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WWDC解説:「グーグル包囲網」を形成するアップルの施策

 今朝方、サンフランシスコでApple恒例の「Worldwide Developer Conference」(WWDC)が始まった。

 お馴染みの基調講演で発表されたことは、すでにCNET Japanなどでさまざまに報じられているので、ここではすこし「落ち穂拾い」のようなことをしてみたい。

内容の濃い基調講演だが、物足りなさを感じるのはなぜ?

 ここ数年のAppleの通例として、事前にほとんどの「材料」、つまり新製品や新技術の可能性などの情報を出し尽くしてから正式に発表することもあり、今回のWWDCでも「ほぼ予想外」だったのはiOS 6の「Passbook」機能くらいであった。実際には約2時間弱という枠のなかで、MacBook Air/Proといったハードウェア製品、新しいOS X「Mountain Lion」の詳細、それに次期モバイルOS「iOS 6」が立て続けに発表されたのだから、例年になく内容の濃い基調講演だったのだが、それでもいまひとつ物足りなさを感じてしまったのは、Appleの打ち手がいずれも「かなり手堅いもの」だからかもしれない。

 たとえば、目玉のひとつであるはずの「次世代MacBook Pro」にしても、最大の売り物となる「Retinaディスプレイ」はすでに新型iPadで採用されている。また、薄型化と軽量化に大きく貢献しているフラッシュメモリのデフォルト搭載(HDDの廃止)も、一足先にMacBook Airが実現していた。むろん、この新製品を実現するにあたっての難易度はこれまでの製品にも増して高まっており、ビデオで登場したJonathan Ive氏らは「設計と製造を徹底的に見直した」と説明しているが、別の製品ですでにうまくいっているものの移植——「ブートストラップ」のようなアプローチからは、製品自体の新しさ(イノベーション)よりも戦略面の「堅実さ」のほうをより強く感じてしまう。

 同じように、事前に明らかにされていた「Mountain Lion」だけでなく、「iOS 6」についても、新たに追加される各機能は大半が既存のものの延長線上にあるもの。「クラウドからデバイスまで一気通貫で」という既定路線に沿って、デバイス間の統合をより緊密化……というのは、ユーザーとしては便利になることは間違いないものの、戦略の新たな展開という点ではやはり新鮮味に欠ける。

 こうした手堅さは、外部パートナー各社との提携具合にも色濃く感じられた。

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