全体から見えてくる「メッセージ」は、Business Insider(BI)が掲載した記事を目にして気付かされた。「THE BOTTOM LINE: Apple Really Is Going To Try To Kill Google」という見出しの記事で、AppleとGoogleとの争いが次の段階に進むとの見方が記されている。
両社の確執は昨日今日に始まったものではないが、ただし、改めて考えてみると、Appleがこれまで基本的にはAndroid陣営の端末メーカーとしかやり合って来ていなかったことがわかる。ところが、今回発表したさまざまな施策(次に挙げるもの)は、どれもGoogleの経営の根幹にかかわる「検索事業」を脅かすものだとBIは主張している。
無論、Googleが検索広告市場で築き上げた牙城(国によっては8割程度の市場シェアを押さえる例も)が今日明日に崩れ始める、ということにはならないだろう。ましてや、同社がAppleの例にならい、ハードウェアまで組み込んだプラットフォームとしての取り組みに、いっそう力を入れてきていることを考え合わせれば、両社の争いにそう簡単に決着がつくとは思えない。
けれども、ひとつはっきりいえそうなのは、各社の争う主戦場が新しい土俵に変わってきている——デバイスでいえば、PCからモバイルへという流れであり、また地域でいえば、これからはいよいよ中国本土へということになろう。Appleが基調講演のなかで、中国市場への取り組み強化をわざわざ2度もアピールしていたのは印象的だ——そうした流れのなかでは、Googleがこれまで築いた「城郭」や「堀割」も決して盤石とはいえない……。
そんな考えが思い浮かんだアップルの発表であった。
追記1.
なお、今回は過去になかったほどの新製品ラッシュで、大はMac Proの改訂から、小はiPad用の新型Smart Coverまでが、それとなく発表されていた。ふだんなら「Apple、怒濤の新製品・新サービス発表!!」みたいなタイトルがつくところかもしれない。
追記2.
WWDC基調講演後のAppleの株価は-1.58%で時間内の取引を終了した。Dow Jonesが-1.14%、Nasdaqが-1.70%だったことを考えると、発表内容はほぼ織り込み済みだったというところか。ちなみに、Googleの株価は-2.06%、Microsoftの株価も-2.55%となっていた。
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