ワンファイナンシャルは6月12日、レシート1枚10円で買い取るアプリ「ONE」をリリースした。
このアプリは、スーパーやコンビニ、家電量販店、居酒屋、クリーニングなど種類を問わずレシートを1枚10円で買い取るというもの。ウォレットからの出金は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク以外にも、ゆうちょ銀行など国内ほぼ全ての金融機関に対応する。振込手数料として200円が発生する。
ローンチしてから6時間経たないうちにレシートの買い取り依頼は2万件を突破している。 ワンファイナンシャル創業者でCEOの山内奏人氏によると、当初は月に1万件程度を想定していたようで、依頼数は予想の200倍以上だという。
レシートのデータは、個人が特定できないように抽象化し、食品や日用品などのメーカーやID系、広告系の企業に販売する。飲料水で例えた場合、その飲料水を購入した1万人の属性データよりも、一人のユーザーが飲料水を購入した後にどういったものを買うのか、どういった時にその飲料水を購入するのかというデータに価値があると山内氏は仮説を立てる。これにより、飲料水を買うまでの流れや、日常の消費パターンにおける飲料水の位置づけが見えてくるという。
一人一人の購買データを分析するため、どこかの消費行動が抜け落ちてしまうと、データの価値が落ちてしまう。そのため、買い取るにレシートの種類は問わないようにしているという。また、位置情報などのデータも組み合わせることで、パーソナライズの精度も高めることはできるものの、倫理的観点からまずはレシートでスタートしたという。なお、10円というプライジングは、話題性も狙ったとしているがビジネスの継続性も確保できると見込んでいる。
なお、不正利用対策として、同一のレシートを複数のアカウントがアップロードした際は、アカウント停止になる可能性があるという。また、例えばコンビニの店員が顧客の捨てた不要なレシートなどをまとめてアップロードした場合でも、レシートごとの時間間隔や店舗などから不正を検知できるという。1日あたりのアップロード上限数は10枚までとなる。
山内氏は、17歳で現役の高校生。これまで、ビットコインウォレットやクレジットカード決済アプリ「ONE PAY(のちにONEPAYMENTにリニューアル)」など、FinTechアプリをローンチしてきた。1億円の資金調達も実施したONE PAYだったが、不正利用が多く、クレジットカード会社や決済プラットフォームのStripeなどからの指摘もあり、事業としての成立が困難との判断から4月12日にサービスを一時停止している。山内氏は、「ちょっと違った角度から攻めてみたい」と、次の事業としてONEをスタートした。
レシートを買い取るというビジネスを思いついたのは、“ある人にとっては価値があり、ある人にとっては価値がない”という価値の非対称性に気づいたからと同氏は語る。「スイスに行った友人がスイスフランを大量にくれたんです。僕らにとってはただの金属の塊ですが、スイスに行けば価値があります。それが価値の非対称性だと思いました」とし、「それをうまくつなげているのがメルカリです。同じようなことができないかと思い、全ての人が持っているもので実は価値を持つものを探したところレシートになったのです」といきさつを述べた。
ONEは、「次世代の金券ショップ」を目標に、インターネットやデザインの力を使って簡単な資金調達をサポートしたいという。レシート買取は第1弾であり、他の買取も検討する。また、11日には古物商のライセンスも取得しており、「まだ何も決まっていない」としつつ、買取などの事業も考えているとしている。
ワンファイナンシャルは、サービスローンチから12時間35分で10万枚のレシートを買取、12時間25分で3万ユーザーを獲得したと発表した。
ワンファイナンシャルは、レシートの買取を一時ストップすると発表した。今のところ再開は未定としている。
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