自分のスマートフォンが究極のスイスアーミーナイフ、つまり完璧なオールインワンツールキットだと想像してみてほしい。どんなツールがほしいだろうか。小型のネジ回しか、指紋スキャナか、それとも栓抜きだろうか。「Project Ara」スマートフォンでは、装着できるツールの可能性は無限大だ。
Araの「組み合わせ自由」という特質により、ユーザーは、コンポーネントを好みに合わせてアップグレードできる一方で、余ったポートでいろいろと試すことができる。
GoogleのAraスマートフォンの最新のデザイン(Ara用語では「Endoskeleton」)には、12個の接続ポートがあり、バッテリやプロセッサ(嘘ではない)といった長方形のモジュールを取り付けることができる。重要な点は、Project Araのスマートフォン構築に対する少々過激な(そして挑発的な)アプローチは、購入者がデバイスの外観だけでなく機能についても、ある種の創造的な表現手段を得られる初のアプローチでもあるということだ。
例えば、スマートフォンをフル充電したら、充電ポートを近距離無線通信(NFC)チップと交換して、モバイル決済を行うことも可能かもしれない。また、長方形のカメラモジュールを取り外して、特殊な夜間用赤外線レンズに付け替えることもできるかもしれない。
気が向いたら、先述したカメラなど、なくてもかまわないユニットを一時的に取り外し、口臭予防フィルムの小型パックと交換して、ニンニク料理を食べた後の午後の外出に備えることも可能かもしれない。
筆者は自分がスマートフォンのカメラを取り外して、ポケットやハンドバッグに簡単に収まる口臭予防フィルムのパックを取り付ける場面を想像できないが、Yezzの関係者はこの用途を想定している。
マイアミに拠点を置くスマートフォンメーカーYezzは、Google初のAraスマートフォンパイロットテスト開始における役割の1つとして、Araの100のコンセプトを紹介する大型豪華本を作成した。それらのコンセプトの多くは実用的なもので、予備のバッテリモジュール、デュアルカメラモジュール、ワイヤレス充電、LED懐中電灯などがある。
スナップ式のピコプロジェクター、大音量スピーカー、ピルケース、CB無線など、もっと突飛なコンセプトもある。さらに、アクセサリの取り付けというコンセプトもある。E-Inkスクリーンも搭載するフリップカバーを取り付けることや、スナップオン式ゲームパッドを装着してレトロタイトルをプレーするところを想像してほしい。
アスリートなら自分のスポーツ用に、より強力なセンサベースの機能を持つ複数のモジュールを取り付けるかもしれない。医療機関や患者も専門的なモジュールを追加して、長期的な症状を追跡できる可能性がある。
Project Araスマートフォンに関してユニークなのは、高度なカスタマイゼーションが約束されていることだ。
「カスタマイゼーション」は多くの場合(そして皮肉なことに)、その言葉が示唆する以上に固定的な意味を背負わされるキャッチフレーズの1つだ。スマートフォンの体験は、ケースやアプリによって(またはスマートフォンOSをルート化して独自のROMを適用することで)、いつでもパーソナライズすることができる。珍しい例を紹介すると、Motorolaは「Moto Maker」を提供して、ユーザーが「Moto X」の仕上げやアクセントをカスタマイズできるにしている。
従来型スマートフォンの内部を本当の意味で変える手段は、実際の作りとモデル自体を選ぶことを除けば、ストレージ容量を選択することだけだ。これこそAraが訴える部分であり、普通とは違うアプローチを採用した最大の理由だ。
GoogleのパートナーであるYezzは、プエルトリコでのパイロットプロジェクトにおいて、Project Araスマートフォンのベーシックモデルを販売する予定だ。顧客はそれを購入後、アフターマーケットモジュールで強化することができる。最初はベーシックだが、それらの追加モジュールは、先に紹介した極めて専門的な機能に発展する可能性もある。
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