朝尾直弘
日本の歴史学者 (1931-2022)
朝尾 直弘(あさお なおひろ、1931年12月17日 - 2022年7月7日)は、歴史学者(日本近世史)、京都大学名誉教授、文化功労者。住友史料館館長[1]。
文化功労者顕彰に際して公表された肖像写真 | |
人物情報 | |
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生誕 |
1931年12月17日 日本・大阪府吹田市 |
死没 |
2022年7月7日(90歳没) 日本・京都市左京区 |
国籍 | 大日本帝国→ 日本 |
出身校 |
京都大学文学部史学科卒業 京都大学大学院文学研究科国史学専攻修士課程修了 |
学問 | |
研究分野 | 日本近世史 |
研究機関 | 京都大学 |
指導教員 | 小葉田淳 |
主な受賞歴 |
毎日出版文化賞特別賞 紫綬褒章 文化功労者 |
人物
編集大阪府吹田市出身。京都大学の小葉田淳(鉱山史)に学び、『近世封建社会の基礎構造』や『日本近世史の自立』で幕藩制社会の構造を研究し、それは江戸時代の特徴を「兵農分離・石高制・鎖国」とする通説となった。
その後、岩波講座日本歴史に寄せた「豊富政権論」をきっかけに近世初期の研究を進め、「幕藩制と天皇」、「鎖国制の成立」などを併せて『将軍権力の創出』を著し、織豊政権から徳川家康の江戸幕府創設、幕藩体制の完成に至るまでの基礎的な研究を行った。西洋史学から社会史が紹介されると、身分制に着目し始め、被差別民や近世都市の研究を切り開いた[2]。
経歴
編集- 1954年 京都大学文学部史学科卒業
- 1956年 京都大学大学院文学研究科国史学専攻修士課程修了
- 1959年 同大学大学院文学研究科国史学専攻博士課程単位取得
- 1960年 京都大学研修員
- 1963年 堺市史(続編)編集主任
- 1964年 「寛永時代の基礎的研究」で、京都大学より文学博士の学位を取得
- 1968年4月 京都大学文学部史学科助教授(国史学第二講座)
- 1973年 歴史科学協議会代表委員
- 1980年12月 京都大学文学部史学科教授(国史学第二講座)
- 1981年 ハーバード大学日本研究所招聘学者として渡米
- 1983年 冷泉家時雨亭文庫研究員
- 1985年 社団法人部落問題研究所嘱託研究員
- 1990-92年 京都大学文学部長
- 1992年4月 西田龍雄の後任として、京都大学附属図書館長
- 1995年4月 京都大学退官、名誉教授、京都橘女子大学教授。
- 2005年 京都橘大学客員教授
- 2022年7月7日 誤えん性肺炎のため京都市左京区の病院で死去[3]。90歳没。
受賞・受章歴
編集著書
編集単著
編集- 『近世封建社会の基礎構造 畿内における幕藩体制』(御茶の水書房、1978年)
- 『日本近世史の自立』(校倉書房、1988年)
- 『大系 日本の歴史〈8〉天下一統』(小学館、1988年、同ライブラリー、1993年)
- 『将軍権力の創出』(岩波書店、1994年)
- 『都市と近世社会を考える―信長・秀吉から綱吉の時代まで』(朝日新聞社、1995年)
- 『朝尾直弘著作集』(全8巻 岩波書店、2003-2004年)
- 近世封建社会の基礎構造
- 畿内からみた幕藩制社会
- 将軍権力の創出
- 豊臣・徳川の政治権力
- 鎖国
- 近世都市論
- 身分制社会論
- 近世とはなにか
共著
編集編著
編集- 『大阪労音十年史 勤労者芸術運動の一つの歩み』編著 大阪勤労者音楽協議会 研文社 1962年
- 三浦周行『大阪と堺』編 岩波文庫 1984年
- 三浦周行『新編 歴史と人物』林屋辰三郎共編 岩波文庫 1990年
- 『日本の近世』辻達也共編(全18巻 中央公論社、1991~93年)
- 『角川日本史辞典』宇野俊一・田中琢共編(角川書店、1996年)
- 『要説 日本歴史』(東京創元社、1996年)
- 『京の鴨川と橋―その歴史と生活』門脇禎二共編(思文閣出版、2001年)
- 『天下人の時代 16~17世紀の京都』田端泰子共編(平凡社、2003年)
- 『譜代大名井伊家の儀礼(彦根城博物館叢書)』(サンライズ出版、2004年)
- 『住友の歴史(上)』監修(思文閣出版、2013年)
- 『住友の歴史(下)』監修(思文閣出版、2014年)
記念論集
編集- 『日本国家の史的特質 近世・近代』朝尾直弘教授退官記念会編 思文閣出版 1995
- 『日本社会の史的構造 近世・近代』朝尾直弘教授退官記念会編 思文閣出版 1995
脚注
編集- ^ 日本歴史775、2012年12月、「はがき通信」欄。
- ^ 『日本近世史の自立』(校倉書房)、永原慶二『20世紀日本の歴史学』。
- ^ “朝尾直弘氏死去 歴史学者、京都大名誉教授”. 新潟日報. (2022年8月2日) 2022年8月3日閲覧。