獺祭 (日本酒)
獺祭(だっさい、Dassai)は、旭酒造 (山口県)によって製造・販売されている日本酒の銘柄である[1][2][3][4][5][6][7]。
獺祭 Dassai | |
---|---|
獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 | |
基本情報 | |
種類 | 日本酒 |
詳細分類 |
純米吟醸酒 純米大吟醸酒 |
度数 | 「種類」参照 |
主原料 | 山田錦 |
原産国 | 日本 |
製造元 | 旭酒造 |
販売元 | 旭酒造 |
詳細情報 |
概要
編集原料米に山田錦のみを使用した[8][1][9]純米大吟醸酒で、ラベルに書かれた「獺祭」の字は、地元山口県出身の書道家山本一遊によって揮毫されている[10]。旭酒造は、長きにわたって「旭富士」という銘柄(副原料を用いた普通酒)を主力としていたが、1990年(平成2年)に東京に本格的に進出するに際して「獺祭」という名の銘柄が考案された[11][12]。精米歩合(いわゆる米の「磨き」)を高めて味わいを追求し、1992年(平成4年)に精米歩合23%の「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」を発売[13][14][15]。2012年(平成24年)には「獺祭 磨き その先へ」が発売される[16]。普及価格帯の精米歩合は従来50%であったが、2019年(平成31年)4月1日からはこれを45%に高めて「獺祭 純米大吟醸45」として発売している[17]。
内閣総理大臣在任中の安倍晋三は、2013年(平成25年)10月にロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンに、2014年(平成26年)4月に当時のアメリカ合衆国大統領バラク・オバマに獺祭を贈っている[18][19][20]。バラク・オバマに贈られた獺祭はコーシャ認証を受けている(獺祭はコーシャ認証を受けた日本酒第一号)[21]。また2023年(令和5年)4月に林芳正外務大臣(外相)は、長野県軽井沢町で開かれたG7外相会合の夕食会で獺祭を各国外相に振る舞い、日本の食文化をアピールした[22]。
名称
編集「獺祭」は旭酒造の三代目当主桜井博志[23]が命名した。酒名の由来は、会社の所在地である岩国市周東町の獺越(おそごえ)という地名と、明治時代において俳句や短歌に革命をもたらしたとされる正岡子規が用いた俳号の一つ「獺祭書屋主人」であり、正岡子規のように進取の精神で質の高い酒を造ろうという思いが込められている[11][24][25][26]。「獺祭書屋主人」は、書物を並べて思案する我が身を、獺(カワウソ)が獲物の魚を並べる「獺祭魚」に喩えた[11]。また桜井がかつて群馬県内でスピード違反で取り締まりを受けた時、運転免許証を見た白バイ隊員が獺越という住所について「これ、なんちて読むんよ」と尋ねられ、製品に「獺」の字を使おうと考えていたという[11]。
種類
編集酒名 | 精米歩合 | アルコール度数 | 出典 |
---|---|---|---|
獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 | 23% | 16% | [3][27] |
獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 遠心分離 | 23% | 16% | |
獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 | 39% | 16% | |
獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 遠心分離 | 39% | 16% | |
獺祭 純米大吟醸45 | 45% | 16% | |
獺祭 純米大吟醸 スパークリング45 | 45% | 14% | |
獺祭 磨き その先へ | 非公開 | 16% |
受賞
編集モンドセレクション
編集- 2002年
-
- 「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」が金賞を受賞[28]
Kura Master
編集DASSAI BLUE
編集「DASSAI BLUE」は獺祭の姉妹ブランドの日本酒である。旭酒造がアメリカ合衆国(米国)ニューヨーク州に建設した酒蔵「DASSAI BLUE SAKE BREWERY」が製造・販売し、ラインアップは「タイプ50」「タイプ35」「タイプ23」の3種類。2023年9月25日から同州の小売店およびレストラン向けに販売を開始。価格は日本から輸出される獺祭を多少下回る程度である[33]。
名称はことわざである「青は藍より出でて藍より青し」に由来。ニューヨーク州の水を使用し、アメリカ在住者の好みに合わせてアルコール度数を下げている。
DASSAI BLUE SAKE BREWERYでの当初の生産量は、米国向け「獺祭」輸出量の4分の1にあたる500石(1石は180リットル)であり、10年後までに7,000石の生産を目指す。また操業開始当初は日本産の山田錦を酒米として使用するが、2024年1月頃からアーカンソー州産の山田錦の使用を開始し、いずれ全量をアメリカ産の酒米に切り替える予定である[33]。
登場する作品
編集関連項目
編集- BANZAI JAPAN:アイドルグループ。山口県出身のメンバー・藤崎ふみが旭酒造公認・獺祭お姉さんとして獺祭のPRをしている[37]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b “旭酒造株式会社(山口県)「日本酒を米国・EU・中国等25ヵ国以上へ輸出」”. 農林水産省中国四国農政局. 2020年10月24日閲覧。
- ^ 田中恭子「変わり続けるという伝統 : 顧客の絶対的満足を追求する旭酒造の酒造り」『総合政策論叢』、島根県立大学総合政策学会、2017年10月20日、CRID 1050001201681041792、2024年4月1日閲覧。
- ^ a b c 峰岸喜美子. “日本酒の獺祭とは?人気の秘密から、種類、値段、美味しい飲み方まで徹底解説”. SAKECOMI. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションの解説”. コトバンク. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “倒産寸前“負け組”酒蔵が起こした奇跡!ピンチに挑み続けた大逆転経営”. テレビ東京. 2014年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月24日閲覧。
- ^ “Origin of the name "DASSAI"”. 旭酒造. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “日本酒好きじゃなくても使いたい♪あの有名な純米大吟醸「獺祭」のシートマスク”. 幻冬舎. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “「獺祭」と富士通がコラボ 酒米不足に挑む”. 日本経済新聞. (2014年11月9日) 2020年10月24日閲覧。
- ^ “山口県を代表する純米大吟醸『獺祭』”. ネオジャパン (2017年1月29日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ 粟島浩二「中小製造業における海外市場展開―旭酒造「獺祭」を事例として―」『県立広島大学経営情報学部論集』、県立広島大学、2017年12月1日、CRID 1050296808061511552、2024年4月1日閲覧。
- ^ a b c d “品質の良さは新鮮な「見た目」で表す! 従来の「旭富士」から「獺祭」に銘柄を統一”. ダイヤモンド社 (2014年1月16日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ “「獺祭」が日本酒の一流ブランドになるまでの紆余曲折”. ダイヤモンド社 (2017年5月15日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ “一風堂、銘酒「獺祭」とコラボレーション 一風堂天神西通り店にて立ち呑みイベント「酒蔵ナイト」を2/22(金)開催”. PR TIMES (2019年2月20日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ “「獺祭(だっさい)」で日本酒の活路を開いた「山口の小さな酒蔵」——旭酒造”. 公益財団法人ニッポンドットコム (2013年12月16日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ a b “巨大なビルで大量生産…日本の名酒『獺祭』がちょっと変だぞ!?”. 講談社 (2017年1月29日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ “県内蔵元による日本酒の海外展開 ~「やまぐちの酒」を世界へ~”. 山口経済研究所 (2017年2月). 2020年10月24日閲覧。
- ^ “オッターフェスト 獺祭50を獺祭45に変更いたします。”. 旭酒造 (2019年3月18日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ “首相、プーチン大統領に誕生祝いの日本酒 飲み干すことを約束”. 産経新聞. (2013年10月7日) 2020年10月24日閲覧。
- ^ “最高の酒に杜氏はいらない 「獺祭」支えるITの技 - 匠を捨て、匠の技を生かす(上)”. 日本経済新聞. (2015年3月24日) 2020年10月24日閲覧。
- ^ “大ヒット日本酒「獺祭」 杜氏の勘を「見える化」アジな革新 旭酒造の挑戦”. 産経新聞. (2015年8月29日) 2020年10月24日閲覧。
- ^ “命のビザと酒が結ぶユダヤと日本の絆”. ニューズウィーク日本版(2021年2月9日号). CCCメディアハウス. (2021-2-2). p. 46p
- ^ “林氏、G7外相夕食会で「獺祭」振る舞う 地元・山口県の高級日本酒”. 毎日新聞. (2023年4月18日) 2023年4月18日閲覧。
- ^ プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】第24回:自分をクビにした父を見返したい、三代目の不屈の精神から生まれた「獺祭」誕生秘話 BizHint(2019年10月15日)2024年4月30日閲覧
- ^ “獺祭命名の由来”. 旭酒造. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “【現場レポート】獺祭の生みの親、旭酒造・桜井会長が語る美味しい酒造りとセキスイ排水処理システム”. 積水化学工業. 2020年10月24日閲覧。
- ^ 兼行太一朗. “銘酒「獺祭」の酒蔵と直営ストアへ!世界規模の美味しさに迫る”. ぐるなび. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “「獺祭」7種類を飲み比べ!精米歩合45%から23%まで日本酒メディア編集部がその違いを徹底テイスティング”. SAKETIMES. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “【知恵の経営】酒造りの「見える化」進める (1/2ページ)”. SankeiBiz. (2017年7月10日) 2020年10月24日閲覧。
- ^ “2017年度 受賞酒発表”. Kura Master. 2020年10月24日閲覧。
- ^ a b “2018年度 受賞酒発表”. Kura Master. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “2019年度 受賞酒発表”. Kura Master. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “2020年度 受賞酒発表”. Kura Master. 2020年10月24日閲覧。
- ^ a b 清酒「獺祭」 米国酒蔵、直接取引で挑む 「日本食以外の販路開拓へ」旭酒造 食品新聞(2023年11月22日)
- ^ a b c “蔵元日記vol.213【エヴァンゲリオン】”. 旭酒造 (2009年8月4日). 2020年10月24日閲覧。
- ^ @DassaiSake (2018年4月9日). "2018年4月9日のツイート". X(旧Twitter)より2020年10月24日閲覧。
- ^ “たくのみ。 #6 獺祭”. TBSテレビ. 2020年10月24日閲覧。
- ^ “"獺祭お姉さん🍶の藤崎ふみもよろしくお願いします🍊"”. BANZAI JAPAN (2019年3月1日). 2023年1月7日閲覧。
関連書籍
編集- 弘兼憲史『「獺祭」の挑戦 山奥から世界へ』サンマーク出版、2020年7月、ISBN 978-4-7631-3841-5
- 勝谷誠彦『獺祭 天翔ける日の本の酒』西日本出版社、2014年10月、ISBN 978-4-901908-91-7
- 【改題】勝谷誠彦『獺祭 この国を動かした酒』扶桑社新書、2016年12月、ISBN 978-4-594-07637-5
外部リンク
編集- 獺祭 (@dassaisake) - X(旧Twitter)