VMwareは米国時間11月10日、ハンドヘルド端末向けの新しい仮想化プラットフォーム「VMware Mobile Virtualization Platform(MVP)」を発表した。
このVMware MVPは、VMwareが10月にTrango Virtual Processorsから買収した技術が基礎になっている。VMwareによると、このVMware MVPを利用することにより、「ハンドセットベンダーは(仮想マシンの利用を通じて)開発期間を短縮し、付加価値のあるサービス付きの携帯電話をより早く市場に投入できる」という。
また、このVMware MVPはビジネスユーザーにもメリットがある。VMwareによると、このMVPを利用することにより、各企業のIT部門は、全社員の個人的な携帯電話に「企業用電話としての設定」を持たせられるという。これにより、幅広い端末をサポートする一方でセキュリティも強化できるとしている。
VMwareの社長兼最高経営責任者(CEO)のPaul Maritz氏は声明の中で、「われわれがx86ハードウェア向けに開発した仮想化の利点を携帯電話市場に拡大できることに興奮を覚えている」と述べ、さらに次のように続けた。「仮想化によってハードウェアからのアプリケーションやデータを抽象化することで、ハンドセットベンダーは端末の発売までの期間を短縮できるだけでなく、携帯電話ユーザー向けの革新的なアプリケーションやサービスの開発に向けた道が開けることを期待している」
VMwareによると、MVPは「ソフトウェアの薄いレイヤー」であり、「携帯電話に組み込まれ」「低消費電力で、メモリに制約のある携帯電話上で効率良く動作するのに最適化されている」という。チップセット設計会社のARMもこのプロジェクトに関与している。ARMのマーケティングおよびプロセッサ担当バイスプレジデントEric Schorn氏は、「ARM Cortex-A8、Cortex-A9プロセッサを使った次世代携帯電話の設計者および消費者の間で、仮想化技術に対する需要が急速に高まっている」と指摘する。
Cortex-A8、Cortex-A9の両プロセッサは間もなく、スマートフォンだけでなくNetbookやモバイルインターネット端末にも搭載され始める。そうなれば、MVPの潜在市場も拡大することになる。
ZDNet UKはARMに同社の仮想化サポートの範囲について問い合わせた。同社の声明によると、VMwareプログラムを通じて「強化」されるらしいが、この記事の執筆時点では回答は得られなかった。
MVPは、ハンドセットメーカーに対し、「基礎となるハードウェアの差異に関わらず、多様な携帯電話に同じソフトウェアスタックを搭載する」機会を約束する。またVMwareによると、デバイスドライバをハンドセットのオペレーティングシステム(OS)から分離することにより、メーカーはモデル間のアプリケーションの移植に費やす時間を短縮できるという。
またVMwareは、オープンソースモバイルOSへの流れにもうまく乗っている。同社は、「(MVPの利用により)ベンダーは、(デジタル著作権管理、認証、料金請求といったサービスを)オープンなOSから分離し、それらのサービスを隔離された、改ざん防止機能付きの仮想マシン上で運用することにより、仮にオープン環境が危険にさらされても、サービスへの影響を回避できる」としている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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