストリビューションはいろいろあるが、Fortune 500企業の多くがRHELを採用している。それには相応の理由がある。RHELの特長は、トップクラスのLinuxディストリビューションであるだけでなく、優れたRHELサポートプログラムが提供されていることだろう。

 毎回のことだが、RHEL 6.xシリーズには、数多くの小さな改善が施されている。RHEL 6.8のベースイメージは、従来のワークロードをコンテナベースのアプリケーションに移行しやすいように変更された。

 RHEL 6.8では、VPNのセキュリティを強化するため、広く利用されているIPSecの実装であるlibreswanに移行している。

 また、ID管理システムである「System Security Services Daemon」(SSSD)に新機能が追加されたことで、クライアントサイドの性能が向上し、管理も簡単になった。クライアント側でキャッシュされた認証ルックアップを使用することにより、Active Directory(AD)サーバとの不必要なユーザー認証情報の交換が減少し、ログインも高速化されている。さらに、AD管理ツールである「adcli」がサポートされたことで、ADドメインの管理が簡単になった。また、SSSDではスマートカードによるユーザー認証がサポートされた。

 ローカルバックアップを利用しているユーザーにも朗報がある。今回のバージョンから、「Relax-and-Recover」が同梱されることになった。Relax-and-Recoverは、非常に使いやすいベアメタルシステム用アーカイブツールだ。このツールは、珍しく、本当にセットアップしたら後は放置しておいて構わないバックアップシステムだと言える。筆者自身これを使ってみて、実際にうまくいくことを確認している。

 今回のRHELでは、パッケージ管理ツール「yum」も強化されている。この強化によって、パッケージのインストールが簡単になるのと同時に、新しいプラットフォーム機能を追加するのに必要なパッケージの発見プロセスが改善される。これはUbuntuのsnapのようなパッケージシステムとは異なるものの、機能的には同じ方向に一歩進んでいる。

 ストレージ関連では、「dmstats」を使ってストレージの利用状況とパフォーマンスを可視化できるようになった。それに加え、RHELの「Scalable File System Add-on」で、300テラバイトまでのXFSファイルシステムがサポートされるようになった。

 今回のリリースで、RHEL 6は運用フェーズ2に入った。このフェーズでは、イノベーションよりも重要なプラットフォームのためのセキュリティ機能の強化が優先されるようになる。最新の機能を重視するのであれば、RHEL 7.2の利用を検討するのがよいだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  3. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]