Facebookアカウントを「利用解除」すれば、Facebookは私のオンラインでのアクティビティを追跡しなくなるだろうと思った。だが、同社は私を監視し続けた。
この1年間、私はFacebookでの自分の存在を最小限にしようとしてきた。10年使ったアカウントを削除してダミーのアカウントに置き換え、このアカウントは極力使わないようにした。スマートフォンから公式アプリも削除した。
この1月からは、ダミーアカウントを使うたびに、ログアウトするだけでなく、利用解除(編集部注:アカウントを完全に削除するのではなく、一時的に停止)している。私はFacebookを完全にやめることはできなかった。週に2回のワークショップのためにログインする必要があるからだ。
ここまで用心すれば、Facebookが収集する私に関する情報は減るだろうと思った。だが、時間の無駄だったことが分かった。
利用解除状態でも、Facebookはユーザーのオンラインアクティビティ情報を集め続けている。利用解除中に集めたデータは、ユーザーのアカウントに統合される。努力は無駄のようだ。
Facebookは、アカウントを完全に削除した場合にのみ、ユーザーのすべてのデータを削除するとしている。利用解除の場合は、ユーザーの気が変わって自分のプロフィールを復活したくなる場合に備えてデータを収集し続けていると同社は説明した。Facebookは、アカウントを利用解除したユーザーが戻ってくることと、戻ってきたユーザーに対して新たな関心に関連性の高い広告を提供し続けることを期待しているのだ。
Facebookはウェブサイトで、アカウントの利用解除は完全な削除に半歩進む行為だと説明している。だが、利用解除中にどのようにデータを集めているかについてはほとんど説明していない。「データに関するポリシー」ページで、ユーザーが一時的に利用を停止したい場合は利用解除できるとしているが、利用解除中もデータを集めていることには触れていない。
利用解除されたアカウントのデータを集めるこの行為は、誤解を招くおそれがあると、複数のプライバシー専門家が警告している。
プライバシー重視の検索エンジンDuckDuckGoの創業者で最高経営責任者(CEO)のGabriel Weinberg氏は「ほとんどのユーザーは、利用解除中のデータはほとんど、あるいは完全に収集されないと考えるだろう。利用解除は停止という意味なので、車輪が回転し続けているとは思わないはずだ」と語った。
ニューヨーク州検事総長のインターネット局の元責任者で現在はLowenstein Sandle法律事務所の技術カウンセラーを務めるKathleen McGee氏は、平均的なユーザーは、アカウントを利用解除すればFacebookがデータ収集を停止すると考えるだろうと語った。
利用解除されているアカウントを見た人は、実際にはオプトアウトされているわけではないのに、されていると思うだろうと、同氏は説明した。
「消費者向け透明性という観点から、これは詐欺的行為ではないかと懸念する」(McGee氏)
Facebookのこの曖昧な開示で、同社のプライバシー保護の姿勢に関する懸念がまた1つ増えた。
同社は2018年3月、英コンサルティング会社のCambridge AnalyticaがFacebook上のクイズアプリ経由でユーザーの個人情報を集めていたことが発覚した後、厳しい批判にさらされた。この事件に反感を持ったユーザーらが、Facebookのアカウントを削除するよう呼び掛けるキャンペーンを展開した。Pew Research Centerが2018年5~6月に実施した調査によると、過去1年間に米国の成人Facebookユーザーの42%が数週間以上の間、Facebookをチェックするのをやめたという。
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