ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「GREE」を運営するグリーが12月17日、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。調達額は約36億円で、2008年の新規公開株では2月のセブン銀行に次ぐ規模となる。
グリーの2008年6月期の売上高は29億3748万円と前年同期の9倍に伸びており、経常利益は10億5125円と利益率が高いのが特徴だ。会員数は10月に700万人を超え、アクセスのほとんどがモバイル経由となっている。
金融危機が叫ばれる中、なぜこの時期に株式を公開したのか。また、業績が急成長している理由はどこにあるのか。グリー代表取締役社長の田中良和氏に聞いた。
もともと1人でやっていたGREEというサービスを、1人で運営するには限界があるということで会社を設立して、できることをより増やすために上場していくということなので、資金調達をすることでいろいろな新しいことに挑戦できる会社になったと感じています。
あとは粛々と株式が売買されるだけなので、付いた価格を厳粛に受け止めて、行動していくだけですね。
グリーとしては、もっといいサービスを作って大きな会社にしていきたいという思いがあります。その中で資金調達をする必要があった。もともと僕らとしては、順調に進めていくと今ぐらいの時期に上場すると考えていたので、世の中の景気の変動にとらわれず当初のスケジュール通りに実行できたというところです。
資金も我々が希望していた額は調達できるので、問題ないかなと。逆に、ここで早く上場して、次のプロセスに進んでいくことが重要かなと思っています。
広告宣伝費やサーバ費用が主な使途です。今のサービスを大きくしていくプロセスの中で必要になるということですね。直近では今のサービスに注力して大きくしていきます。
一番の特徴は、釣りゲームやペット育成型ゲームなどのゲーム要素をうまく加えているところにあります。そこがユーザーに受けていますね。毎月のユーザー数の増加推移を競合他社と比較すると、ディー・エヌ・エーのモバゲータウン、ミクシィのmixiよりもGREEのほうが純増数が多くなっています。
収入源は広告と個人に対するデジタルアイテム販売の2本立てで、直近の四半期(7〜9月)の内訳は広告と課金が3:7です。広告とユーザー課金の両方に力を入れているのですが、直近ではユーザー課金のほうが伸びているというだけです。
グリーは基本的にサービスを内製しているんです。そこで、品質がいい、面白いゲーム要素を盛り込めているんだと思います。ゲーム的要素というのは、100本あれば100倍面白いというわけではなく、1つでもキラーコンテンツがあればいいという、「量より質」という部分があります。一発必中で当たっているというところですね。
携帯電話事業者の課金システムを使って、アバターアイテムやペットゲームの餌、釣りゲームの釣竿などを売っています。ユーザーはアバターやゲームをより楽しむためにお金を払っているということになります。
これは、無料ゲームで集客してSNSを盛り上げるというモデルとは少し違っていて、SNSとゲームが密結合しているところが新しいところだと思います。例えば、釣りをしているページから友達のプロフィールページが見られたり、プロフィールページからどんなペットを飼っているかがわかったりといったように、相互に行き来しやすいようにしています。
その差はあいまいなものなので、我々の場合は、どちらでも使えるようにするというコンセプトを掲げています。ネットだけの付き合いをしたい人も、リアルでの友人とだけ付き合いたい人も、どちらも半分半分でやりたいという人も、全員が使えるサービスを作るというのが、今の世の中に求められていることかなと思っています。
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