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【新用量】ビランテロール・フルチカゾン(レルベア)
小児喘息に1日1回吸入でよいICS/LABA配合薬

2024/09/20
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2024年8月23日、喘息治療配合薬ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステル(商品名小児用レルベア50エリプタ14吸入用、同50エリプタ30吸入用)が発売された。1ブリスター中に、ビランテロール(VI)25μgおよびフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)50μgを含有している。同薬は、6月24日に製造販売が承認され、8月15日に薬価収載されていた。適応は「気管支喘息(吸入ステロイド薬および長時間作動型吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)」、用法用量は「5歳以上12歳未満の小児に、1日1回1吸入投与(VI 25μg・FF 50μg)する」となっている。

 なお、同成分配合製剤としては、2013年9月、レルベア100(VI 25μg・FF 100μg)とレルベア200(VI 25μg・FF 200μg)が成人の気管支喘息で承認。2016年12月、レルベア100に成人の慢性閉塞性肺疾患(COPD)が追加承認された。

 気管支喘息は気道の慢性炎症を特徴とし、発作性に起こる気道狭窄により、咳嗽や呼気性喘鳴、呼吸困難を繰り返す疾患である。小児気管支喘息の薬物治療は、成人気管支喘息の治療と同様に、吸入ステロイド薬(ICS)が基本となる。重症度によって、長時間作動型吸入β2刺激薬(LABA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)、テオフィリンなどを併用することが推奨される。ICS/LABA配合薬は、ICSや、ICSとLTRAの併用でもコントロール不十分な治療ステップ3または4の基本的治療の一つとして位置付けられている。

 日本で小児気管支喘息に使用可能なICS/LABA配合薬には、フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)・ホルモテロールフマル酸塩水和物(フルティフォーム)、FP・サルメテロールキシナホ酸塩(アドエア)が承認されているが、いずれも1日2回の吸入投与が必要である。

 レルベア50は、1日1回吸入投与で小児喘息治療の利便性の改善による患者のアドヒアランスと喘息症状のコントロールの向上が期待できるICS/LABA配合薬だ。含有されているFFは、ICSとして炎症性サイトカイン産生の抑制、抗炎症蛋白発現の促進、上皮細胞の保護、好酸球浸潤の抑制などの作用を介して抗炎症作用を示す。また、LABAのVIは、アデニル酸シクラーゼを活性化し、細胞内のサイクリックAMP(cAMP)を増加させることで気管支平滑筋を弛緩させる。

 ICS(FP 250μg以下または同等量)で治療中の5歳以上18歳未満の気管支喘息患者(日本人を含む)を対象とした国際共同第III相試験において、同薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2024年8月現在、米国にて5歳以上の小児に対する喘息適応で承認されている。また、日本においては2024年6月、既存のレルベア100で12歳以上の小児気管支喘息に対して用法用量が追加承認された。

 重大な副作用として、肺炎(0.5%)のほか、アナフィラキシー反応(咽頭浮腫、気管支痙攣など)の可能性もあるので十分注意する必要がある。また、その他の副作用として主なものに、口腔咽頭カンジダ症、発声障害(各1%以上)などがある。

 薬剤使用に際して、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●既存の同成分配合製剤と適応や用法用量(対象患者を含む)が異なるので十分注意すること

●患者の吸入指導資材として、製薬会社から「小児用レルベア50エリプタの使い方」が提供されている

●患者、保護者またはそれに代わる適切な者に、急性の発作に対して使用しないことなど使用上の注意事項を指導すること(添付文書の「効能又は効果に関連する注意」「重要な基本的注意」「特定の背景を有する患者に関する注意」を参照)

●医薬品リスク管理計画書(RMP)では、重要な潜在的リスクとして「重篤な心血管系事象」「副腎皮質ステロイド薬の全身作用(副腎皮質機能抑制、骨障害、眼障害など)」が挙げられている

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