多くの意味で、1968年は変革の年だった。ベトナム戦争のテト攻勢や、北朝鮮による米海軍の情報収集艦「プエブロ」の拿捕(だほ)事件などが起き、国際情勢は不安定だった。Martin Luther King Jr.とRobert F. Kennedyという2人の偉人が暗殺されたのもこの年だった。William ShatnerとNichelle Nicholsがテレビ史上初めて、異人種同士のキスシーンを演じた。アポロ8号は月を周回した初めての有人宇宙船になった。
今回のリストはそこから始まる。50年前を振り返る本記事では、単にテクノロジを年ごとに紹介するだけでなく、私たちに影響を与えて未来への道を開き、良きにつけ悪しきにつけ私たちを変えたテクノロジに注目する。
過去を振り返るのは、興味深い学習体験である。それによって、全体的な技術革新の傾向を確認できるだけでなく、現在の私たちを形作るのに影響を及ぼし、その過程で世界を変えてきたテクノロジや製品、出来事を考察することができるからだ。
それでは、1968年にタイムスリップしよう。
宇宙食のトルティーヤからハッブル宇宙望遠鏡、そして気象衛星からGPSにいたるまで、米国の宇宙開発研究が人類にもたらす恩恵は数知れない。
時は1968年。元々、アポロ8号は地球の低軌道上で月着陸船をテストする目的で設計されていたが、月着陸船の開発が遅れていた。司令船と機械船は準備ができていたため、エンジニアたちが大胆なミッション変更を提案する。それが、有人宇宙飛行で月を周回することだった。
新たな歴史が生まれた。宇宙開発計画からの技術移転は、数多くの発明やイノベーションの原動力となっている。だが、このような人間の偉業を目撃した感動こそが、(筆者も含めて)多くの若者の心をとらえ、STEM(科学・技術・工学・数学)系の職業へと向かわせたことも確かだ。
1969年最大の技術的な偉業と言えば、Neil Armstrong氏とBuzz Aldrin氏による月面着陸だろう。それはもっともである。だが、当たり前すぎて見過ごされがちだが、もう1つ、無数の人の命を救ってきた技術がある。
1969年、米原子力委員会(AEC、現在の米原子力規制委員会)が、家庭用の煙感知器の販売をメーカーに初めて許可したのだ。あまり知られていないことだが、煙感知器にはごく少量の放射性物質が使われている。従って、AECが一般家庭での利用を認めてようやく、家庭の安全対策として煙感知器を使えるようになった。
全米防火協会によると、住宅の火事で死亡するリスクは、煙感知器を設置することで半減するという。
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