世界最大級の総合オンラインストアAmazon.com。その日本版サイトAmazon.co.jpは、2000年11月に「本」ストアをオープンし、翌2001年に「音楽」「DVD」「ビデオ」「ソフトウェア」「TVゲーム」ストアを追加。その後も、「エレクトロニクス」「ホーム&キッチン」(2003年)、「おもちゃ&ホビー」(2004年)、「スポーツ」(2005年、現「スポーツ&アウトドア」)、「ヘルス&ビューティー」(2006年)と、次々に新ストアを開設した。2007年も、3月に「時計」、6月に「ベビー&マタニティ」、さらに10月には「アパレル&シューズ」と、3つのストアを立ち上げており、サービス拡張に余念がない。
同社が第一に掲げる「地球上で最も豊富なセレクション」との標語の通り、単に店としてだけでなく、書誌等の検索ツールとしても活用できるほどの充実した品揃えが特徴だ。とはいえ、Amazon.co.jpを運営する日本法人、アマゾン ジャパンは、設立からまだ8年。「Grocery(食料雑貨店)」や「Jewelry」、「Digital Downloads」など、本家Amazon.comにあってAmazon.co.jpが導入していないカテゴリは多く、今後さらにサービスの展開、改善を進めていく方針だ。
世界6カ国に進出するアマゾングループ全体の従業員数は約1万人。ワールドワイドに事業を展開する企業としては、決して多くはない。アマゾンジャパンの社員数、採用人数などは一切非公開だが、サービス拡大に伴い、年々増加傾向にあるという。シニアリクルーターの高橋美智子氏によれば、その増加の仕方に、同社の特徴を見出せるとのことだ。
「メーカーなどが事業拡張する場合、セールスなどのフロントの人員は増やしても、バックオフィスの人員数を据え置くことが多いですが、当社は増やすんです。ウェブ企業共通の特色かもしれませんが、当社は意志決定が非常に速いので、事業拡張に対応するためには、バックオフィスにも人数が必要になるんですね」
ただし、補強されるとはいっても少数精鋭のため、必然的に各人のこなさねばならない仕事量は多い。変化の激しいウェブ業界のため、「早く決断するほど、リスクは下がる」(高橋氏)という考えが同社にはあり、自ずとスピードが要求される。自己管理能力や、仕事に優先順位を付ける能力、あるいは話の内容を一度で理解する能力が問われる。
「確かに、当社の社員は皆、コミュニケーションが早いですし、効率的に仕事をこなす方法を常に考えています。ただ、いろいろな人がいますし、決して優等生的ではないんです。やらなければならないことをがむしゃらにやるというより、『やりたいことが多いんだから、時間が足りないのは当然』という感じなんですよ」(高橋氏)
こうした社員の意識を最も端的に表しているのが、“Work Hard, Have Fun, Make History!”という同社の企業理念だ。マネージャー同士が部下の状態について話し合う際にも、「彼、あまり仕事を楽しんでいないみたいなんだ」というように、「ハッピーに仕事をしているか、そうでないか」という観点で語られることが非常に多いという。「企業理念の“Fun”こそがこれまでAmazon.comが発展してきた最大の要因である」という認識を、社員が共有しているというわけだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」