アマゾンジャパンは10月9日、偽造品の撲滅(ゼロ)を目指すプロジェクト「Project Zero」を日本でも開始した。3つの機能を通じて、通販サイト「Amazon.co.jp」からニセモノ商品を一掃したい考えだ。2019年の初めからこれらの機能を提供している欧米では、すでに6000ブランドを超える9000万点以上の疑いのある商品を排除した実績があるという。
米Amazonのバイスプレジデントで、ワールドワイドカスタマートラスト・パートナーサポートを統括するDharmesh Mehta(ダーメッシュ・メータ)氏によれば、同社は2018年だけでも偽造品排除に全世界で400億円以上を投じているという。具体的には、マシンラーニングや専門家による調査、ブランド企業との連携などで、これらの取り組みによって「99.9%の商品が偽造品ではないことが分かっているが、これを100%にしたい」と思いを語る。
Project Zeroでは、(1)自動プロテクション機能、(2)セルフサービスの偽造品削除ツール、(3)商品のシリアル化(こちらは2020年前半の予定)という大きく3つの機能によって、偽造品の撲滅を目指すという。
1つ目の自動プロテクション機能は、世界中のAmazonで毎日更新される50億件を超える商品情報を継続的に自動スキャンし、偽造品の疑いがある商品を検知する機能。アマゾンの機械学習を活用しており、常に新しい情報を取り入れることで、疑いのある商品を販売前に未然に防げるとしている。欧米では、同機能により9000万点以上の商品が、消費者に閲覧される前に自動的に排除されているという。
2つ目の偽造品削除ツールは、これまでのようにアマゾンに通報せずに、ブランドオーナーが自ら偽造品を削除できるようになるツール。このツールによって削除された商品は、自動プロテクション機能に反映され、偽造品の検出精度の向上にも役立てられるという。同社によれば、このツールで1つの商品が削除されるごとに、Amazonにおいても平均500点以上の偽造品の疑いのある商品が自発的に削除されているという。ブランドによって、これまでに18万点の商品が削除されたそうだ。
なお、もしブランドが誤って商品を削除してしまった場合には、アマゾンに連絡することですぐに戻すことが可能だという。ただし、ブランドが繰り返し同じ商品を削除していないかなどの統計を取り、ブランドがツールを悪用している、または正確性に欠けると判断した場合には、Project Zeroの登録を解除することもあるそうだ。また、削除された側のセラーがアマゾンに連絡して偽造品ではないことを訴えることも可能だ。「我々は、セラーに危害が及ばないことにも注力している」(Mehta氏)。
3つ目の商品のシリアル化は、ブランドオーナーが自社製品の製造や発送の過程で固有のコード(シリアルコード)を発行し、そのコードによってAmazonで販売される商品を1つずつ真偽精査できるサービス。こちらはオプションサービスだが、自動プロテクション機能と組み合わせることで、偽造品をより効率的に取り締まれるようになるという。
Project Zeroは、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインで展開しており、アジアでは日本が初となる。現在は招待制でブランドを増やしており、任天堂、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、パナソニック、アイリスオーヤマ、アイロボット、川崎重工、タカラトミー、ダダリオなどが参画。今後は、ブランドが自ら申請をして、アマゾンの審査を通過すれば登録できるようになるという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力