「5000万人都市構想」を2014年11月に掲げ、旅行やECなど生活に関わるあらゆるサービスが利用できる“ポータル”を目指すことを発表したGunosy。同社はこの構想の実現に向け、3月中旬をめどにニュースキュレーションアプリ「グノシー」のデザインを大幅リニューアルする。一部のユーザーから反映し、約2カ月ほどで全ユーザーに適用させる予定だという。
2011年10月にサービスを開始し、まもなく900万ダウンロードに迫るというグノシー。ユーザーのアクティブ率は11月に発表した46%と同水準を維持しているそうだ。この一方で、すきま時間に手軽にニュースを読めるサービスの特性上、滞在時間が伸びないことが課題だと、Gunosy代表取締役CEOの福島良典氏は語る。
ニュースに特化している間はそれでも良かったが、ポータルでは幅広い領域のコンテンツを跨ぎながら自然と閲覧できるUI・UXが求められる。そこで、従来のようなテキストを中心とした記事の見出し表示から、大きな画像をタイル状に並べるスタイルへと変更し、ビジュアルで記事やコンテンツを選びやすくした。
また、アプリ起動時に表示される「トピック」タブに、「エンタメ」や「コラム」などそれぞれのタブの記事をブロックごとに区切って表示。詳細を読みたい記事があれば、ワンタップでそのタブにも飛べるようにした。これまでは横に数回スワイプしないと奥のタブまで辿りつけなかったが、新デザインでは縦スクロールするだけでさまざまな情報にアクセスできるようになる。
「画像中心で見せている他のサービスは僕らの2倍の滞在時間があるので、(リニューアルで)シンプルに2倍に伸びるだろうと思っている。実際にテストユーザーの起動頻度も上がっている」と福島氏は自信を見せる。「Instagram」や「Vine」「MixChannel」など、画像や動画を軸にしたソーシャルメディアを利用している女性ユーザーにもアプローチしたいという。少し先になるが動画コンテンツの自動再生などにも対応していきたいと話す。
2015年はポータル化に向けて一気にアクセルを踏む。まずは、3月中旬からタブに「マンガ」を追加する。ここでは「週刊少年ジャンプ」や「少年ジャンプ+」に掲載されている作品が日替わりで掲載される。アプリ内でのマンガ配信は業界初となるが、福島氏は「多くのユーザーが好意的に受け止めてくれた」と、開始前ながら反響の大きさに手応えを感じている。
「グノシーで純粋にニュースだけを読みたいと思っている人は3割くらいで、残り7割の人は『暇つぶしの情報が欲しい人』だと思う。ここは結構(ユーザーの)モードが違うと感じている。実際、天気や占いなどユーティリティの利用頻度は高い。ニュースを読もうというモチベーションは保ちつつも、そうじゃない時間もグノシーを使ってもらえるようにしていきたい」(福島氏)。
ポータル化を進めるにあたり、まず最初に増やしていきたいのは「コンビニの雑誌棚にありそうなコンテンツ」(福島氏)。具体的には、新聞、マンガ、ファッション、グルメ、趣味などで、2015年中にこうしたデジタルと相性の良い領域を網羅していきたいという。その次の段階として、たとえばタクシー配車やEC、ファイナンスなどより生活に密着したサービスも提供したい考えだ。その先には決済サービスとの連携も視野に入れる。
ところで、なぜグノシーはポータルを目指すのか。福島氏は「ベースの機能はOSが提供して、拡張機能はアプリを自由にインストールして下さいというのがスマートフォンの思想だが、ここ2年ほどでそれが間違っていたと証明されたと思う。僕の母親などもそうだが、結局アプリはダウンロードしないで、基本機能だけを使っている人は多い」と、その背景を語る。
現状は、アプリストアを利用するにはアップルやグーグルのアカウントを別途取得する必要があり、日頃それほどデジタル機器に触れていない人はハードルが高いと感じることもあるだろう。そういったアプリを頻繁にダウンロードしない人でも、ニュースやメッセンジャー、音楽などの“基本アプリ”はダウンロードすることが多い。
「マンガや占いなどその先の娯楽やリッチコンテンツは、つどアプリで提供されるのではなく、(ニュースなどの)基本的なアプリに載ってくるべきだと思う」(福島氏)。この思想のもとポータル化をいち早く進めることで、競合サービスと差別化していきたい考えだ。
4月にはアップルの腕時計型デバイス「Apple Watch」が発売されると言われているが、福島氏はすでにスマートウォッチ向けのグノシーも開発中であることを明かした。「(Android Wear搭載の)スマートウォッチを使い始めてから気づいたのが、いちいちスマートフォンをポケットから取り出すのは面倒だということ。いままで当たり前に受け入れていた手間が劇的に楽になるものは割と広まる可能性がある」(福島氏)。
ただし、時計のディスプレイサイズを考えると、当面はグノシーの新着情報の通知を受け取る用途が中心になると見ている。「たとえば、手元の時計からワンタップでタクシー配車が依頼できる、心拍数を測ってアラートを出すなど、よりリアルに近いものはウォッチ、ニュースなどの情報を読むときにはスマートフォンと使い分けるようになるのではないか」(福島氏)。
2015年は「Pepper」を始めとするロボットやドローン、さらに数多くのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)製品の登場も予想される。同社ではスマートフォンに依存せず、「最適な形で情報を届ける」ことをミッションに、さまざまなサービスを開発したいとしている。
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