Facebookは米国時間11月3日、同社の人工知能研究の進展について明らかにした。写真中の物体の認識、自然言語による理解と画像認識の結びつけ、自動計画と予測学習の応用などの分野で前進したという。
この内容は、Facebookの最高技術責任者(CTO)Mike Schroepfer氏のブログ記事で説明されている。これらの成果は、ダブリンで開催されたウェブサミットでも発表された。
- TechRepublic Japan関連記事
- IBM「Watson」でサービス改善に取り組む企業5選--獣医の診察支援など
- JAL、IoTと人工知能で従業員満足度を向上--仮説の設定と検証を自動化
Facebook AI Research(FAIR)はこの数年、機械学習の改善に取り組んできた。当初重点が置かれたのは、ユーザーの写真に応用することを目的とした画像検索アルゴリズムだ。このAIの知識は、同社のバーチャルリアリティへの取り組みへの道も開いた。
GoogleやFacebook、IBMなどのAIに関する取り組みを組み合わせることで、認識力を持つマシンの実現にも近づけるかもしれない。
Facebookの最新の成果で強調されているのは次の点だ。
- コンピュータの物体認識能力の学習プロセスが改善された。FAIRは機械が写真内のオブジェクトを識別できるように学習する作業を10倍少ないトレーニング量で30%高速に行えるシステムについての論文を12月に発表する。
- 物体認識と自然言語処理を組み合わせることで、人間が機械に写真に何が写っているかを尋ねられるようにした。
- 人間の監督なしでの学習と予測。機械は学習による推論ができるようになってきている。
- 計画の立案。FAIRは囲碁を打てるボットを作成した。
この4つの項目について評価するとすれば、最初の2つはFacebookにすぐにメリットをもたらすだろうが、残りの2つはさらなる研究開発が必要で、より幅広いコグニティブコンピューティング競争への道を開くものと言えるだろう。
考えてみるべきポイントをいくつか挙げてみよう。
AIの学習時間は、大きな障害になっている。Facebookの学習時間を短縮する研究は、非常に価値のある取り組みだ。もっとも重要なのは、学習時間を短縮する研究だろう。機械がデータを取り込み、そこから学習するには時間がかかる。エンタープライズ環境では、システムを実装してから数カ月経ってもまだ学習しているということも十分に起こりうる。
またFAIRのチームは、開発したシステムは90%の確率で正しく予測を行うと述べている。この打率は、ほとんどの人間よりもよく、気象予報や経済データの予測の分野で幅広い可能性がある。
予測と自動計画は、この分野における至高の目標であり、究極的には、人類にとって、もっとも恐るべき技術でもあるとも言える。Schroepfer氏はFacebookのEngineering Blogで、予測と自動計画のためのモデル構築は難しい課題だと述べている。同氏は次のように述べている。
またわれわれは、さらに大きく、長期的なAIの課題にも取り組んでいる。その中には、教師なしの予測学習が含まれる。これは、システムが(教師あり学習と呼ばれる、人間による直接的な指示を通じての学習ではなく)観察を通じて学習し、その後その観察を元に予測を始めるというものだ。これは、人間が自然に行っていることであり(例えば、ペンを机から押し出すと地面に落ちるということを学ぶのに、大学に行く人はいない)、人間の学習のほとんどは、この方法で行われる。しかしコンピュータにはまだこれができない。われわれのコンピュータビジョンと自然言語理解の研究は、依然として教師あり学習によって進められている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。