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黎明期のコンピュータ復元プロジェクト8選--機械式計算機やアナログコンピュータも

Nick Heath (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-11-14 07:00

 Konrad Zuse氏という名前や、世界最初のコンピュータの1つを作り上げた際の同氏の役割はあまり世に知られていないとはいえ、コンピューティングの歴史は失われていない。

 情報化時代の扉を開いたコンピュータの収集、復元に情熱を傾けている人々が世界中にいる。

 英国のComputer Conservation Society(コンピュータ保存協会)は、コンピュータの保存に貢献したプロジェクトを対象とする第2回「Tony Sale Award for Computer Conservation and Restoration」の受賞候補として、8つのプロジェクトをノミネートしていた。そして現地時間11月8日、ロンドンで受賞者が発表された。

 本記事では、受賞候補に挙がっていた8つのプロジェクトと、復元によって息を吹き返した当時のマシンを紹介する。

IBM 1401--カリフォルニア州のコンピュータ歴史博物館(Computer History Museum)所蔵

 1960年代の半ば、世界のコンピュータの半数近くは「IBM 1400」シリーズをベースにしていたと言われている。

 「IBM 1401」は、初期のトランジスタ製コンピュータの皮切りとして世に出た製品であり、大昔のコンピュータにつきものの、野獣のような威圧感を持っている。演算処理装置の横幅は大型の戸棚ほどもあり、その内部には現代のプロセッサで顕微鏡サイズに縮小されているものと同等の機能を有した、50万個近くにのぼる専用の電子部品が収納されていた。この装置と周辺機器は50Hz電源で稼働し、それらの消費電力は1万2000ワットにもなった。

 コンピュータ歴史博物館が復元したIBM 1401はドイツから送られてきたものであり、3000枚のプリント基板を収納した中央処理装置と、機械式のカードリーダー/カードパンチ機、油圧制御機構を使用したチェーン式ラインプリンタ、バキュームカラムを装備したオープンリールの磁気テープ装置6台のほか、さらに時代を遡るパンチカード機もあった。

 50年以上前のコンピュータに息を吹き込むというのは、Sinclair Researchが30年以上前に英国で発売を開始した「ZX Spectrum」(編集部注:当時、英国で爆発的な人気を誇ったホームコンピュータ)のほこりを払う以上に大変な作業である。復元を担当したチームは、大量のさびという問題に直面した。こういったさびは可動部品の表面を腐食させるだけでなく、トランジスタにも及んでいた(当時のゲルマニウムトランジスタやクリスタルダイオードの合金接合面には鉄が使用されていたのだ)。

 チームはIBM 1401向けに用意された一連の診断命令を1つずつ実行するというデバッグ作業に数カ月を費やし、装置内の3000枚の基板に潜んでいた130カ所の不良を特定、修理した。また同博物館は、IBM 1401の磁気テープ制御ユニットをデバッグするために、「IBM 729」という磁気テープ装置の駆動部品を取り外し、アナログ/PC制御のハードウェアエミュレータとして機能する専用の磁気テープ装置を組み立てた。

 同博物館はその後、家族経営の会社で1995年まで稼働し続けていたIBM 1401も入手し、2台目として完動させるところにまで復元した。これらのマシンが故障停止するまでの期間は数カ月にも及んだという。

 このプロジェクトは第2回Tony Sale Awardで共同受賞の栄冠に輝いている。

 Konrad Zuse氏という名前や、世界最初のコンピュータの1つを作り上げた際の同氏の役割はあまり世に知られていないとはいえ、コンピューティングの歴史は失われていない。

 情報化時代の扉を開いたコンピュータの収集、復元に情熱を傾けている人々が世界中にいる。

 英国のComputer Conservation Society(コンピュータ保存協会)は、コンピュータの保存に貢献したプロジェクトを対象とする第2回「Tony Sale Award for Computer Conservation and Restoration」の受賞候補として、8つのプロジェクトをノミネートしていた。そして現地時間11月8日、ロンドンで受賞者が発表された

 本記事では、受賞候補に挙がっていた8つのプロジェクトと、復元によって息を吹き返した当時のマシンを紹介する。

IBM 1401--カリフォルニア州のコンピュータ歴史博物館(Computer History Museum)所蔵

 1960年代の半ば、世界のコンピュータの半数近くは「IBM 1400」シリーズをベースにしていたと言われている。

 「IBM 1401」は、初期のトランジスタ製コンピュータの皮切りとして世に出た製品であり、大昔のコンピュータにつきものの、野獣のような威圧感を持っている。演算処理装置の横幅は大型の戸棚ほどもあり、その内部には現代のプロセッサで顕微鏡サイズに縮小されているものと同等の機能を有した、50万個近くにのぼる専用の電子部品が収納されていた。この装置と周辺機器は50Hz電源で稼働し、それらの消費電力は1万2000ワットにもなった。

 コンピュータ歴史博物館が復元したIBM 1401はドイツから送られてきたものであり、3000枚のプリント基板を収納した中央処理装置と、機械式のカードリーダー/カードパンチ機、油圧制御機構を使用したチェーン式ラインプリンタ、バキュームカラムを装備したオープンリールの磁気テープ装置6台のほか、さらに時代を遡るパンチカード機もあった。

 50年以上前のコンピュータに息を吹き込むというのは、Sinclair Researchが30年以上前に英国で発売を開始した「ZX Spectrum」(編集部注:当時、英国で爆発的な人気を誇ったホームコンピュータ)のほこりを払う以上に大変な作業である。復元を担当したチームは、大量のさびという問題に直面した。こういったさびは可動部品の表面を腐食させるだけでなく、トランジスタにも及んでいた(当時のゲルマニウムトランジスタやクリスタルダイオードの合金接合面には鉄が使用されていたのだ)。

 チームはIBM 1401向けに用意された一連の診断命令を1つずつ実行するというデバッグ作業に数カ月を費やし、装置内の3000枚の基板に潜んでいた130カ所の不良を特定、修理した。また同博物館は、IBM 1401の磁気テープ制御ユニットをデバッグするために、「IBM 729」という磁気テープ装置の駆動部品を取り外し、アナログ/PC制御のハードウェアエミュレータとして機能する専用の磁気テープ装置を組み立てた。

 同博物館はその後、家族経営の会社で1995年まで稼働し続けていたIBM 1401も入手し、2台目として完動させるところにまで復元した。これらのマシンが故障停止するまでの期間は数カ月にも及んだという。

 このプロジェクトは第2回Tony Sale Awardで共同受賞の栄冠に輝いている。

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