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静かな雨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
静かな雨
著者 宮下奈都
発行日 2016年12月12日
発行元 文藝春秋
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製本
ページ数 112
公式サイト 静かな雨 単行本 文藝春秋
コード ISBN 978-4-16-390571-6
ウィキポータル 文学
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静かな雨』(しずかなあめ)は、日本の小説家宮下奈都による小説である。第98回文學界新人賞佳作入選作[1]2019年Audible村上聡の朗読でオーディオブック化した[2]2020年中川龍太郎監督により映画化された。

概要

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著者の宮下が初めて執筆して完成させた小説である[3]。本作執筆時、宮下は、3人目の子どもを妊娠しており、自分の時間がなくなってしまうことへの焦燥感に襲われて書いたという[4]

単行本の装画には、ルノワールの『桟敷席の花束』が用いられている。

2004年、第98回文學界新人賞の佳作に入選する[1]。著者の小説家としてのデビュー作である[3]。『文學界』2004年6月号に掲載される。加筆が施された後、2016年12月12日、文藝春秋より単行本が刊行される[5]。装丁は、大久保明子による。装画には、ピエール=オーギュスト・ルノワールの『桟敷席の花束』 (Bouquet dans une loge) が用いられている[5]

宮下は、「私を書くのが小説ではないかもしれないけれど、これだけ私の人生の詰まったものを書けといわれたらもう書けない。一世一代の、人生に一度しか書けない小説だったのだと思う」と語っている[3]

あらすじ

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足に先天的な麻痺があり、いつも松葉杖を使っている行助。ある年のクリスマスの日、会社が倒産したことを知らされる。行助は家に帰る途中、プレハブ建ての店で買ったたい焼きの美味しさに感激し、働いている女の子こよみに「美味しい」と伝える。やがて二人はときどき一緒にごはんを食べる仲に。ある日の朝、こよみは交通事故に遭う。3ヶ月ほど眠り続けたこよみは、新しい記憶を短期間しか留められない高次脳機能障害と診断される。

主な登場人物

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行助(ゆきすけ)
大学の研究室で働いている。足に先天的な麻痺があり、足を引きずって歩いている。
こよみ
たい焼き屋の店員。交通事故により脳に傷害を負い、記憶を短期間しか留めておけなくなる。

書評

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女優で作家の中江有里は、「不思議と悲壮感はない。この物語が病や過酷な状況に立ち向かうのではなく、「行助の世界」と「こよみさんの世界」のあり方を問うているからではないかと思う」[6]と評価している。ダ・ヴィンチニュースには、「『静かな雨』と『羊と鋼の森』を読み比べてみると、その感性の鋭さが初期の頃から備わっていたことに気づくはずだ」[7]との書評が掲載されている。

映画

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静かな雨
It Stopped Raining
監督 中川龍太郎
脚本 梅原英司
中川龍太郎
原作 宮下奈都『静かな雨』
製作 藤村駿
木ノ内輝
出演者 仲野太賀
衛藤美彩
三浦透子
坂東龍汰
古舘寛治
川瀬陽太
河瀨直美
萩原聖人
村上淳
でんでん
音楽 高木正勝
撮影 塩谷大樹
編集 田巻源太
制作会社 Tokyo New Cinema
製作会社 WIT STUDIO
配給 キグー
公開 日本の旗 2020年2月7日
上映時間 99分
製作国 日本の旗 日本
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静かな雨』(しずかなあめ、It Stopped Raining)は、中川龍太郎監督、仲野太賀衛藤美彩のダブル主演で2020年2月7日に公開された日本映画[8]乃木坂46の元メンバーである衛藤美彩にとって映画初出演にして初主演作品である。

おおかみこどもの雨と雪』などで知られる高木正勝が音楽を手掛けた。

2019年10月の第24回釜山国際映画祭でワールドプレミア上映された。第20回東京フィルメックスのコンペティション部門に選出、2019年11月24日に国内初上映され、同映画祭にて観客賞を受賞した[9]

キャスト

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スタッフ

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出品

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受賞

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外部リンク

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脚注

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  1. ^ a b ティーンズ講演会「岸 政彦×宮下奈都 トークセッション」を開催します”. 福井県 (2018年1月19日). 2019年1月27日閲覧。
  2. ^ Audible(オーディブル):本は、聴こう。 narrated by 村上 聡|Audible.co.jp”. Audible.co.jp. 2020年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月6日閲覧。
  3. ^ a b c 宮下奈都さんの本屋大賞受賞後第一作『静かな雨』”. 日本出版販売 (2017年1月25日). 2019年1月27日閲覧。
  4. ^ 篠原知存 (2016年4月25日). “初版6500部→50万部突破 宮下奈都さん「羊と鋼の森」”. 産経新聞. https://www.sankei.com/article/20160425-RRTDRZQXTJJPPHUSHJVKY57KPY/2/ 2019年1月27日閲覧。 
  5. ^ a b 静かな雨 単行本”. 文藝春秋. 2019年1月27日閲覧。
  6. ^ あらゆる感覚が研ぎ澄まされる幻のデビュー作”. ブックバン (2017年1月19日). 2019年1月27日閲覧。
  7. ^ 五十嵐大 (2018年9月13日). “『羊と鋼の森』を深く知るカギは『静かな雨』にある? 宮下奈都作品に共通する、繊細な世界観とは”. ダ・ヴィンチニュース. https://ddnavi.com/review/487295/a/ 2019年1月27日閲覧。 
  8. ^ “仲野太賀と衛藤美彩、同世代監督と作り上げた「静かな雨」日本初披露”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2019年11月24日). https://natalie.mu/eiga/news/356763 2019年11月24日閲覧。 
  9. ^ 仲野太賀と衛藤美彩のW主演映画が東京フィルメックスで「観客賞」を受賞”. ザテレビジョン. KADOKAWA (2019年12月1日). 2019年12月1日閲覧。

参考文献

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  • 宮下奈都『静かな雨』文藝春秋、2016年。ISBN 978-4-16-390571-6