加藤精三 (声優)

日本の男性声優、俳優 (1927−2014)

加藤 精三(かとう せいぞう、1927年昭和2年〉2月14日[9][6] - 2014年平成26年〉1月17日[10][3])は、日本声優俳優東京府東京市麻布区(現:東京都港区麻布)出身[2]東京俳優生活協同組合に所属していた[6]

かとう せいぞう
加藤 精三
プロフィール
本名 加藤 精三[1]
性別 男性
出身地 日本の旗 日本東京府東京市麻布区(現:東京都港区麻布[2]
死没地 日本の旗 日本・東京都板橋区[3]
生年月日 (1927-02-14) 1927年2月14日
没年月日 (2014-01-17) 2014年1月17日(86歳没)
血液型 A型[4][5]
職業 声優俳優
事務所 東京俳優生活協同組合(最終)[6]
配偶者 あり[7]
公称サイズ(時期不明)[8]
身長 / 体重 175 cm / 65 kg
声優活動
活動期間 1958年[4] - 2014年
ジャンル アニメ吹き替え特撮ナレーション
俳優活動
活動期間 1950年代 - 2014年
ジャンル テレビドラマ映画舞台
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生涯

戦時中は、海軍飛行予科練習生飛行機乗りを目指していた少年兵であった[2]

青山学院(現青山学院大学[11]建築学科卒業後は証券会社に勤務していた[2]。しかし役者の夢が捨てがたく、退社して俳優になり[2]1956年、劇団日芸を結成[4][6]。その後、劇団青い実の会[12]、綜芸プロ[12]、タレントエージェント[12]、劇団どらま座[13]、土の会[12]、俳優企画[12]などを経て、1968年東京俳優生活協同組合へ移籍する[6]

1958年吹き替えで声優としての活動を始め、1960年の『探偵マイケル』が吹き替えでの初レギュラー[4]。1963年から声優業が活動の中心となる[4]

ぼくらの社会科ノート』の出演がきっかけとなり、同番組の撮影が行われていた銚子市にて毎年語りの公演を行っていた[4]城山堅とは「語りの会『わこうだ』」を運営していた[14]

2010年、第6回東京アニメアワード功労賞を受賞[15]

晩年は東京都板橋区病院で静養していたが、2014年1月17日午前11時40分、膀胱癌のため死去[3]。86歳没。

松本清長役で出演していたアニメ『名探偵コナン』では、加藤が死去した10日後の1月27日に鈴木次郎吉役の永井一郎も死去したこともあり、第729話「ダイヤと絵画と大女優」(2014年2月8日放送)の最後に「名探偵コナンで警視庁・松本管理官役の加藤精三さん、園子の叔父・鈴木次郎吉役の永井一郎さんが1月にお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈り申し上げます。」と追悼テロップが流れ、同番組公式サイトにも期間限定で掲載された。なお、加藤の死後、松本清長は原作とテレビシリーズ本編には登場しておらず、2022年4月15日に放送された特別再編集版アニメスペシャル『名探偵コナン 本庁の刑事恋物語〜結婚前夜〜』では登場人物の声が全て新録されたが、松本役は後任を立てての新録はされずテレビシリーズ当時の加藤の声が使用されてのライブラリ出演の処置が取られた[16]。同日に公開された劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』にも松本が再登場したが、姿のみで台詞はなかった。

人物

特技は謡曲宝生流[6]免許資格普通自動車免許[6]

声種ローバリトン[6]。重々しい雰囲気の声から、アニメでは敵の大将役を演じることが多かった[17]。演じる役柄とは対照的に、家庭では優しい父親であった[18]

同年代の大塚周夫はインタビューを受けた2009年当時、現役でアテレコをやっている80代で芝居を真剣に勉強してきた役者の一人に加藤の名前を挙げていた[19]

トランスフォーマーシリーズ」の『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』とその続編『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』で演じたメガトロン / ガルバトロンに強い思い入れがあり、メガトロンの名を冠する破壊大帝の玩具は自身が出演していない作品に関してもすべて購入しており、ときにファンからプレゼントとして玩具が送られてきたこともあったという[20]2003年にゲーム『ドリームミックスTV ワールドファイターズ』においては久々にメガトロン / 初代破壊大帝メガトロンを演じ、インタビューでは「とても懐かしい」と答えている[21]

特撮作品では「ウルトラシリーズ」のメフィラス星人の声を担当し、『仮面ライダーBLACK RX』ではジャーク将軍を演じていた[注 1]。『ウルトラマンメビウス』では40年ぶりにメフィラス星人の声を、『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』では約20年ぶりにジャーク将軍の声を担当し、以降の作品でも両者の声を担当している。「スーパー戦隊シリーズ」では数々の悪役や悪の首領を演じた。

下戸でが飲めないが、番組の打ち上げなどの宴会などにはよく参加しており、同じく当時下戸だった肝付兼太とともに「会費で飲めないのは悔しいから」と言ってコーラばかり飲んでいたという[22]

星飛雄馬役の古谷徹によると『巨人の星』に出演していた時は、「超怖く、星一徹そのものであった」とのことで、あの声で「まだ始まらないのか……」と呟くこともあったことから、スタッフも震え上がっていたという[23]。その一方、『巨人の星』の音響監督の山崎あきらは、先輩の声優の感情表現や演技についても追求していく人物で信頼関係がきちんと構築されていたことから、山崎は加藤にダメ出しをしていたという[24]。古谷とは、バラエティ番組で掛け合いコントを演じたこともある。野球の経験については、役者仲間としていた程度であり、ポジションはキャッチャー[2]

トランスフォーマー』で共演した声優陣によると、「いつも姿勢が良く、着物下駄姿で現場に現れることが多かった」とのことである[25]。また打ち上げ旅行の際、真っ黒いサングラスをかけており、「何の集団だろう」とささやかれていた[26]

一龍斎貞友は語りの恩師として加藤を挙げ、「やっぱり自分が表現者としてどういう風にやっていくかっていうのをすごく突き詰めていらした方なので、一緒にできてよかったなって思っています。加藤さんからはいろんな根本的な土台を教えていただきました」と2024年のインタビューで語った[27]。貞友によると厳しくて日常も役柄も変わらず恐い存在で苦いコーヒーが好きであったいう[27]。そんな加藤が『忍たま乱太郎』で木野小次郎竹高役を演じたのが衝撃的だったといい、失礼を省みず「よくお受けになりましたね」と申したという[27]。『忍たま』で共演し、距離感も縮まりとても嬉しかったという。入院中の病室で加藤が「役、降りた方がいいかなと思ってる」と言うと、貞友は「身体は動かすの大変と思いますが、声量も表現力も全く衰えを感じません。スタッフの皆さんもお手伝い、決して苦になさっていらっしゃいません。続けて下さい」と返した。それに対して「ああ、そうか」と答えていつになく可愛い笑顔だったといい、「いつも真摯に生きていらっしゃいました」と加藤の人柄を語っている[27]。また、人によって態度が違っていたといい、高山みなみによれば冗談を言うと「ガッハハハ」と大声で笑ってくれたという[27]

既婚者で息子がいた[7]

後任

加藤の死後、持ち役を引き継いだ人物は以下の通り。

後任 役名 作品 後任の初出演 備考
津久井教生 ジョナス・スターン グッド・ワイフ シーズン4
土師孝也 ドクタケ城主(木野小次郎竹高) 忍たま乱太郎 第22期
石川英郎 ジャーク将軍 仮面ライダーBLACK RX 仮面ライダー大戦
秋元羊介 ブリブリ魔人 クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ カスカベ映画スターズ!
岸野一彦 おじいちゃん(野比のびる) ドラえもん(テレビ朝日版第2期) 2015年10月放送回
斎藤志郎 警部 セブン』テレビ朝日版 WOWOW追加録音版 [注 2]
柴田秀勝 マーダル 機甲界ガリアン スーパーロボット大戦BX [注 3]
山本兼平 ハリー・シャノン ゴリラ』テレビ朝日版 WOWOW追加録音版
アーサー 危険な情事

出演

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ

1965年
1967年
1968年
1969年
1971年
1972年
1973年
1974年
1975年
1976年
1977年
1978年
1979年
1980年
1981年
1982年
1983年
1984年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
  • 忍たま乱太郎(1994年 - 2014年、ドクタケ城主〈木野小次郎竹高・初代〉、シイタケ城主〈初代〉)
1996年
1997年
1998年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2022年

劇場アニメ

1969年
1970年
  • 巨人の星 大リーグボール(星一徹[51]
  • 巨人の星 宿命の対決(星一徹[52]
1978年
1979年
1980年
1981年
1982年
1984年
1987年
1988年
1989年
1991年
1992年
1994年
1995年
1996年
1997年
2003年
2007年
2009年

OVA

1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1995年
1996年
1998年
1999年
2000年
2006年
2011年
  • ノラゲキ!(老人)

ゲーム

1989年
1995年
1998年
2000年
  • 裏技麻雀〜これって天和ってやつかい〜(ほかげのテン蔵)
  • サンライズ英雄譚R(マーダル)
2002年
2003年
2006年
2007年
2008年
2010年
2011年
2014年
2019年

吹き替え

俳優

ウォルター・ゴテル
ジョン・エイモス
パトリック・スチュワート
R・G・アームストロング

映画

ドラマ

アニメ

人形劇

特撮

1967年
1968年
1970年
1971年
1979年
1985年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2003年
2004年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年

CD

テレビドラマ

映画

舞台

CM

テレビ番組

人形劇

その他コンテンツ

脚注

注釈

  1. ^ 加藤が当時入院したため終盤で柴田秀勝に交代した。退院の翌月に『トランスフォーマー ザ・ムービー』の日本語版の収録を行っている。
  2. ^ 加藤の存命中の2012年に「au」テレビCM、『巨人の星星一徹役を引き継いだ[28]
  3. ^ 加藤の存命中にも『仮面ライダーBLACK RX』の作品終盤でジャーク将軍役を引き継いだ。
  4. ^ 28&29話「困ったそっくりさん(前編&後編)」、66話「生きていた母」。
    エイブは21話「灯台の悪人」にも登場しているが、その時の声優は及川ヒロオ

出典

  1. ^ 『日本タレント名鑑(1989年版)』VIPタイムズ社、1989年、65頁。 
  2. ^ a b c d e f g 本橋信宏「日本一熱い親子は声優たちを燃えたたせた 「巨人の星」 36年目の父ちゃん! 飛雄馬よ!」『月刊現代』2004年3月号、講談社、2004年3月、296-304頁。 
  3. ^ a b c “声優の加藤精三さん死去”. 時事通信. (2014年1月17日). オリジナルの2014年2月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140202110248/http://www.jiji.com/jc/zc?k=201401/2014011700838 2014年1月17日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f 「仮面ライダーBLACK RX」ジャーク将軍声役他 加藤精三さん”. 東映ヒーローネット. pp. 1 - 3. 2015年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月4日閲覧。
  5. ^ 『声優名鑑 アニメーションから洋画まで…』近代映画社、1985年、42頁。 
  6. ^ a b c d e f g h 俳協 所属俳優プロフィール”. 2014年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月6日閲覧。
  7. ^ a b 「声優さんのプライバシー全紹介 TVアニメ新番組 あの声の正体は?」『月刊OUT』1977年12月号、みのり書房、1977年12月1日、44頁。 
  8. ^ 加藤精三”. 東京俳優生活協同組合. 2003年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月16日閲覧。
  9. ^ 成美堂出版 編「男性篇」『声優名鑑』成美堂出版、1999年8月10日、409頁。ISBN 4-415-00878-X 
  10. ^ 加藤 精三」『Excite News』(エキサイト株式会社)。2023-11-閲覧。
  11. ^ 『日本タレント名鑑(2003年版)』VIPタイムズ社、2003年4月25日、101頁。ISBN 978-4-9901242-1-2 
  12. ^ a b c d e 『声優の世界-アニメーションから外国映画まで』朝日ソノラマファンタスティックコレクション別冊〉、1979年10月30日、76頁。 
  13. ^ 『出演者名簿(1963年版)』著作権情報センター、1962年、125頁。 
  14. ^ 城山 堅”. ポランの会. 2008年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月21日閲覧。
  15. ^ これまでの顕彰者”. 東京アニメアワードフェスティバル. 2024年7月9日閲覧。
  16. ^ 千葉一伸 [@isshinchiba1] (2022年4月15日). "久しぶりに大先輩の故加藤精三さん(松本管理官)とヘッドホン越しに共演出来て光栄でした。". X(旧Twitter)より2022年4月30日閲覧
  17. ^ 小川びい『こだわり声優事典'97』徳間書店〈ロマンアルバム〉、1997年3月10日、38頁。ISBN 4-19-720012-9 
  18. ^ 『お願い!ランキングGOLD 【2時間スペシャル】』(2012年3月10日)の番組概要ページ”. gooテレビ番組(関東版). NTTレゾナント. 2018年2月6日閲覧。
  19. ^ 大塚周夫(インタビュアー:とり・みき)「『続夕陽のガンマンブルーレイBOX』大塚周夫|インタビュー」『吹替の帝王, 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン』。オリジナルの2015年2月17日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150217050911/http://video.foxjapan.com/library/fukikae/interview05.html2014年9月19日閲覧 
  20. ^ 「タルカス 編「2010を振り返る証言集 加藤精三」」『トランスフォーマー ジェネレーション2010』ミリオン出版、2010年11月24日、81頁。ISBN 978-4-8130-2130-8 
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  25. ^ 「谷澤崇編「[第3特集] マスターピース記念インタビュー 速水奨(ウルトラマグナス役)」」『トランスフォーマージェネレーション2014』 VOL.2、ヒーローX、2014年8月29日、59頁。ISBN 978-4-8130-2252-7 
  26. ^ 「谷澤崇編「[第3特集] マスターピース記念インタビュー 塩屋翼/阪脩」」『トランスフォーマージェネレーション2014』 VOL.1、ヒーローX、2014年5月21日、46頁。ISBN 978-4-8130-2243-5 
  27. ^ a b c d e 高山みなみ; 田中真弓; 一龍斎貞友(インタビュアー:笹本千尋)「3人の仲良しの秘訣は“お互いを認め合っていること”――『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』乱太郎役・高山みなみ×きり丸役・田中真弓×しんべヱ役・一龍斎貞友 インタビュー」『アニメイトタイムズ』、アニメイト、2頁、2024年12月19日https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1734576624&p=22024年12月19日閲覧 
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外部リンク