ウェブの将来について、開発者間での意見の相違が、注目を集める論争になっている。プログラマーは、Adobe Systemsの「Flash」を使い続けるべきだろうか。あるいは、新しいウェブテクノロジを採用するべきだろうか。
この論争は数年前から続いているが、先々週発表されたAppleの「iPad」(「iPhone」と同様Flashをサポートしない)によって、ますます白熱している。これまでAdobeはやや遠慮がちに、Appleが許可するならFlashをiPhoneに喜んで対応させると言っていた。
しかし、同社の最高技術責任者(CTO)Kevin Lynch氏は論争に本気となり、米国時間2月2日のブログ記事で、Appleが同社の「魔法のデバイス」でFlashに対応しようとしないことは、iPadを購入した人が実質的に不完全なウェブを見ることを意味すると述べた。さらに同氏は、Googleの「Nexus One」という切り札も切った。
Lynch氏は、「われわれは『Flash Player 10.1』を、1社を除くすべての大手メーカーのスマートフォンに、間もなく対応させるところだ」と述べ、そのようなデバイスの1つとして特にNexus Oneに言及した。そして、同ソフトウェアが、タブレット、ネットブック、インターネット対応テレビでも動作することを付け加えた。「ブラウザにFlashがあることは、これらのデバイスにとって競争上有利だ。なぜなら、ユーザーがウェブのすべてをブラウズできるからだ。Appleが同社のユーザーのためにFlashを有効にするという選択をするなら、Flashをこれらのデバイス上のブラウザで有効にする準備ができているが、現在のところ、それを実現するために必要なAppleからの協力を得られていない」(Lynch氏)
Flashは実際、コンピュータではほとんどすべてに普及しており、Adobeの統計によると普及率は98%以上だという。そのルーツはグラフィックアニメーションにあるが、成功を確かなものにしたのは、Microsoft、Apple、RealNetworksの御しがたく互換性のないテクノロジに悩まされていたウェブに、ビデオをストリーミングする簡単なメカニズムを提供したことだ。
しかし、ウェブページの記述に使われるHTML標準の一新されたバージョンなど、数々の新しいテクノロジが、Flashが実現していることの一部を再現することを目指している。
ブラウザメーカーOpera Softwareのウェブ標準エバンジェリストであるBruce Lawson氏は、HTMLとそのほかのテクノロジは必然的にFlashを置き換えるだろうと考えている。それらのテクノロジを集めればすでに、現在のFlashの能力を再現するのに「非常に近づいている」という。
「ウェブ(ビデオ、ゲーム、アニメーションを含む)は、ビジネスやコミュニケーション、社会にとって不可欠なプラットフォームであるため、どのベンダーであれ1社のベンダーの手にゆだねることはできない。しかし、しばらく時間がかかるだろう。Flashを使った既存のコンテンツが大量にあるからだ」(Lawson氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力