JASDAQ NEO市場第1号銘柄であるユビキタス。組み込み向けネットワークソフトウェア「Ubiquitous Network Framework(旧:UbiquitousTCP/IP)」や組み込み向けデータベース「DeviceSQL」、そして2010年に提供を開始したLinuxやAndroid向けの高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot」の3本柱でビジネスを展開する同社は、2011年5月で創業10周年を迎えた。ユビキタスではこれを“第二の創業期”と位置づけて新ビジョンを発表。新たな事業を展開する。
6月17日に開催された会見では、3月に現職に就任したユビキタス代表取締役社長の三原寛司氏が、今後10年の同社のビジョンと、その実現に向けたプロジェクトなどを説明した。Ubiquitous Network Frameworkは、任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」にも採用された実績を誇る。三原氏は、この10年について「組み込みソフトウェアをアプライアンス側に提供し、ロイヤリティモデルで高い利益率を出してきた」と説明。その一方で、社名にもなっているユビキタスネットワーク関連の市場では収益が上がらなかったと語った。
同社は10周年を期に、あらゆるモノとモノがインターネットでつながる「Internet of Things(IoT:モノのインターネット)」の世界のグローバルリーダーとなること、そしてモノとモノ、人とサービスをつなぐサービスプラットフォームを提供するという。
その第1弾プロジェクトとして「節電の見える化プロジェクト」を展開する。これに伴い、同日の会見でベンチャー企業Sassorとの業務提携を発表した。Sassorは、コンセントと家電の間にモジュールをセットすることで、家電の消費電力をオンラインで確認できるサービス「Energy Literacy Platform(ELP)」を開発するベンチャー企業。
ユビキタスでも4月に、ネットワークを通じて消費電力を確認できる無線LAN搭載電源タップのコンセプトモデル「iRemoTap」を発表しており、両サービスの連携を進める。具体的な時期や内容はあきらかにされなかったが、まずは法人向けにサービスを提供していくことを検討しているという。
ELPについては、実装予定だった一部の機能を実装しない簡易版製品「ELP Lite」を7月に発売する予定だが、iRemoTapの発売については「なんとか今夏の発売ができないかという声を聞くが、検証などを行い今年度中に発売する」(三原氏)としている。
ロイヤリティモデルで売上は好調な同社だが、組み込みソフトだけでビジネスを継続することに危機感を持っており、ネットサービスとの連携の道を模索していたという。「たとえば組み込みソフトは1つのデバイスに入れて数円から数十円の世界。しかしクラウドのサービスとつなげることで、組み込みソフトの価値をもっと出せるし、サービスで継続的に収益を得ることもできる」(三原氏)
また、今回のSassor同様、ユビキタスの持つ組み込み技術、サービスプラットフォームと結びつくサービス事業者、メーカーなどとは広く提携を進めるほか、場合によってはM&Aも行うとしている。
「Googleが人と人をつなぎ、コンテンツを蓄積するサービスを提供している企業。我々はモノとモノをつなぎ、データを蓄積していき、“IoTの時代のGoogle”になりたい」(三原氏)
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