公正取引委員会(公取委)は8月2日、格安SIMなどを提供するMVNO事業者の新規参入の促進を目的に、携帯電話市場における競争政策上の課題について、総務省の取り組みを踏まえつつ検討したと発表した。
現在、販売代理店における携帯端末の購入は、携帯キャリアとの通信契約を前提としているため、事実上、通信と端末の提供が一体化していると指摘。また、一定期間契約したユーザーの端末価格を実質的に無償やそれに近い金額で販売する手法が採用されているため、結果的にSIMフリースマートフォンよりも、携帯キャリアの販売する端末を購入した方がメリットがある状況となっている。
また、携帯キャリア各社が販売する端末のシェアは9割を超えており、各社が同様の販売手法をとっていることから、MVNOの新規参入を阻害、またはMVNOの事業活動を困難にさせる場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占など)としている。
そのほか、SIMロックは事業者間のスイッチングコストを増加させるものであり、携帯キャリアやMVNOの競争を阻害する効果があるとして、端末へのSIMロックの設定をしないことが望ましいとしている。また、2年間の契約を前提としたいわゆる「2年縛り」についても、契約解除にともなう違約金などは、契約者自身が自由に決められるようにするべきだとし、契約解除料も必要最小限にすべきだとした。
中古スマートフォンについても、新品の出荷台数に対する中古端末の販売実績はわずか8%程度となっていると指摘。端末メーカーや携帯キャリアを含めた中古端末購入者が、不当に高い価格で中古端末を購入する場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある(不当高価購入、取引妨害など)とした。
公正取引委員会では、独占禁止法に違反する疑いのある具体的な事実に接した場合には調査を実施するとしている。また、違反する事実が認められたときには厳正に対処するとした。
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