北新書局
北新書局(ほくしんしょきょく)は、中華民国初期に存在した出版社・書店。主に左派寄りの社会科学書・文学書・雑誌を出版・販売した[1]。
北新書局 | |
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各種表記 | |
簡体字: | 北新书局 |
拼音: | Běixīn shūjú |
1925年、李小峰が創業した[2]。李小峰は魯迅の友人であり[2]、北京大学の新文化運動団体である新潮社出身の人物だった。創業当初は北京の翠花胡同に店舗を置いたが、魯迅主編の雑誌『語絲』を発行したことから、張作霖の北京政府に閉鎖させられ[1]、1927年上海に移った[2]。
1930年代には、国民政府に度々一時閉鎖させられた[1]。まず1931年、中国共産党の地下出版物を販売したことで閉鎖[1]。1932年、出版物の『小猪八戒』が民族・宗教問題に関わるとして閉鎖[1](南華文芸・北新書局事件[3])。1934年には、出版物の魯迅らの作品が政府の禁書リストに含まれた[1]。
創業当初から、魯迅の作品や魯迅が再評価した『遊仙窟』などを出版している。1929年には、運営の杜撰さなどから魯迅と不和に陥るが、郁達夫と章廷謙の仲裁で和解した[4]。
同時代の商務印書館・中華書局・開明書店などと同様、日本書の中国語訳も出版した[1]。主に堺利彦・高畠素之・河上肇・林癸未夫・波多野鼎・昇曙夢・菊池寛・板垣鷹穂・二階堂招久らの社会科学書・文学書の中国語訳を出版した[1]。
1950年代には、共産党政府により出版業界全体の再編が進められ[5]、北新書局は四聯出版社のち上海文化出版社に編入された。
関連項目
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g h 田雁 著、小野寺史郎 ; 古谷創 訳、中村元哉 解説『近代中国の日本書翻訳出版史』東京大学出版会、2020年。ISBN 9784130262750。118f頁。
- ^ a b c 青野繁治. “オンライン現代中国作家辞典”. www.lang.osaka-u.ac.jp. 2023年2月15日閲覧。
- ^ 安藤潤一郎「「回族」アイデンティティと中国国家 : 一九三二年における「教案」の事例から」『史学雑誌』第105巻第12号、史学会、1996年、67-96頁、doi:10.24471/shigaku.105.12_67、ISSN 0018-2478、NAID 110002361939。68頁。
- ^ 尾崎文昭「章廷謙という人,彼と周氏兄弟の関係」『明治大学教養論集』第193巻、1986年、54f。
- ^ 方厚枢 著、前野昭吉 訳『中国出版史話』新曜社、2002年。ISBN 9784788508255。264-268頁。