「WindowsとOfficeの会社」からクラウドプレーヤーとしての認識強まる--GoAzure 2015

岡田靖

2015-01-29 07:30

 日本マイクロソフトとMicrosoft AzureユーザーコミュニティJAZUG(Japan Azure User Group)は1月16日、Azureコミュニティイベント「GoAzure 2015/GoAzure for Enterprise Customer」を都内で開催した。

 米MicrosoftのPrincipal Program Manager、Scott Hanselman氏と、日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長の澤円氏による基調講演のダイジェストを紹介する。


冒頭にはJAZUGメンバーが挨拶を行った。ちなみにJAZUGには国内9カ所の支部および「女子部」の各グループがあるとのこと。

「Makes you even more valuable to your business」

 Hanselman氏は基調講演の第1部「Develop your superpower with the Cloud」に登壇、「クラウドはスーパーパワーを与えてくれる。7歳になる私の息子はMinecraftで遊んでいて、何でもできるスーパーパワーを身に付けたように感じるという。私はAzureで同じように感じる。それはワクワク感、幸福感だ」と語り、AzureおよびVisual Studio 2015のフレームワーク「ASP.NET.5」についてデモを交えつつ紹介した。


米MicrosoftのPrincipal Program Manager、Scott Hanselman氏

 同氏は、「なぜクラウド?」として、「迅速かつ容易な配置」「伸縮自在な能力」「使用量に応じた料金」「新しいビジネスシナリオの可能性」の4つのポイントを挙げた。これらのポイントは、エンジニアたちにとっても大きな可能性をもたらすという。

 「クラウドにおいては人材が重要なものとなり、クラウドはその人たちにパワーを与える。ビジネスにおいて、あなた自身をより価値のあるエンジニアにするのだ」(Hanselman氏)

 具体的には、Azure全体の規模はGoogleの6倍、Amazon Web Servicesの2倍と巨大で、世界19のリージョンに展開、それぞれの間でインテリジェントなカスタマールーティングが利用できる。パブリックラウドでは最も大きなVMを使うことができ、大きなワークロードにも対応する。

 ちなみに最大のVM「Gファミリ」は、「GodzillaのG」とのことで、CPU最大32コア、RAM450GB、ローカルSSD6.5TBという仕様。各リージョンのVM立ち上げや、それぞれのスケールはユーザーが自由に設定でき、リージョンごとにオートスケールを設定することも可能となっている。

 デモでは、新たにJapan EastリージョンでVMを立ち上げ、Hanselman氏が開発したウェブアプリケーションを展開、その場で実行するという内容。同氏は半ばスタートアップのように、半ば趣味としてサイトを幾つも立ち上げていて、その1つに口述筆記機能を提供するサイトがある。このサイトをJapan Eastリージョンで展開、即座にサイトへアクセスし、スマートフォンのマイクから音声を吹き込んでテキスト化する様子を実演した。

 「かつて自分はロードバランスやスケールアウトなどのテクノロジを扱っていて、それで経歴書の1ページは費やすほどだった。しかしAzureのおかげで全く不要になってしまい、ちょっと悲しい(笑)」とHanselman氏は語る。

 このように、過去に学んだ内容が不要になる場面は、開発環境でも繰り返し見られた。マイクロソフトのASP(Active Server Pages)について、同氏は次のように説明する。

 「1996年に登場したのが最初のASP“クラシックASP”。2002年には『ASP.NET』が登場し、『今まで学んだことは忘れていいよ』となった。2008年にも、同じようなことがあった。しかし、2014年のASP.NET.5では、そうはならなかった。マイカーにハイブリッドエンジンを積んだような感じになっていて、過去のASPの問題を乗り越えることができる」(Hanselman氏)

 最新の.NETでは、これまで通りWindowsローカルの「.NET Framework」のほか、MacやLinuxでも使える軽量な「.NET Core」の、2つのフレームワークが利用できる。

 「.NET Coreはクラウドに最適化されたフレームワークで、ハイブリッドエンジンのような存在だ。フルキットのフレームワークでなく、必要なコンポーネントだけ選んで使うようになっており、小さなウェブアプリケーションを軽く作ることができる。開発者自身のコンパイラでライブラリをコンポーネント化してアプリケーションに持たせることができ、ASP.NETのないPCでも使える。いろいろなバージョンを共存させたり、USBメモリなどローカルにパブリッシュすることも可能」とHanselman氏は解説。

 実際に観客の1人からPCを借りて、USBメモリから(その端末にインストールされていないバージョンの).NETフレームワークを使ったプログラムを起動させるデモを行った。

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