OracleのMySQLに対する扱いを非難するのはそろそろやめるべき時期に来ている。最近数年間を見ても、MySQLは衰退しているとはとても言えない状況にある。Perconaの最高経営責任者(CEO)であるPeter Zaitsev氏によれば、実際のところ、MySQLはOracleの管理下でよくなってきているという。
サポート、コンサルティング、トレーニングを含むMySQL関連のサービスを提供しているPerconaは、MySQLの元スタッフによって2006年に設立された。

Peter Zaitsev氏
提供:Percona
その2年後、MySQLは10億ドルでSun Microsystemsに買収され、その後2010年に、Sun MicrosystemsもOracleに74億ドルで買収された。その頃までに、MySQLを最初に作った開発者たちの一部はすでに同社を離れ、MariaDBをフォークさせた。
OracleがMySQLを買収してからは、事あるたびにOracleがこのプロジェクトにどのような意図を持っているかが取りざたされている。セキュリティを例に取って、重大なバグ修正への対応が遅くなり、脆弱性や重要なパッチの更新に関する情報も少なくなったと批判する人もいる。
Zaitsev氏は、「MySQLコミュニティは現在、興味深い状況にある。OracleがMySQLを買収してからは、同社がMySQLを死に体にしようとしているという疑惑が常に流れていたからだ」と話す。
「われわれはその問題について5年間ほど観察し続けているが、OracleがMySQLに多くのリソースを割いているのは確かだ。私から見れば、同社が行ってきた修正や、同社の取り組みは、買収以前のものよりもずっと質が高い」(Zaitsev氏)
Zaitsev氏は、MySQLの現在のエンジニアリング的な方向性を気に入っているいう。同氏はその方向性を、MySQLを最近のアプリケーションで使うのに適したものにするためのものだと説明する。
「以前は、MySQLはすべてのことをやろうとしており、率直に言ってそれには、品質的な問題が多くあった。現在は、この瞬間にMySQLを使って最近のアプリケーションに取り組んでいる人たちに焦点を当てている。では、そういう人たちが必要としているのは何だろうか?それらの人たちは、必ずしもJavaでストアドプロシージャを書いたりしない。とにかく、そういうことやらないんだ」と同氏は言う。
「彼らはほかのものを必要としている。メンテナンスや統合がしやすくなくてはならず、OpenStackのようなものでは、非常に高速にクエリを行える必要があり、マルチコアにも対応する必要がある。それこそ、Oracleの方針の下でMySQLが過去数年間取り組んできたことだ」(Zaitsev氏)
DB-Enginesのランキングによれば、MySQLは現在使われているデータベースの中で2番目に人気があり、オープンソースのウェブ開発スタックであるLAMP(Linux、Apache HTTPサーバ、MySQL、PHP)の重要な要素でもある。
データベース管理システム人気ランキングトップ10(2014年11月)
(情報元:DB-Engines)
- Oracle
- MySQL
- Microsoft SQL Server
- PostgreSQL
- MongoDB
- IBM DB2
- Microsoft Access
- SQLite
- Cassandra
- Sybase ASE
Zaitsev氏によれば、Oracleを批判する人が多い理由は、MySQLとOracleの歴史的な関係性にあるという。
「私は以前MySQLの仕事をしていたが、Oracleは明確にわれわれの宿敵だった。われわれはOracleの人間を追い落とし、主要なデータベースとしてのOracleの地位を奪おうとしていた。それが、Oracleに対するメッセージだったんだ。ところが、現実に起こったのは、その敵と結婚しなければならないということだった」と同氏は言う。