広告主にとって、このデータはGoogleのものより有益だ。Facebookは関心を共有するだろう人々をグループ化し、そうした人々へのアクセスをマーケッターに販売できるようになる。同社はまた、メディア企業と協力して、そうした企業のページ上での広告をより効果的なものにすることが可能だ。これはウェブでトップの広告プロバイダーであるGoogleの地位を危険にさらす、深刻かつ現実的な脅威である。
ユーザーに関連した部分としては、Facebookはサイト上での行動を観察することによって、各ユーザーが何を気に入る可能性が高いのかを、おそらく迅速に学習するだろう。このことは、新しい情報であふれたウェブの大きな問題、つまり発見の問題の解決に役立つだろう。すべてのユーザーが生成する活動やリンク、「Like」などから収集された「あふれ出るデータ」を掘り起こすことで、Facebookはそれが音楽であれ食料品であれ、ユーザーがどのような活動を行う可能性が高いのか予測できるようになり、しかもその精度は高まっていくはずだ。
Facebookがこの試みを取り違えれば、ユーザーは同サイトの新しいデザインについて、雑然としすぎていて分かりにくいと不満を訴え続けることになる。しかし、もしアルゴリズムがユーザーに対し、お気に入りになると思いもしなかった、お気に入りのものへのリンクを供給し始めたとしたら、それはアルゴリズムが機能しており、Facebookがウェブ上で最も有益な情報源となるための一歩を踏み出したことを意味している。つまり、どのユーザーが何を好きなのか、ユーザーは誰に影響を及ぼしているのか、ほかのユーザーに影響を及ぼす可能性が高い人々にリーチするにはどうすればいいのか(友達を経由するのが手掛かりとなるだろう)、といった情報だ。
1つの企業がこのデータベースを所有しているのは怖いことだが、Facebookはこの苦い薬を甘いお菓子でコーティングしている。われわれは、Facebookを通じて好きな音楽を見つけることができる。Facebookで一緒にハイキングに行く友達とつながることもできる。Facebookを使えば、友達がどんな書籍を読んでいるのか分かるので、それらにから学習することも可能だ。そして、われわれは友達やFacebook自体のために、これらすべてのことが簡単にできるようにするだろう。こうして、好みや活動に関する個人情報で「Timeline」は埋め尽くされていく。
今後、Facebookがアルゴリズムを有効にし、同プラットフォームを通してより多くの開発者にデータを公開していくにつれて、プライバシーに関する間違いが発生する可能性は十分にある。あるユーザーはFacebookから距離を置きたくなるかもしれない。あるいは、Facebookを通して流れてくる魅力的なリンクやメディアにかかわらないようにするかもしれない。ただし、Facebookが間もなく提供を開始するサービスにユーザーがノーと言うのは難しいだろう、というのが筆者の考えだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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