経営者のとってのチャート(海図)とはどのようなものでしょうか?企業経営において目的地は戦略で定義され、実際に航海をしていくには具体的な指示が必要です。戦略を具体的な指示に落とし込むには、いくつかのプロセスが必要です。
戦略の策定は経営者の方の専門分野ですので多くは言及しませんが、戦略を共通で共有するために、WHY?(何故、その戦略を行うのか。ビジネスの目標と戦略)とWHEN?(何時までにその戦略を実行すべきか。ビジネスの周期)という2つの視点はもちろんのこと、その戦略を実行するためには、どんな組織の、どんな人(WHO?)が、何を使って(WHAT?)、どのような方法や機能でそれを活用するのか(HOW?)。それは、どこで(WHERE?)行われるのか?を先ずは経営の視点で整理する必要があります。そして、経営的な立場ですから、もちろん幾らまでならかけられるのか(HOW MUCH?)の投資コストを明確にする必要があります。ある戦略を実行するにはコストがかかりすぎると判断された場合は、戦略自体を見直す勇気も必要です。嵐の中で船を止めるかどうかは、船長の判断が必要なのです。
ITに落とすと簡単に言っても、実装するまでには様々なレイヤーのプレイヤーが係わります。IT設計者だけでなく、システムの利用者や外注先のプログラマーもそうです。このレイヤは企業ごとに違いますので、カスタマイズが必要です。上位は概念的であり下位レイヤになるにしたがって実装に近い内容になります。経営判断でいきなりIT設計者の手に渡るのではなく、検討が必要なレイヤーのプレイヤーの情報から判断をすることになります。そして、ひとつ下のレイヤーに行く度に判断を行えば、後戻りのリスクは低くなります。判断対象の情報は、経営者であれば、事業部。事業部であれば利用者といった具合に、次のプロセスを引き受けるレイヤーのFBから情報を取得し判断します。ちなみに6つの視点は、経営者から外注先のプログラマーまで共有し、流れが途切れないようにしなくてはなりません。それぞれのレイヤで判断し6つの視点が共有される事によって、何故その戦略が実行されなかったのかを後でトレースする事も可能ですし、実際に開発までいってからうまくいかなかった時に、どこが問題なのかを追跡する事が出来るようになります。これが経営から見た可視化の仕組みです。