「みんなでつくるおにぎり選手権」(2011年2~3月)は、まさにグランズウェルで言う、5ステップの全ての要素がしっかりと含まれた代表的な事例として紹介させていただく。
これはFacebookでアイデアを募集し、商品を開発、店頭で実際に販売した。具体的な数字でご紹介すると、Facebookのアイデア募集には1000件を超える応募があり、30アイデアが選ばれた。さらにそこから人気投票を行い、試作の結果4作品が商品化された。
このようにソーシャルメディアを通じてユーザーが商品開発に参加し、アイデアと人気を決定し、実際に商品化された素晴らしいキャンペーン事例となっている。
「モノづくりコミュニティ」(2001年~現在)もグランズウェルの5ステップを全て網羅した形であり、ソーシャルメディア活用企業トップに入る無印良品の原点と言っても過言ではないだろう。
無印良品では、ソーシャルメディアが全盛となる以前の2001年から「モノづくりコミュニティ」を発足。商品に対する要望や改善点を募集し、ユーザーがアイデアやデザインを投稿、投票することで、生活者参加型の商品開発を実現。プロジェクトを開発者とウェブサイト上で進行させ、実際に商品化するという仕組みを作った。
商品によって、商品化へのプロセスは変わるが、その取り組みは現在も続き、無印良品の人気商品が数々作られている。もしかしたらみなさんが既に目にしたり、購入したりしている商品があるかもしれない。「有楽町10周年記念キャンペーン」(2011年1月)は、無印良品有楽町店の10周年記念企画の一つであり、今最も注目されている「O2O(Online 2 Offline)」の先駆けとなる代表的な事例だ。
ソーシャルメディア(Online)と実店舗(Offline)を連動させた取り組みとして注目された。具体的には、10周年記念第3弾キャンペーンサイトにおいて「無印良品といえば、○○○」をテーマに、TwitterやFacebookで投稿を募集し、投稿した全員が割引クーポン券をもらえるというキャンペーン。
結果として、Twitterで約1600件、Facebookで約600件、合計約2200件の投稿があり、そのうち約900人が実際に来店してクーポンを使用した。もちろんその投稿には、無印良品への思いがあふれていて、単なるクーポン券発行に留まらないキャンペーンになった。
これらの事例は「これが、成功事例です!」という訳ではない。ソーシャルメディアマーケティングにおいて成功と捉えるか失敗と捉えるかは、企業や各担当者により違いがある。また、成功か失敗かは、企業と生活者の両者で作り上げていくもの。そういう意味でソーシャルメディアを活用することは今後非常に大きな意味を持っていくのではないだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来