これらの企業間の違いを突き詰めていくと、結局のところMicrosoftは現在のウェブに焦点を置いており、競合各社は未来のウェブに焦点を置いている、ということになる。
インターネットは、読むための静的なページとクリックするためのリンクで構成されたウェブから、計算処理を実行したり人々がインタラクションをしたりするアプリケーションまでをも含むウェブへと進化している。言い換えれば、今やブラウザには、ページを読み込むだけでなく、データを処理することも求められている。優勢を誇るMicrosoftのシェア(Net Applicationsの調査によると67%)は、メインストリーム寄りの世界を反映しているが、競合他社が目指しているのは、これからメインストリームが向かっていくと自分たちが考えるところだ。
「JavaScriptを高速化するほど、ウェブはいっそう面白く、いっそうインタラクティブなものになる」と語るのは、MozillaのFirefox担当ディレクターであるMike Beltzner氏だ。
Googleも同じ意見だ。同社のChrome担当エンジニアであるDarin Fisher氏は「多くのウェブ開発者たちが、JavaScriptが制約となってやりたいことができずに嘆いている様子を見てきた」と言う。JavaScriptだけがボトルネックというわけでないことは確かだが、Googleでは「パフォーマンスにとって圧倒的に大きなチャンスを見いだせた領域は、JavaScriptの改良だった」と結論付けている。
Googleは、JavaScriptの高速化に対して直接の利害関係を持っている。同社も、インターネットベースのアプリケーションやサービスが、パーソナルコンピュータ上でネイティブに実行されるアプリケーションやサービスに取って代わる、クラウドコンピューティングを熱心に提唱する企業の1社だ。
といっても、「Google Docs」「Google Calendar」「Gmail」が特別だというわけではない。YahooやFacebook、そのほかの無数のサイトが、JavaScriptを広範に使用しており、Microsoft自身も自社の「Office」スイートのオンラインバージョンの提供に向けて取り組んでいる。
同様にワードプロセッシング、スプレッドシート、そのほかのタスクのためのウェブベースのツールを提供しているAdventNetのZoho部門もまた、JavaScriptの高速化を望んでいる。Zoho最高経営責任者(CEO)であるSridhar Vembu氏によると、現在同社は、「IE 6」でサイトを利用するユーザーのために、機能を一部減らした別のサイトを表示する必要があるという。
新世代のブラウザは、「当社が提供しているようなアプリケーションにとって、JavaScriptのパフォーマンスと機能に根本的な革新をもたらすものであるため、これを非常に楽しみにしている。1年以内にこれらのブラウザが市場で優勢になると考えている」とVembu氏は言う。
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