経済産業庁所轄の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と、2014年11月に設立された一般社団法人未踏(Mitou Foundation)は3月10日、IPAが実施している「未踏事業」で発掘し育成した人材(未踏クリエーター)のプロジェクト終了以降の活躍に向けた環境整備などに関する相互協力協定を締結した。
未踏事業はIPAが2000年に開始したプロジェクト。日本からスティーブ・ジョブスやマーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツのような人材を輩出することや、Adobe、Google、Facebookのような大手IT企業を作ることを目標としており、現在までに延べ1600人以上の人材(未踏クリエーター)を輩出している。
今回の協定の目的は、未踏クリエーター同士の交流を促し、さらに多くの“創造的人材”を巻き込んで、その力を最大限に発揮できる環境整備を相互に連携、協力して実施すること。今後、未踏クリエーターの企業に関する教育/啓蒙活動や、未踏事業や未踏クリエーターに関連するイベントの共催などに取り組んでいくという。
また未踏は同日、未踏関係者に限らず幅広いネットワークを形成するため、個人/法人会員の募集を開始した。2014年12月に先行して初期法人会員を募集しており、リクルートをはじめ、日本ユニシスやWiLなどが参加を表明しているという。
さらに、スポンサー企業と提携して個人会員向けの特典を用意する。マイクロソフトの開発者向けプログラム「MSDN Unlimited」を3年間無料で提供したり、ハードウェアスタートアップ向けのものづくり拠点「DMM.make AKIBA」の初期費用と1カ月分の入居費用を無料にしたりといった内容だ。
未踏の代表理事でIPAの未踏統括プロジェクトマネージャーを務める竹内郁雄氏は「平たく言えばシリコンバレーのような環境を作るということだが、あくまでも“日本型のイノベーションエコシステム”を目指し、その基盤を整備していく。未踏は、日本にイノベーションエコシステムを作るための起爆剤。将来的には、日本人のコミュニティのネットワークが自立的に発展すると信じている」と今後の取り組みに意欲を見せた。
なお、未踏の外部理事には、慶応義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏や、ディー・エヌ・エーのファウンダーで取締役の南場智子氏、東京大学情報学環教授の坂村健氏、LINE代表取締役社長の森川亮氏ら12人が就任している。
夏野氏は同日の会見で「日本には優秀なクリエイティビティのある人間が多くおり、最先端の文化やテクノロジを生み出しているが、リテラシーの低い大人が寄ってたかって潰している」と指摘。未踏では当面、スタートアップを成長させるためのノウハウやネットワークを提供し、将来的には資金面でのサポートもしていきたいと述べた。
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