2015年 07月 21日
移民問題:フランスの場合 |
日本には中国人観光客が押し寄せていますが、ヨーロッパには中東やアフリカの紛争地から逃れてきた難民が殺到しているそうで、
イタリアとフランスの国境では、互いの国の警察隊が難民を相手の国に押し付けようとしてケンカになっているといいます。
ヨーロッパ諸国は1960年から70年代にかけての高度成長時代に、多くの移民労働者を受け入れてきました。
フランスについていえば、60年代から北アフリカや西アフリカの旧フランス植民地から大量の移民を受け入れています。
初めてパリに行ったとき、街中の道路の清掃をしている人間が全員、黒人であることに驚いたことを覚えています。
彼らは西アフリカの最貧国、マリなどから出稼ぎに来ている黒人で、びっくりする程、安い給料で働いて、パリ郊外のスラムの簡易ホテルに住み、ベッドをびっしり並べた部屋にすし詰め状態になって暮らしているとのことでした。
低賃金と劣悪な生活環境にもかかわらず彼らがパリに来て働いていたのは、故国の生活がもっと貧しかったからです。
パリの通りを歩くフランス人は、道路の隅でホウキを使って、黙々とゴミを掃いているこれら黒人を完全に無視していました。
まるで人間ではないかのように。。。
実際、彼らは道路の端の黒い影にしか見えませんでした。
それを見て、私は「自由、平等、友愛」というフランス共和国のスローガンはたちの悪い冗談でしかないことを理解したのでした。
その後、日本に帰国して、日本で公園やビルで掃除をしている人間が全員、日本人であるのを見て、ホッとしたことを覚えています。
フランスにはマグレブと呼ばれる北アフリカのモロッコやアルジェリアから来たアラブ系移民も沢山いました。
彼らは、主としてルノーやプジョー、シトロエンなどの自動車工場で働き、フランスの自動車産業を支えていました。
北アフリカから来たアラブ人も西アフリカから来た黒人も郊外のビドンヴィルと呼ばれるスラムに居住していたのですが、
居住環境は劣悪で、道路が舗装されていないため、雨が降ると道はぬかるみになり、パリ中心部に通勤するスラムの住民は泥んこ道を歩くための靴とパリに着いてから穿く綺麗な靴の2足を用意していたといいます。
60年代の終わりには不衛生な環境のせいでチフスが発生します。
「フランスのような先進国でチフスのような伝染病が流行するのは、国の恥だ」
という批判の声が高まり、
フランス政府はようやく重い腰をあげて、バンリューと呼ばれる郊外にHLMと呼ばれる低所得者向け住宅を建てて、移民労働者を収容するようになりました。
70年代の半ば、知り合いのアルジェリア人に頼まれて、パリ郊外のジュヌヴィリエにある彼の兄のアパートを訪れたことがあります。
ジュヌヴィリエには、メトロの終点のポルト・ドゥ・ラ・シャペルからさらにバスを乗り継いで行く必要があったのですが、バスの乗客は私も含めて全員、有色人種でした。
唯一の白人はバスの運転手で、この運転手は人種差別意識丸出しで、有色人種の乗客を怒鳴りつけていました。
そうして辿りついたHLMの団地が建ち並ぶジュヌヴィリエは、日本人がイメージする花の都パリとはおよそかけ離れた荒廃した空気の漂う町でした。
それでも昔のビドンヴィルと較べるとずっとマシだそうですが、移民が一般のフランス人住民から隔離されて、このようなゲットーに閉じ込められていることにショックを受けたものです。
2005年にパリ郊外で北アフリカ出身の少年が警察に追われ逃げ込んだ変電所で感電死した事件をきっかけに移民2世たちによる暴動が起こり、暴動は瞬く間にフランス全土に拡大しました。
バンリューに住む移民2世たちの日頃の不満が一挙に爆発したのです。
フランスは国籍に関しては出生地主義をとっていることから、フランスで生まれたアラブ人や黒人の移民2世は殆ど自動的にフランス国籍を取得できるそうです。
そのため、彼らは一応、フランス人ということになりますが、現実には企業の就職試験を受けると肌の色で差別され、不採用になるケースが多いといいます。
移民1世は、故国の貧しい生活を知っていたので、フランス人に差別されても我慢できました。
しかし、フランスで生まれ育った移民2世は両親の祖国の貧しさを知らないし、建前としては、フランス国民としての権利を保障されているにもかかわらず、
現実には厳然とした差別が存在する状況に我慢がならないのでしょう。
元々、フランスの若年労働者の失業率は高く、2012年11月時点で24歳以下については26.1%に達しています。
15歳から24歳までの若者のうち4人に1人が失業している計算になりますが、移民2世の若者に限っていえば、失業率は40%に達するそうです。
これら無職の移民2世は仕事に就けないことから非行に走るケースが目立つそうですが、最近、憂慮されているのは、これら移民2世がイスラム過激主義に染まることです。
フランスに居住しながら、フランス社会に溶け込めず、疎外感を抱いている移民2世の心の拠り所になっているのが現地のモスクだといいます。
彼らはここで自分と同様の境遇にある同胞と交わり、過激な教えを説くイスラム指導者に感化されて過激思想を持つようになっていくのだそうです。
現在、シリアとイラクで勢力を伸ばしているイスラム過激勢力ISの下には、ヨーロッパから何千人もの若者が志願して集まってきているといいます。
彼らは国籍は違えども、イスラム移民2世という点で共通しています。
フランスからは500人ほど行っているそうですが、彼らの両親である移民1世は、イスラム教徒といっても穏健で、フランス社会に同化しようと努力していました。
2013年にフランスではイスラム教徒の女性が顔を隠すベールの着用を禁止する法律が制定されましたが、70年代のパリでは、そんな法律がなくとも誰もベールなど被っていませんでした。
フランスの歴史人口学者のエマニュエル・トッドは、最近のヨーロッパにおけるイスラム移民2世のイスラムへの傾倒を「移民2世によるイスラムの再発見」と呼んでいます。
トッドは、移民2世の若者がイスラム過激主義に走るのは、彼らが居住する国で、彼らの居場所がないからだと説明しています。
今年の1月には、イスラムの預言者、モハメッドの風刺画を掲載した週刊誌、シャルリーエブドの本社がイスラム過激派の若者に襲われ、12人が死亡するというショッキングな事件が起こりましたが、
このような事件を受けて、フランスでは、移民排斥を叫ぶ右翼政党の国民戦線が急速に支持を伸ばしているそうです。
現在、フランスではIT技術者などの高度なスキルを持つ外国人を除いて、原則として新たな移民の受け入れは停止しているそうですが、移民の受け入れをやめても難民が押し寄せてきたら同じことです。
シリアを初めとして、難民を生み出している中東やアフリカの紛争地域には、フランスの旧植民地が多いことや、フランスがアフリカの旧植民地の紛争に積極的に武力介入していることなどを考えると、
フランスがこれら難民の受け入れを拒否することは、道義的な観点からみて難しいでしょう。
本日のつぶやき
集団的自衛権、行使容認反対63%に増 朝日新聞調査
http://www.asahi.com/articles/ASG3L72L6G3LUZPS007.html
調査は日本と中国で2~3月、韓国で2月に行い、中国調査は主要5都市で実施した。有効回答は日本2045件、中国1千人、韓国1009人。
?????
つぶやき2
【プロレス】WWE、ハルク・ホーガンを解雇 人種差別発言が理由か
ヘイトスピーチ禁止法案とかLGBT差別禁止法案が通ったら、日本でもこうなります。
「あんたって在日?」「君ってホモっぽいね」といっただけで差別したことになり、警察に通報されて逮捕されるのです。
つぶやき3
オバマ大統領が共同記者会見でLGBTの権利や公平な扱いについて言及するも、ケニヤッタ大統領は同性愛者の権利はケニアにとって問題ではないと発言http://www.aljazeera.com/news/2015/07/kenyatta-gay-rights-issue-kenya-150725182756519.html
父親がケニア人だからといって、同性愛の問題をケニアに持ち込む権利はお前にはない、ということでしょう。
そもそも、オバマの父親はルオ族で、ケニヤッタはキクユ族で、この二つの部族は政治的ライバルで、仲が悪いのです。
つぶやき4
【芸能】ツブすで!「ほっしゃん。」さん、「在日吉本」言われツイッターで暴言!=ネット「在日って言われて火病起してるん?」[07/24]©2ch.net
吉本の芸人って殆ど在日なんじゃないの?
by jack4africa
| 2015-07-21 00:01
| 海外生活&旅行