Googleが中国に進出して1年が経つ。Google中国進出というと、規制した検索結果を表示する中国版Googleサービス開始のニュースがあった今年1月からと思われがちだが、中国R&Dセンターをスタートさせたのが2005年の7月、同社グレーターチャイナのバイスプレジデントして李開復(Kai-Fu Lee)氏と周韶寧(Johnny Chou)氏が就任したのが同年10月なので、今年10月でGoogleが中国に進出して1年経つというわけだ。
ローカル化1周年とはいえおめでたムードは中国メディアにはない。むしろ中国における検索市場では百度(Baidu)におされているため、周韶寧氏が業績向上しないことを理由に2年目の契約更新が出来ないのではないかという疑惑が中国の様々なウェブメディアで駆け巡っている。今に始まったことではない。何度となくGoogle中国撤退説が中国メディアから流れた。
CNNICによる2006年9月の統計では、Googleのシェアは中国検索市場全体の広告収入の25.3%で、前年同期で比べ8%マイナスとなっている。その一方で百度は市場金額で全体の62.1%となっており、Googleに大きく水をあけている。一方で利用者の実態を見てみると職業別では社会人にはGoogleが、学生には百度が人気で、都市別では上海ではGoogleが、北京では百度が人気といった具合でGoogleと百度は拮抗している。
この1年で百度はサービスを大幅に拡充した。Googleの1年を振り返ると、前述の通り1月に中国向けサーバーを中国国内に移転し、4月にGoogleの中国語名「谷歌」を命名しローカライズしたGoogleを中国のエンドユーザーに訴えたほか、サービス面では7月にGoogle Trends中国語版を、9月にGoogle Desktop中国語版などをリリースした。今後中国語版図書検索をリリース予定だ。とはいえ百度に比べれば新サービスのリリース頻度は多くない。またメインサービスである検索サービスについてもローカライズして1年経った今でも、例えば検索結果のキャッシュが利用できない(「キャッシュ」と書かれたリンクはあるが、クリックするとNot Foundとなる)など、100%サービスが利用できない状態だ。「谷歌」の命名に関しても前述のCNNICの統計によると、Googleを主に使用している人の僅か3割強の人しか「谷歌」の単語を知らないという調査結果となっている。
それでも李開復氏と周韶寧氏は揺るぎないコメントをこの1年出してきた。6月には周韶寧氏は「来年が飛躍の年となる」と、今月には李開復氏は「本格的に中国で展開しわずか数カ月でこの統計結果なら満足だ」とコメントしている。この自信のコメントの背景として「Googleは以前中国語環境に対し5人しか投入していなかった。もし今年200人、来年1000人研究者を投入すればどうなるだろう(周韶寧氏)」「目標は中国内で良いサービスを提供するだけではなく、中国発のGoogleブランドのソフトを開発し、アメリカ本社で英語版を作ってくれること(李開復氏)」と研究開発に投資をすることで長期的にトップシェアになる戦略がある。実際Googleの中国工程研究院(Chinese R&D center)を現在の100人から今年末までに350人に増員する。
中国の検索市場での競争は現在のところ百度のほうが優位に立っているが、来年はGoogleが一気にシェアを奪いにくるかもしれない。
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