岩朝氏:私は“まぁまぁ重要”という位置づけでいます。というのも、まずゲームの質、ハッカドールで言えばニュースサービスとしての質の向上やオンラインでのイベントが本業に直結するので、最重要です。オフラインイベントはファンサービスが半分で、本業に対する貢献や話題作りの意味あいが半分だととらえています。あとはスタッフに対する勉強の意義が大きいのかなと。リアルなイベントで得られるものはいっぱいあって、それは机に座って得られるものと密度が全然違います。
下田氏:オフラインイベントというとプロモーションとして行うものであり、目に見える数字的な効果を求める考えをする方が多いのですけど、コンテンツへの愛を深めていただくためにやるものなのかなと。データで見る盛り上がりも大事なのですが、そこでははかれないいい効果も確実にあると感じています。
ニコニコ超会議2015や東京ゲームショウ2015でトッププレイヤーによる大会を開催したのですが、そこでプレイヤー同士の交流や横のつながりが、TwitterなどのSNSでもつながって、攻略方法などの会話を通してコミュニティが形成されて、プレイヤーの輪が広がっていきました。それも数値データとしては見えにくいですが大事な効果だと考えています。もちろんお客さまが楽しんでゲームをしたりイベントで盛り上がっている姿を見て、スタッフがより盛り上がりを実感できたり、IPとして育てていく気持ちをより高めていくのも大事かと。
一事業として考えると、売り上げが出てその利益をプロモーションにまわしてさらなる盛り上げを図ってユーザーを増やすという流れがあると思いますけど、それが本質ではないとまでは言わないですが、別の流れもあるのではと感じています。ゲームを遊ぶプレイヤーの数だけではなく、熱量と愛着を持つお客さまをいかに増やしていくかが課題だと思ってますし、それがIPの成長と一緒につながっていけばいいなと思います。
岩朝氏:お客さまはファンと言い換えるとわかりやすいかもしれません。ゲーム系のアプリのプロモーション手法はさまざまなものが編み出されつつ、年々変容したり難しくなってますが、いつの時代も変わらないものがあると考えていて。その最たるものは、ユーザーの方がファンとなって自ら発信して話題にしてくださることです。それは昔も今も、そしてこの先も変わらないでしょう。そういったファンを作るというのは、利用者となるユーザーを増やすのとは別にやらなければいけないことだと思います。
このことはデジタルを仕事にしている人たちは知っているようで知らない部分かと。よく指標でDAU(Daily Active Users:1日にサービスを利用したユーザー数のこと)というのがありますけど、それだけでは中の人たちの顔が見えません。熱心にコンテンツの話題をしたりキャラクターのイラストを描いてくださる方、ことハッカドールは徳島でイベントをやったこともあるのですが、遠征してまで来てくださる方もいたりと、常に動向をチェックしてくれている方もいらっしゃいます。そういったファンもDAUだと「1」にしか数えられませんが、単なる1とは言えません。
そんな熱心なファンを見てインスパイアされて、ファン作りにおいてどういうことをすべきかを考えたり学んだりすることは、変わらず大事なことととらえています。人気作品をお持ちで長年IPを展開されていたり、そのノウハウを持つ企業に比べたらまだまだですけど、自分はそこにこの先への手応えなり道筋があると。それをしっかりやっていくと、業界としてもテクニックとしてのプロモーション手法やお金をかけるものという考え方が変わったり、またはデジタルとアナログで切り分けられた手法の境目がなくなって、面白い状況になるのではと考えます。
中川氏:前回の冬コミ(コミケ87)において出展した際、近隣ブースにお客さまが滞留してしまってご迷惑をかけてしまったこともありましたので、ブース配置が決定した段階でご挨拶しておかないととは思っていました。
たまたまナナシスのファーストライブ会場で、ハッカドール宣伝プロデューサーの方とあいさつする機会がありました。そこでつながりを持ったことからはじまったと認識していますし、一緒に盛り上げていきましょうという流れは自然なものだったと思います。ただ、キャンペーンはアプリコラボのようなことよりも、せっかくのコミケなのでコミケの場だからこそやれることがいいと思っていました。
中川氏:3人一緒のイラストを見たときには力を入れた企画にするという熱意を感じられましたし、あくまで一個人の感想としてはかわいいなと思いました(笑)。ですが、基本的にナナシスは混ぜ物をしないスタンスにしていますし、そのことを2社さんにお伝えしてご理解をいただきました。
最近では、ゲームやアニメなどでタイトルや世界観を超えたコラボをするのが当たり前になってきています。その流れに逆行しているスタンスのように思われて「なぜ?」と質問されることも多いのですけど、構築した世界観を慎重に扱っていますし、それが我々のナナシスにおける大切な価値観です。コラボしたいと考える人がいれば、コラボしないと考える人もいると。何も特別なことではなくて、考え方の種類のひとつと捉えていただければありがたいです。
中川氏:今回はストレートにメッセージは届けられたと思っています。当初より出展を決めた段階で、メッセージを届けるということと、これまでの反省点をすべて活かすこと、この2つをメンバーに伝えました。あとはご来場頂いたみなさんや関係したみなさんがどう受け取って感じていただいたかに委ねたいと思っています。よかったという意見もいただいていますが、反省点もたくさんありましたので、またの機会に改善していきます。
3社キャンペーンはオリジナルうちわの反響がよくて、欲しいといって来てくれる方もいらっしゃいましたし、お客さまがそれぞれのコンテンツを少しでも知るきっかけになったのではないかなと思います。一緒に告知をやって公式サイトへのアクセスも増えたりしたのもよかったことです。アプリのダウンロード数やユーザーの増加などが取り上げられがちですが、このキャンペーンはコンテンツに接触していただくということに向いたものだと考えていました。
中川氏:僕は重要視しています。あらゆることに意味や価値をつけていくのが我々の役割であって、それもエンターテイメントに携わる者としての精神と考えています。ナナシスとしても、支配人さん(※ナナシスのファン)との大切なコミュニケーションの場であると考えています。ここでいうコミュニケーションは単純に言葉を交わすという意味合いだけではなく、同じ場所、同じ空間を共有することで生まれる事象そのものだと捉えてます。
みなさんにとって何かしらの感情が動くものであったならば、それはやって良かったことであって、こちらもまた新しいことをやってみようということにつながります。作品から得られる感動もとてつもないものがありますけど、みなさんの反響を肌に感じた時の感動もとても大きなものです。それがリアルなイベントで得られるものといえるかもしれません。かけがえのないものをいつも僕たちはもらっていますし、これがナナシスに関わっていて日々感じていることです。
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