なお今回のアイデアソンでは、各チームのディスカッションに並行して、Syn.ホールディングス代表の森岡康一氏が、これまでのSyn.Allianceの成果と今後の戦略について説明した。ちなみに、Syn.ホールディングスは、KDDIがオープン戦略構想を発表した2014年10月にKDDIの100%子会社として設立された。Syn.の運営をはじめ、KDDIが買収したインターネットサービス企業を傘下に収めて、auドメインでは展開していないオープンなインターネットサービス領域を統括している。
2014年10月に立ち上がったSyn.は、「すべてのサービスが入口となる中心のないポータル」をコンセプトに掲げ、参画しているインターネットサービスに共通のサイドメニュー「Syn.menu」を設置。各サービス間のシームレスな往来や、参画企業同士のコラボレーションの創出などを実現している。参画サービスは現在までに15社20サービスにのぼり、延べMAU(月間アクティブユーザー)は1億を突破。8月には新たにアイスタイルの「ispot」が参画する予定だという。「参画企業それぞれの持ち味を活かしてサービスを作ったり、今後の展開を生み出していくことがSyn.構想の趣意だ」(森岡氏)。
森岡氏は、アライアンスの成果のひとつとして、Syn.menuによってサービス間のユーザー行動パターンやサービス同士の相性を解析することが可能になった点を挙げ、「日常的に利用するサービスを起点に、ユーザーがどのように異なるカテゴリのサービスを回遊しているのかが、データの蓄積によって見えるようになった。ライフスタイルに密着したサービスを大きな起点として、ユーザー属性や趣味嗜好に応じてさまざまなサービスに分散していく。こうした流れを分析することによって、今後の戦略を考えることができるだろう」と語った。
ユーザーのデモグラフィックによって、どのようなサービスを回遊しているのかという傾向が顕在化することで、ユーザーの回遊傾向に合わせたコンテンツのレコメンドや広告配信が可能になるとした。
今後の展開について、森岡氏は「インターネット上にあるサービスをつなぎ、価値ある相互連動を実現することで、インターネットが今まで以上に便利に楽しめる世界を創り続ける」というビジョンを挙げた上で、参画企業の連携を強化してユーザーの回遊性をさらに高めていくという方針を説明。具体的には、Syn.menu中心のサービス連携から、Syn.menuの運営経験を生かして新開発するデータプラットフォーム「Syn.DMP(仮称)」を中核に据えたユーザー回遊システムの構築やコンテンツのレコメンドをしていくという。
「各サービスが保有するデータを連携して立体的にユーザーの全体像を理解できるデータプラットフォーム『Holographic Identification Platform』を目指す。ユーザー像の“解像度”を高め、より的確にユーザーにコンテンツを提供していくことで、回遊行動に繋がる“興味の連鎖”を生み出していく」(森岡氏)。
また、nanapiが運営しているコミュニティアプリ「アンサー」を活用し、ユーザーの質問内容への回答に参画サービスが保有する情報を提供して、ユーザーを各サービスに送客する仕組みを10月に導入するほか、今後はコンテンツマッチングや広告配信の基盤構築を目的とした「Syn.Extension(仮称)」を開発するとしている。
「今はアライアンスを生み出すためにSyn.menuを象徴的な存在に据えているが、Syn.の本質はユーザーとサービスをどんどんつなげていくためにソリューションを生み出すこと。その中核としてデータドリブンを推進して、アライアンスの中に立体的な回遊構造を生み出していく」(森岡氏)。
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