オトバンクは、国内大手のオーディオブック配信サービス「FeBe」を運営していることでも知られている。新サービスとしてオタクユーザーをターゲットとしたSNSに乗り出した経緯について上田氏は、アニメやゲームなどの好きなコンテンツについて、語り合える友人が身近にあまりいないという、自身の“隠れオタクの悩み”から生み出されたものだと明かした。
「他人には明かしていない別の名前を使って、SNSで感想を書いて思いを発散していましたが、それだと独り言みたいで少し寂しい。趣味に対する思いを共有したいがそのことをオープンにしづらいと思っていた時に、偶然同じような悩みを抱えている社員と話をする機会があった。その時に好きなコンテンツについて身近で話せる人いないといった悩みを持ってる人が、意外に多いのではと感じた」(上田氏)
近年はアニメ好きなど、自分の趣味をオープンにしても受け入れられる風潮があるものの、少し年齢が上の世代では、まだまだカミングアウトするのに勇気がいる。そういう隠れオタクユーザーに、気軽に好きなコンテンツについて語り合える場所を作るというのがサービスを開始した理由と語る。実際にオフ会なども開き、上田氏も参加。「まさにこういうものを探していた!」という意見を多く聞いたという。利用者は地方在住の人が多いようだ。
現在は多種多様なSNSサービスが展開されているが、上田氏は普及しているサービスであればあるほど、オタクユーザーからすると使いにくいものと指摘する。利用者が多いとされるLINEやFacebookなどは、プライベートなSNSであってもビジネスシーンで使われることも少なくない。自分の電話番号がLINEと紐づいていれば、そこではオタク趣味を公開しづらいと感じる人もいるのでは、と話す。
そういった個人が特定されるSNSやメッセージアプリでは、プロフィール画像やスタンプに、アニメ系のものは使いにくかったり、趣味をさらけだせなかったりすると語る。
こういった背景からも、にじがくっ!では匿名制を敷いている。もっとも常時問題のある書き込みなどがないかスタッフが有人による目視で監視をしているほか、ハンドルネームを使用することで、問題のあるユーザーを特定し、対応できるようにしているという。
ベータ版での意見としてUIに関するものが多かったため、そこを重点的に改善。新機能となる草ボタンについて、いわゆる「w」や「草」は、FacebookやTwitterの「いいね」とはまた違う表現という考えがあり、感情表現をダイレクトに伝えることを考えると、「草」というのは非常に汎用性が高いものだったとしている。
「草ボタンについては、とにかく押したくなるようなギミックにこだわった。押すと、ポンポン草が生えるので、押していて気持ちいいと感じていただけるのが特徴」(上田氏)
オリジナルキャラクターの3人は、上田氏によれば担当スタッフの趣味が反映されており、まだ公表していないものの、かなり細かいところまでペルソナを設定しているという。それぞれ担当声優も公表されており、ニコニコ生放送で声優が出演する番組を月1回以上の定期配信をしていくほか、アプリ内でキャラクターに声をつけることも予定している。
上田氏は、前述したオフ会でオーストリアから来た人がいたことに触れ、「今後はオタク文化が根付いているフランスやドイツなどのユーザーとの交流などもできたらとも思っている。オタク文化は、世界共通だと思うので、いずれは世界中のオタクのインフラとなれれば」と意気込みを語った。
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