同着
競走スポーツで着差が非常に僅差で順位を決められない場合
同着(どうちゃく)とは、競馬において2頭以上の馬が同じ着順でゴールする事である。
歴史
編集ヒートレースの時代は複数の馬による1着同着は無勝負とみなされていた。デッドヒート(Dead heat)の語源はこの事による。
その後、一回勝負が主流の時代になると、1着同着の場合は、同着だった馬同士で、優勝決定戦が行われた。ヴォルティジュールや、キンチェムは1着同着の優勝決定戦を経験している。
現代は写真判定を用いて、接戦であっても正確に順位を判定できるが、同着の例は存在している。そのほとんどは2頭同着であるが、3頭以上の同着の例も存在している。1着が同着となった場合、同時に入線した全馬が勝利したものとみなされる。
同着の例
編集日本
編集重賞競走における1着同着
編集年 | 競走名 | 馬名 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
1955 | クモハタ記念 | マサハタ | ヨシフサ | |
1961 | 日経新春杯 | キオーガンヒカリ | タイカン | |
1976 | 愛知杯 | トウカンタケシバ | ハードラーク | |
1979 | 福島記念 | ファニーバード | マイエルフ | |
1988 | 阪神大賞典 | ダイナカーペンター | タマモクロス | |
1997 | 平安ステークス | シンコウウインディ | トーヨーシアトル | |
2002 | 京成杯 | ヤマニンセラフィム | ローマンエンパイア | |
2007 | 阪急杯 | プリサイスマシーン | エイシンドーバー | |
2010 | 優駿牝馬(オークス) | アパパネ | サンテミリオン | GI競走での1着同着はJRA史上初 |
2019 | フィリーズレビュー | ノーワン | プールヴィル | |
2021 | チューリップ賞 | メイケイエール | エリザベスタワー | |
2025 | 小倉牝馬ステークス | フェアエールング | シンティレーション | 第1回での1着同着は日本競馬史上初[1] |
年 | 競走名 | 馬名 | |
---|---|---|---|
1956 | 船橋記念 | グレートリバー | サチアズマ |
1959 | クイーン賞 | コンリユウ | フアストクイン |
1976 | 越佐特別 | キングトツプラン | マルホセンプー |
1982 | アラブ王冠賞 | ケイワンホマレ | ミヤオーシヨウ |
1984 | 戸塚記念 | ヨネジロウ | エアハート |
1985 | ブルーバードカップ | ノムラダイオー | ダークルア |
1988 | 不来方賞 | グランリードワン | シヤドウイメージ |
浦和記念 | トミヒサダンサー | ダイタクジーニアス | |
1991 | 西日本アラブダービー | ハギノメジャー | ヒカリバーバ |
みちのく大賞典 | スイフトセイダイ | グレートホープ | |
1992 | 帝王賞 | ナリタハヤブサ | ラシアンゴールド |
1996 | 新潟皐月賞 | スターライフ | テクノバリュー |
1997 | スパーキングレディーカップ | ブンブンラリー | オートメンデス |
2000 | オパールカップ | マイダイナマイト | メイセイオペレッタ |
摂津盃 | ケイエスヨシゼン | シャインマンリー | |
兵庫アラブクイーンカップ | クインラマ | グリンティアラ | |
2013 | はがくれ大賞典 | デュナメス | レイズミーアップ |
2018 | 園田FCスプリント | カイロス | エイシンテキサス |
2025 | 御厨人窟賞 | ニクソンテソーロ | メイショウウズマサ |
年 | 競走名 | 馬名 | 脚注 | |
---|---|---|---|---|
1884 | ダービーステークス | ハーヴェスター(Hervester) | セントガティエン(St Gatien) | [注 1] |
1942 | ベルデイムハンデキャップ | ヴェイグランシー(Vagrancy) | バランコサ(Barrancosa) | [2] |
1980 | サンクルー大賞 | デュネット(Dunette) | シャカプール(Shakapour) | |
1988 | アイリッシュオークス | ディミヌエンド(Diminuendo) | メロディスト(Melodist) | [3] |
デューハーストステークス | プリンスオブダンス(Prince of Dance) | シーニック(Scenic) | ||
1997 | ナンソープステークス | コースタルブラフ(Coastal Bluff) | ヤマラク(Ya Malak) | |
2001 | フューチュリティステークス | デザートスカイ(Desert Sky) | ミスターマーフィー(Mr. Murphy) | |
2003 | ブリーダーズカップ・ターフ | ハイシャパラル(High Chaparral) | ジョハー(Johar) | |
2004 | ドバイデューティーフリー | パオリニ(Paolini) | ライトアプローチ(Right Approach) | |
2011 | アメリカンオークスステークス | キャンビナ(Cambina) | ネレイド(Nereid) | |
アイリッシュセントレジャー | ダンカン(Duncan) | ジュークボックスジュアリー(Jukebox Jury) | ||
2012 | サウスアフリカンダービー | ポモドーロ(Pomodoro) | ロイヤルベンチャー(Royal Bencher) | |
トラヴァーズステークス | アルファ(Alpha) | ゴールデンチケット(Golden Ticket) | ||
2016 | スピナウェイステークス | スウィートロレッタ(Sweet Loretta) | プリティシティダンサー(Pretty City Dancer) | |
2021 | オークレイプレート | ポートランドスカイ(Portland Sky) | セレブリティクイーン(Celebrity Queen) | |
ターフクラシックステークス | カーネルリアム(Colonel Liam) | ドメスティックスペンディング(Domestic Spending) | ||
2022 | ドバイターフ | パンサラッサ(Panthalassa) | ロードノース(Lord North) | [4] |
エプソムハンデキャップ | トップランクド(Top Ranked) | エルスバーグ(Ellsberg) | [5] |
その他
編集2頭が同着となったのみではないもの(3頭以上が同着に関わるものなど)に限って示す。
- 1880年6月9日 横浜競馬 1着が3頭同着[6]
- 1920年10月30日 横浜競馬 1着が3頭同着[6]
- 1933年4月28日 三芳競馬 1着が4頭同着、半馬身差で2着が3頭同着、それからまた半馬身差で3着が3頭同着[注 2][7]
- 1951年11月17日 大井競馬 1着が3頭同着[6]
- 1955年2月12日 中京競馬 1回7日目9R 3着が3頭同着[8]
- 1971年11月27日 笠松競馬 11Rサラ系B1・2選抜 1着が3頭同着(キヤプテンホース・ツネホウ・リガーホープ)[6]
- 1973年1月13日 福山競馬 条件戦 2着が3頭同着[9][6]
- 1981年10月3日 東京競馬4回1日目第4競走にて、1着(カムイラナークとセリナトウショウ)と5着(サクラフルサトとハーバーエリート)が同時に同着
- 1983年3月2日 紀三井寺競馬 2着が3頭同着[6]
- 1986年8月20日 川崎競馬 第10競走 1着が3頭同着[10]
- 1988年6月14日 帯広競馬(ばんえい[注 3]) 4・5歳[注 4]条件戦 1着が2頭同着、3着も2頭同着[11]
- 1991年3月21日 姫路競馬 2着が3頭同着[6]
- 1992年3月14日 中京競馬 1回3日目4R 5着が3頭同着[12]
- 1997年12月20日 中山競馬 5回7日目7R 2頭が1着同着となったが、このレースは2024年現在JRAでは最後のカンパイ(スタートやり直し)となったレース
- 1999年7月4日 福山競馬 第7競走 3着が3頭同着[13]
- 2001年9月23日 中山競馬 4回6日目12R ともに馬主[注 5]が同じ[注 6]競走馬が1着同着[14][15]
- 川崎競馬で行われた2001年11月30日第4競走及び同年12月30日第1競走において、イソエイイーグルとプリンスガーデナーによる2戦連続の1着同着。イソエイイーグルの生涯成績は2戦2勝で全て同着となり、プリンスガーデナーも生涯全ての勝利が1着同着によるものとなった[16][17]
- 2003年9月6日 札幌競馬 1回7日目 サラ系3歳以上500万下 5着が3頭同着[18]
- 2004年7月4日 高崎競馬 普通競走 1着が3頭同着[注 7][19]
- 2004年8月8日 福山競馬 第2競走 1着同着となったが、その内の1頭が単勝無投票の競走馬であったため、もう1頭の1着馬の単勝の配当は変動することなく従来のオッズのまま払い戻された[注 8][20][21]
- 2006年6月6日 名古屋競馬 第2競走 夫婦である小山信行騎乗馬と宮下瞳騎乗馬が1着同着。[22]
- 2006年10月29日 福島競馬 3回4日目6R 3着と8着が同時に同着[23]
- 2007年4月21日 京都競馬 3回1日目1R 2着と4着が同時に同着[24][注 9][25]
- 2007年11月18日 福島競馬 3回10日目7R 1着と7着が同時に同着[26][注 10][27][28]
- 2012年10月20日 京都競馬 4回6日目 室町ステークス 3着(ファリダットとダンジブルアセットとワールドワイド)が3頭同着[注 11][29]
- 2012年12月13日 園田競馬 ゴールデンジョッキーカップチャンピオンジョッキー賞 3着が3頭同着[30][31]
- 2017年5月20日 新潟競馬 1回7日目8R 8着が3頭同着[8]
- 2020年2月9日 高知競馬 第6・7競走 2戦連続で1着が2頭同着[32][33]
- 2020年3月1日 阪神競馬 1回2日目1R このレースがデビュー戦だった泉谷楓真が初騎乗初勝利を同着で達成[注 12][34]
- 2020年11月23日 阪神競馬 5回7日目12R 3着が3頭同着[8]
- 2023年9月16日 中山競馬 4回3日目8R ともに種牡馬、生産牧場産駒が同じ[注 13]競走馬が1着同着[注 14][35]
- 2024年9月10日 金沢競馬 第9競走 能登半島地震復興応援杯 1着と4着が同時に同着[36]
脚注
編集注釈
編集- ^ 1828年の英ダービーも1着同着であったが、優勝決定戦が行われて優勝馬は一頭
- ^ このレースは10頭立てだったため、全ての出走馬が同着の判定となった。 着順が確定した時は、観客からの大歓声が巻き起こった。
- ^ 帯広競馬場では当時はホッカイドウ競馬の開催も存在した。
- ^ 当時の馬齢表記であり、2001年以降の表記における「3・4歳」に相当。
- ^ 個人名義で登録している馬主に限る
- ^ ともに馬主は西山茂行である。
- ^ 21世紀になって1着が3頭以上同着となった例は2015年2月時点でこの例のみ。的中も馬単が6通り(1着同士で的中)など
- ^ 通常の1着同着の場合は2頭分の単勝が払い戻されるため、1頭あたりの単勝の配当は従来のオッズより下がってしまう。
- ^ また、この日は10Rのメルボルントロフィーでも2着同着となった。
- ^ また、この日は5Rで4着同着、12Rの遠野特別でも1着同着となった。
- ^ 中央競馬で勝馬投票券の対象が3頭同着となった例はこの例が史上初となった。的中の組み合わせもワイドが7通り、複勝が5通りなどとなっている
- ^ 史上初である。
- ^ ともにドレフォン産駒、ノーザンファームの生産である。
- ^ 同一産駒のみでの1着同着は2016年10月1日 阪神競馬 4回7日目5R に例がある。
出典
編集- ^ “【小倉牝馬S】新重賞で珍事 史上初同着で初代女王誕生 丹内&杉原騎手「やったぜ~」伝説作った”. スポーツ報知 (2025年1月26日). 2025年1月28日閲覧。
- ^ [Article related to Rachel Alexandra on May 23, 2009, 9:18 am, "The Day the Fillies Were the Feature," By Teresa Genaro in the column "The Rail, The Race for the Triple Crown," Post tagged with VAGRANCY]
- ^ 『優駿』1988年9月号 126頁
- ^ “【ドバイターフ】3頭の大接戦 パンサラッサが昨年覇者ロードノースと同着V、ヴァンドギャルド3着 - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年3月26日閲覧。
- ^ “レース成績表”. www.keiba.go.jp. 2025年1月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g 地方競馬史第4巻520頁
- ^ 競馬歴史新聞11頁
- ^ a b c “珍事!3頭が3着同着 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2020年11月23日閲覧。
- ^ 1973年1月13日の1R、2着が3頭同着という珍事
- ^ “判定写真”. 2025年1月29日閲覧。
- ^ “ばんえい No.19”. 北海道市営競馬組合 (1989年3月). 2014年7月20日閲覧。(33ページを参照)
- ^ “開催競馬場・今日の出来事(11月23日(祝日・月曜)) JRA”. www.jra.go.jp. 2020年11月26日閲覧。
- ^ “レース成績表”. www.keiba.go.jp. 2025年1月29日閲覧。
- ^ “Xの西山茂行のポスト”. 2025年1月29日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年1月28日閲覧。
- ^ 4R サラ系3歳 (10)
- ^ 1R サラ系3歳 (7)
- ^ 2003年9月6日 1回札幌7日目 8R サラ系3歳以上500万下 Netkeiba
- ^ 高崎競馬で1着に3頭同着の珍事! - 地方競馬全国協会公式サイト(2004年7月5日)
- ^ “レース成績表”. www.keiba.go.jp. 2025年1月29日閲覧。
- ^ “福山競馬成績”. 2025年1月29日閲覧。
- ^ “地方競馬情報サイト TOPICS-2006”. www.keiba.go.jp. 2021年11月18日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年1月28日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年1月30日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年1月30日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年2月19日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年2月19日閲覧。
- ^ “レース結果 JRA”. www.jra.go.jp. 2025年2月19日閲覧。
- ^ 3頭が3着同着の珍事が発生/室町S - 日刊スポーツ - 2012年10月20日
- ^ 13日の園田10Rで3着3頭同着 - SANSPO.com予想王TV
- ^ レース成績表 - 地方競馬情報サイトKEIBA.GO.JP
- ^ “レース成績表”. www2.keiba.go.jp. 2020年6月20日閲覧。
- ^ “レース成績表”. www2.keiba.go.jp. 2020年6月20日閲覧。
- ^ “栗東所属唯一のルーキー騎手 泉谷楓真が初騎乗V 1着同着での達成は史上初”. スポーツ報知 (2020年3月1日). 2025年1月28日閲覧。
- ^ “中山8Rで珍事!〝同一種牡馬&生産牧場産駒〟による1着同着”. 競馬予想のウマニティ (2023年9月16日). 2025年1月28日閲覧。
- ^ “レース成績表”. www.keiba.go.jp. 2025年1月28日閲覧。