米国人は目新しい道具にはお金を出すが、音楽にはお金を支払っていない。
MP3プレーヤーとマルチメディアダウンロードへの関心が高まる一方で、ユーザーは音楽をダウンロードするよりもCDからリッピングすることの方が多いことが、米国時間6月29日発表のIpsos Insightの調査結果で明らかになった。
12歳以上の米国人の20%が最低1台の携帯用MP3プレーヤーを保有していた。母数をティーンエージャーに限定すればその所有率は54%に達すると、同調査では述べている
この54%という数字をオンラインメディア業界は喜んでも良いだろうとIpsosのアナリストであるMatt Kleinschmit氏は言う。テレビ番組や音楽ビデオ、映画などのマルチメディアのダウンロードを盛んに行うのは25歳以下の人たちであると、同氏は述べる。
しかし、プレーヤーに音楽をダウンロードするユーザーのうち約44%は、主に既に所有しているCDコレクションからMP3プレーヤーに音楽を移すと回答しており、6%が他人の所有するCDから音楽をコピーするとしている。また有料の音楽ダウンロードサービスで楽曲を購入する利用者はわずか25%で、サブスクリプション契約サービスの利用者はさらに少ないと言う。
「音楽業界はこれを見て、CDが唯一の商品だという考えは古いということに気付き始めた」とKleinschmit氏は言う。「着信音も商品になるし、それを音楽と組み合わせたり音楽ビデオと組み合わせたりすることもできる。CDの枠から一歩出て、発想の全く異なる若者たちの時代に足を踏み入れればよい」(Kleinschmit氏)
有料の音楽ダウンロードサービスが立ち上げられたときには、これを主導するのは若者だと考えられていた。しかし実際は異なり、25歳以下のユーザーは音楽のダウンロードに無料のファイル交換ネットワークを利用し続けたとKleinschmit氏は述べる。
同氏によると、レコード会社を驚かせたのは、25〜34歳、35〜54歳の層が音楽ダウンロードサービスを一番利用していたことだ。アルバム以外に個々の楽曲も販売するApple ComputerのiTunes Musice Storeは2005年、Tower RecordsやBorders Musicを超える売り上げを記録した。
Kleinschmit氏によると、人々はレコード会社が制作したCDを所有しないという発想には慣れてきたが、自分で音楽を所有するという発想にはまだ縛られているという。有料のオンライン音楽配信サービス利用者のうち、67%はダウンロードした音楽を所有できるタイプのサイトを利用している。「音楽ダウンロードサービス利用者のうちわずか17%が、会員制音楽配信サービスのダウンロードサイトを利用した経験がある」とKleinschmit氏は言う。
同調査によると、米国人の6%が複数のMP3プレーヤーを所有していた。
2006年のデータは1月13日〜5月2日に集められ、iPodのようなデバイスの所有者の大幅増を記録した。Ipsosの2005年の調査では米国人の15%がMP3プレーヤーを保有していた。2002年時点での保有者はわずか8%だった。2005年のPewの調査でも、米国成人の11%がMP3プレーヤーを保有しているとある。
あるアナリストによってiPodの出荷の遅れが予測されているものの、AppleはMP3プレーヤーの分野で依然トップの座に君臨している。1月から4月には、AppleはMP3プレーヤー市場のシェア77.2%を獲得したと、市場調査会社NPD Groupの米国販売台数データには記載されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」