新南陽駅
新南陽駅(しんなんようえき)は、山口県周南市清水二丁目にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)山陽本線の駅。
新南陽駅[* 1] | |
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駅舎(2006年11月) | |
しんなんよう Shinnan-yō | |
◄徳山 (4.1 km) (2.9 km) 福川► | |
所在地 | 山口県周南市清水二丁目16-1 |
所属事業者 |
西日本旅客鉄道(JR西日本) 日本貨物鉄道(JR貨物) |
所属路線 | ■山陽本線 |
キロ程 | 419.0 km(神戸起点) |
電報略号 |
ナヨ スト(周防富田駅時代) |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 1面2線 |
乗車人員 -統計年度- |
1,134人/日(降車客含まず) -2022年- |
開業年月日 | 1926年(大正15年)4月18日 [1] |
備考 | 無人駅 |
歴史
編集- 1926年(大正15年)4月18日:鉄道省山陽本線徳山駅 - 福川駅間に周防富田駅(すおうとんだえき)として新設開業[1]。旅客・貨物の取扱を開始[1]。
- 1947年(昭和22年)12月5日:昭和天皇の戦後巡幸。三田尻駅 - 周防富田駅間にお召し列車が運行[2]。
- 1976年(昭和51年)4月8日:駅舎改築[3]。
- 1980年(昭和55年)10月1日:新南陽駅(しんなんようえき)に改称[1]。自動化ヤードとして整備された貨車操車場が完成し、全面稼働[4]。
- 1985年(昭和60年)3月14日:荷物扱い廃止[1]。
- 1986年(昭和61年)11月1日:着発線荷役方式使用開始[5]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道(JR西日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)の駅となる[1]。
- 1996年(平成8年)
- 1997年(平成9年)3月:JR貨物の新南陽駅と徳山貨車区等を統合し、新南陽総合鉄道部を設置[9]。
- 2004年(平成16年)10月:窓口閉鎖時間帯が設けられる。
- 2022年(令和4年)
- 2023年(令和5年)4月1日:ICカード「ICOCA」の利用が可能となる[12][13]。
駅構造
編集島式ホーム1面2線を有する地上駅。駅舎とホームは跨線橋で連絡している。
のりば
編集のりば | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
2 | ■山陽本線 | 上り | 徳山・岩国方面 |
3 | 下り | 防府・新山口・下関方面 |
周防富田駅時代
編集2面3線のホームを有していたが、現駅名に変更後配線が変更され、単式ホーム1番のりばは廃止され欠番となった。その場所は貨物列車用側線(運転取扱上は3番線)となっており、旅客ホームとしては使用されない。
岩徳線列車が1日2本当駅まで乗入れていた。
貨物駅
編集取扱貨物
編集- コンテナ貨物 - 12 ftコンテナ、20 ft・30 ft大型コンテナ、20 ftISO規格海上コンテナを取り扱う。
- 車扱貨物 - 営業設定のみで列車の設定は無い。
- 産業廃棄物・特別産業廃棄物の取扱許可を得ている。
駅構造
編集本線北側に、1面のコンテナホーム、着発線荷役方式(E&S方式)を採用した1本の着発荷役線、1本の荷役線、その他数本の仕分線、留置線を有する。本線南側には貨車操車場が広がる。
着発荷役線・コンテナホーム等は上り本線の外側に位置しているため、上り貨物列車は着発荷役線に直接入線して荷役を行うが、下り貨物列車は荷役線への入換作業を要し、この作業のために岡山機関区のHD300形ハイブリッド機関車が常駐している[14]。
災害等による山陽本線不通時のトラック代行輸送との継送能力を強化するため、2022年度(令和4年度)から国庫補助による構内改良事業(コンテナホーム拡幅、代行輸送用トラック駐車場整備等)が開始され、2030年度(令和8年度)中の完成を計画している[15](後述)。
輸送障害時の対応拠点機能
編集JR貨物の主要路線のうち、東北・関東・中部地方においては、太平洋側と日本海側等の複数の路線があり、災害等による輸送障害時に迂回ルートを設定することができるが、近畿・中国地方においては山陽線のみの単一路線しかなく、迂回ルートの設定が困難であり[16]、実際の災害等による不通の発生時には、迅速に代替輸送手段を確保できず、輸送障害が長期化していた。異常気象の影響等から自然災害の頻度や規模は増加・増大しており、輸送障害の頻発や長期化は、鉄道貨物の安定性に対する信頼を低下させ、荷主の逸走にもつながった[17]。荷主の確保を図りJR貨物の経営基盤を確立する上では、災害等による輸送障害を極力抑制することが不可欠であり、鉄道による迂回輸送が困難な山陽線では、トラックや海運による代行輸送能力を強化して解決を図ることとされ、当駅がその拠点として整備されることとなった[16][18][19][20]。
具体的には、当駅のコンテナホームの拡張等による取扱能力の強化・操車場跡地への待機用駐車場整備による代行輸送トラック便発着能力の強化のほか、輸送経路となる周辺道路の通行規制緩和・特殊車両通行許可の迅速化、最寄港湾である徳山下松港晴海ふ頭の使用許可手続等の迅速化等の対応がとられることとなり、JR貨物のみならず、国土交通省や関係地方公共団体、利用運送事業者、荷主、JR西日本による検討会が構成され、対応策が取りまとめられた[20]。JR貨物の2024-2026年度中期経営計画及び2024年度事業計画にも盛り込まれている[16][18][19]。
専用線
編集当駅南側に広がる側線群の西端から南側に分岐し東ソー株式会社南陽事業所へ至る専用線がある。かつてはタンク車による化学薬品輸送が行われていたが、その後タンクコンテナによる輸送となった。またセメントもかつては取り扱っていた。この専用線は、2007年4月27日をもって運行休止となった。
また、上記の東ソー専用線から分岐し日本ポリウレタン工業株式会社南陽工場や信越化学工業株式会社の工場(現・信越ポリマー株式会社南陽工場)へ至る専用線や、当駅東側から分岐し駅南東の徳山曹達株式会社(現・株式会社トクヤマ徳山工場)(昭和19年10月開通[21])へ至る専用線もあったが、いずれも廃止された。
操車場
編集当駅の付属設備として、徳山操車場(後の新南陽操車場)が存在していた。1980年(昭和55年)10月からはコンピューターを導入したリニアモーターカー式ハンプヤードとなる[4][7]。1984年(昭和59年)2月1日のヤード経由方式貨物輸送の廃止後も、大竹駅 - 防府貨物駅間の複数駅で車扱が残った(特に徳山・新南陽接続専用線扱のタンク車が非常に多かった)ことと、宇部線や山口線方面への継走貨車の存在などから専用貨物列車の仕分作業が複雑で、組成作業を代行できる臨海鉄道も附近になかったことから機能が残され、使用休止は車扱列車が減少した1996年(平成8年)10月31日のことであった[4][7]。
1985年時の常備貨車
編集- 西井所有
- タキ7750形(カセイソーダ液専用)2両
- 多木化学所有
- タキ5050形(塩酸専用)1両
- 田中藍所有
- 東洋曹達所有
- タキ1400形(カセイソーダ液専用)1両
- タキ2600形(カセイソーダ液専用)3両
- タキ2800形(カセイソーダ液専用)14両
- タキ7750形(カセイソーダ液専用)13両
- タキ11850形(塩化第二鉄専用)1両
- タム9400形(塩酸専用)4両
- タキ5000形(塩酸専用)3両
- タキ5050形(塩酸専用)1両
- タム8200形(リン酸専用)2両
- タキ1250形(リン酸専用)1両
- タム8700形(塩化パラフィン専用)1両
- タム9500形(塩化パラフィン専用)2両
- タキ21800形(トリクロロエタン専用)2両
- タキ5800形(液化塩化ビニル専用)1両
- タム8500形(液化塩素専用)3両
- タキ5450形(液化塩素(航送用)専用)5両
- タキ5450形(液化塩素専用)5両
- 徳山石油化学所有
- 徳山曹達所有
- 日本ポリウレタン工業所有
- 保土谷化学工業所有
「昭和60年版私有貨車番号表」『トワイライトゾーンMANUAL13』ネコ・パブリッシング、2004年
利用状況
編集1日平均乗車人員は以下の通り[22]。
乗車人員推移 | |
---|---|
年度 | 1日平均人数 |
1999 | 1,124 |
2000 | 1,084 |
2001 | 1,057 |
2002 | 1,048 |
2003 | 1,068 |
2004 | 1,075 |
2005 | 1,082 |
2006 | 1,109 |
2007 | 1,166 |
2008 | 1,237 |
2009 | 1,197 |
2010 | 1,185 |
2011 | 1,204 |
2012 | 1,226 |
2013 | 1,232 |
2014 | 1,202 |
2015 | 1,238 |
2016 | 1,241 |
2017 | 1,270 |
2018 | 1,295 |
2019 | 1,302 |
2020 | 1,109 |
2021 | 1,077 |
2022 | 1,134 |
駅周辺
編集毎年8月には駅前のロータリーに大規模なステージを設け、そこを中心としてサンフェスタしんなんよう(夏祭り)が開かれる。2019年で第45回を数え、来客8万人超。この夏祭りの最後に永源山公園から多数の打ち上げ花火が上がり、夏の風物詩となっている。
バス路線
編集「新南陽駅前」停留所にて、防長交通による以下の路線が発着する。
隣の駅
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、232頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、99頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ 広島鉄道管理局 昭和50年代史 編さん委員会 編『広島鉄道管理局 昭和50年代史』日本国有鉄道広島鉄道管理局、1986年3月31日、378頁。
- ^ a b c d 「貨物操車場の自動転送システム」『鉄道ジャーナル』1996年10月号(No.360)pp.150-151
- ^ 「JR貨物5年の歩み」P114
- ^ 『JR西日本広島支社10年史 : 次なる10年に向かって : 1987-1997』(西日本旅客鉄道広島支社)p.198
- ^ a b c 「最後の『自動化ヤード』が今秋にも廃止」『鉄道ジャーナル』1996年10月号(No.360)pp.84-85
- ^ 『JR西日本広島支社10年史 : 次なる10年に向かって : 1987-1997』(西日本旅客鉄道広島支社)p.197
- ^ 『鉄道ピクトリアル』2000年1月号(No.680)p.36
- ^ 日本貨物鉄道株式会社『JOB GUIDE』(2023年10月25日閲覧)
- ^ a b “新南陽駅 | 駅情報:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2022年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月13日閲覧。
- ^ 『在来線(山口エリア)および山陽新幹線でのICカードサービス拡大 〜2023年4月1日(土)スタート!〜』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2022年12月21日。オリジナルの2022年12月21日時点におけるアーカイブ 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『2023年春 山口県内のICOCAエリアを拡大します! 〜ICOCAが山陽線徳山〜下関駅間で利用可能になります〜』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2022年2月9日。オリジナルの2022年2月9日時点におけるアーカイブ 。2022年2月12日閲覧。
- ^ 『レイルマガジン』No.455、ネコ・パブリッシング、2023年、p.74
- ^ 国土交通省鉄道局貨物鉄道政策室「『今後の鉄道物流の在り方に関する検討会』中間とりまとめを踏まえた取組状況について」2023年7月26日(2023年10月25日閲覧)p.8
- ^ a b c 日本貨物鉄道株式会社 『JR貨物グループ 中期経営計画2026』p.10(2024年5月24日閲覧)
- ^ 日本貨物鉄道株式会社 『2024年度 事業計画』pp.1-2(2024年5月24日閲覧)
- ^ a b 日本貨物鉄道株式会社 『2024年度 事業計画(概要)』p.6(2024年5月24日閲覧)
- ^ a b 日本貨物鉄道株式会社 『2024年度 事業計画』pp.5-6(2024年5月24日閲覧)
- ^ a b 日本貨物鉄道株式会社 『「鉄道物流の災害による輸送障害に対するBCP策定に向けた官民一体の検討会」の概要について』(2024年5月24日閲覧)
- ^ 戦時中船舶不足により海上輸送が困難なため敷設。国鉄よりC12 98の払下げをうけた『徳山曹達70年史 道標はるかに』85頁写真掲載 (電子ブック)
- ^ 山口県統計年鑑 - 山口県
関連項目
編集外部リンク
編集- 新南陽駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
- 新南陽駅(JR貨物)(2008年6月16日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- 貨物駅の「素顔」に触れて JR貨物・新南陽駅を初公開 - YouTube(朝日新聞社、2019年4月29日公開)