国道36号

北海道を通る一般国道

国道36号(こくどう36ごう)は、北海道札幌市中央区から苫小牧市を経由し、室蘭市に至る一般国道である。

一般国道
国道36号標識
国道36号
地図
総延長 133.8 km
実延長 133.7 km
現道 133.7 km
制定年 1952年昭和27年)
起点 北海道札幌市中央区
北1西3交差点(北緯43度3分43.36秒 東経141度21分6.19秒 / 北緯43.0620444度 東経141.3517194度 / 43.0620444; 141.3517194 (北1西3交差点)
主な
経由都市
北海道千歳市苫小牧市登別市
終点 北海道室蘭市北緯42度19分24.77秒 東経140度58分11.63秒 / 北緯42.3235472度 東経140.9698972度 / 42.3235472; 140.9698972 (終点)
接続する
主な道路
記法
国道12号標識 国道12号
国道230号標識 国道230号
国道234号標識 国道234号
国道235号標識 国道235号
国道37号標識 国道37号
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
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概要

 
福住駅周辺から千歳方面を見た様子。画像正面奥に見えるのは札幌ドーム

車線数は一部区間を除いて4車線以上となっている。また、並走する道央自動車道北広島IC付近は、中央の車両通行帯が時間帯によって上り線、下り線へと変更するリバーシブルレーンを採用している。すすきの交差点(すすきの)・ルネッサンスホテル(現・プレミアホテル ―TSUBAKI― 札幌)前交差点は北海道内有数の事故多発交差点になっている[1][2]

路線データ

一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。

歴史

北海道開拓時代の初期は鹿道と呼ばれ、札幌市立月寒小学校から札幌第一高等学校福住北海道農業研究センター付近を通り千歳市まで至る狩猟の道であった。

年表

  • 1873年明治6年) - 函館 - 札幌間に新道が完成。2年前の1871年(明治4年)に開拓次官[注釈 3]黒田清隆に招かれて来日した米国農務局長官だったホーレス・ケプロンの献策により、函館から千歳を経由して札幌に向かう日本初の西洋式馬車道が誕生した[5]。この道は同年11月5日太政官布告第364号により、札幌本道(さっぽろほんどう)と定められた。札幌本道は函館からまで現5号、森から室蘭までは航路、室蘭から札幌まで現36号のルートをとるものであった。室蘭から札幌までは室蘭街道(むろらんかいどう)とも呼ばれた。札幌本道は1885年(明治18年)の内務省告示第6号「国道表」で国道42号「東京より札幌県に達する路線」に指定された。
  • 1907年(明治40年)5月13日 - 国道42号、国道43号のルートが変更され、国道42号は現在の国道5号のルートとなった。国道43号(東京より根室県に達する路線)は青森 - 室蘭間の航路を経由して旭川第七師団に至る路線(東京より第七師団に達する路線)に変更されたが、現36号のルートをとるのは室蘭 - 苫小牧間のみで、苫小牧からは室蘭本線に並行する現在の国道234号岩見沢以北は国道12号のルートであった。この結果、苫小牧 - 札幌間は国道から外された(改正後の国道表)。
  • 1920年大正9年)施行の旧道路法に基づく路線認定では、旧43号がそのまま国道28号「東京市より第七師団司令部所在地(旭川区)に達する路線(乙)」となった。
  • 1952年昭和27年)12月4日 - 新道路法に基づく路線指定で、一級国道36号(北海道札幌市 - 北海道室蘭市)が指定された。1907年以前の国道42号の室蘭 - 札幌間が復活したかたちとなった。これに先立つ同年10月から札幌・千歳間の改修による舗装工事が始まり、翌1953年(昭和28年)11月2日に34.5 kmの工事が完了した[6]。この区間は道幅7.5 m・最高設計速度75 km/h という高規格道路基準で建設され、約13カ月間の突貫工事ぶりに由来し、弾丸道路(だんがんどうろ)と呼ばれた[6][7][注釈 4]
もともとは、千歳空港真駒内に置かれていた占領軍キャンプを結ぶ道で、舗装整備もされていなかったために、車両が通れば砂埃が巻き上げられ、冬季は凍結して春先に溶解して泥濘路になるという有様であった[9][10]。改修工事が行われた際に、当時コンクリート舗装が主流だった時代としては珍しく、アスファルト舗装が採用され、日本の舗装の歴史上で特筆するべき点となった[6][10]。アスファルト舗装を採用した背景にはメンテナンスの容易さとコスト低減、北海道の舗装道路において悩みの種となっていた「凍上」(厳しい寒さによって地中の水分が凍って地面を盛り上げる現象。雪解け時に舗装を破損させる要因となっていた)対策が背景にあった[11]。舗装下の凍土対策として、火山灰を抑制剤として使用し、工期短縮のため大規模な機械を取り入れて、細かな工区割りで作業が行われるという当時としては画期的だった方式で工事が実行され、寒冷地での道路建設のモデルケースにもなった[9][10]。最初は軍用道路と非難を浴びながらの工事だったが、道路が完成し一級国道36号が開通した時には新聞の見出しに「弾丸道路」がうたわれ、完成後は一般車両の通行が大部分を占めるようになり、道内の産業・経済の発展に貢献する道路となった[9]

路線状況

バイパス

 
恵庭バイパス(2004年10月)

道路名・名称

  • 室蘭街道
  • 室蘭国道
  • 札幌駅前通(札幌市内)
  • 月寒通(札幌市内)
  • 美沢錦岡通(苫小牧市内)
  • 明野南通(苫小牧市内)
  • 大通(苫小牧市内)
  • 苫小牧白老通(苫小牧市内)

重複区間

  • 国道235号(苫小牧市沼ノ端 - 室蘭市海岸町1丁目(終点))

道路施設

橋梁

トンネル

  • 汐見トンネル(上り167 m、下り165 m)
  • 御崎トンネル(上り374 m、下り370 m)

道の駅

トラックステーション

  • 苫小牧TS(苫小牧市)[17]

地理

 
札幌市清田区美しが丘で撮影

通過する自治体

交差する道路

交差する道路 振興局名 市町村名 交差する場所
国道12号
国道230号
北海道道18号札幌停車場線
石狩振興局 札幌市 中央区 北1条西3丁目 北1西3 / 起点
国道453号 豊平区 豊平3条5丁目 豊平3-5交点
北海道道89号札幌環状線 美園3条6丁目 美園3-6交点
北海道道453号西野白石線 月寒中央通10丁目 月寒中央通10交点
北海道道82号西野真駒内清田線 羊ケ丘
北海道道341号真駒内御料札幌線 清田区 平岡1条1丁目 平岡1-1交点
北海道道1138号厚別平岡線 平岡1条6丁目 美しが丘1-1交点
北海道道1147号大曲工業団地美しが丘線 里塚2条7丁目 里塚2-7交点
E5 道央自動車道 北広島市 大曲並木1丁目 大曲並木1・大曲幸町1交点
28 北広島IC
北海道道790号仁別大曲線
北海道道1080号栗山北広島線
大曲中央2丁目 大曲幸町1・大曲中央2交点
北海道道46号江別恵庭線 恵庭市 桜森
北海道道46号江別恵庭線 柏陽町1丁目 西島松交点
北海道道45号恵庭栗山線 戸磯 戸磯交点
北海道道46号江別恵庭線 恵南 恵南交点
北海道道258号早来千歳線 千歳市 上長都
北海道道600号島松千歳線
北海道道967号馬追原野北信濃線
北信濃 北斗3交点
国道337号
北海道道16号支笏湖公園線
錦町2丁目 錦町2交点
E5 道央自動車道
北海道道77号千歳インター線
本町4丁目 24 千歳IC
新千歳空港ランプ
国道337号 / 道央圏連絡道路
平和
北海道道258号早来千歳線 美々 美々交点
北海道道10号千歳鵡川線 胆振総合振興局 苫小牧市 美沢 美沢交点
北海道道129号静川美沢線
北海道道130号新千歳空港線
美沢
E5 道央自動車道
北海道道91号苫小牧東インター線
沼ノ端 22 苫小牧東IC
国道234号
国道235号 重複区間起点
沼ノ端 沼の端交点
北海道道781号苫小牧環状線 明野元町2丁目
北海道道259号上厚真苫小牧線 元中野町4丁目 元中野4交点
国道276号 新中野町3丁目 元中野町3交点
北海道道19号苫小牧停車場線 旭町3丁目 旭町3交点
E5 道央自動車道
北海道道141号樽前錦岡線
錦岡 20 苫小牧西IC
北海道道388号白老停車場線 白老郡 白老町 東町5丁目
E5 道央自動車道
北海道道86号白老大滝線
高砂町3丁目 19 白老IC
北海道道701号登別港線 虎杖浜
E5 道央自動車道
北海道道2号洞爺湖登別線
北海道道286号登別停車場線
登別市 登別東町4丁目 登別駅前交点
18 登別東IC
北海道道701号登別港線 富浦町4丁目
北海道道327号弁景幌別線 幸町2丁目
北海道道144号登別室蘭インター線 幌別町2丁目
北海道道387号幌別停車場線 幌別町2丁目
E5 道央自動車道 大和町1丁目 17 登別室蘭IC[注釈 5]
北海道道107号室蘭環状線 鷲別町1丁目
北海道道107号室蘭環状線 室蘭市 日の出町3丁目 日の出町3丁目交点
国道37号 東町3丁目 東町3丁目交点
北海道道919号中央東線 東町4丁目 東町4丁目交点
北海道道699号室蘭港線 山手町1丁目
国道235号 重複区間終点 海岸町1丁目 終点

脚注

注釈

  1. ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
  2. ^ a b c d e f 2022年3月31日現在
  3. ^ のちに開拓長官となる。
  4. ^ 舗装される以前の悪路に代わり、弾丸のように速く走れるということから「弾丸道路」と呼ばれたという説もあるが、突貫工事で舗装道路へ改修して完成させたことから「弾丸道路」よばれるようになったというのが定説となっている[8]
  5. ^ 上り線(室蘭方向)のみ直接接続している。

出典

  1. ^ すすきの交差点”. 日本損害保険協会. 2014年10月26日閲覧。
  2. ^ ルネッサンスホテル前交差点”. 日本損害保険協会. 2014年10月26日閲覧。
  3. ^ 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2020年6月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2024年4月3日閲覧。
  5. ^ ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 158.
  6. ^ a b c 国道36号 札幌千歳間道路(通称弾丸道路)建設物語” (PDF). 北の交差点 Vol.14 AUTUMN-WINTER 2003. 北海道道路管理技術センター. 2014年10月26日閲覧。
  7. ^ ロム・インターナショナル(編) 2005, pp. 53–54.
  8. ^ 浅井建爾 2015, p. 87.
  9. ^ a b c ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 54.
  10. ^ a b c 浅井建爾 2015, p. 86.
  11. ^ "北海道スタンダードが全国へ それは弾丸道路から始まった",かいはつグラフ2011年1月号(北海道開発局Web広報誌)
  12. ^ 北海道開発局『北海道における道路交通の現状について』、1967年1月
  13. ^ 令和三年度土木学会選奨土木遺産が決まりました”. 土木学会 (2021年9月28日). 2021年9月28日閲覧。
  14. ^ 令和三年度 土木学会選奨土木遺産 一覧”. 土木学会 (2021年9月28日). 2021年9月28日閲覧。
  15. ^ 国道36号竹浦橋、橋桁の亀裂拡大 橋脚2基などの撤去作業へ-白老 苫小牧民報(2017年12月23日)2018年1月5日閲覧
  16. ^ 松島哲郎、山際祐司、前田公治. “長期供用を経た自動車専用道路『室蘭新道』の維持管理 -建設から40年を経過した耐候性鋼材の劣化状況と近年の予防的修繕で得られた知見-” (PDF). 室蘭開発建設部. p. 2. 2014年10月15日閲覧。
  17. ^ トラックステーション・リスト”. 全日本トラック協会. 2014年10月25日閲覧。

参考文献

  • 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3 
  • ロム・インターナショナル(編)『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。ISBN 4-309-49566-4 

関連項目

外部リンク