井土紀州
この記事の主題はウィキペディアにおける独立記事作成の目安を満たしていないおそれがあります。 (2023年3月) |
経歴
編集1968年(昭和43年)、三重県北牟婁郡海山町(現・紀北町海山区)生まれ。松阪高校、法政大学文学部卒業。大学在学中に上映団体「シアター・ゼロ」に所属、さまざまな映画上映の企画運営に関わる。大学卒業後は、アテネ・フランセ文化センターで映写技師として働きながら、キュレーターだった安井豊に師事し、企画運営にも携わる。1993年、新しい映画作家を特集した「新・日本作家主義列伝」という企画で、ピンク四天王(瀬々敬久、佐野和宏、サトウトシキ、佐藤寿保)や河瀬直美らの紹介に関わった。
監督として
編集1992年、法政大学在学中に松阪高校時代からの仲間である吉岡文平と『第一アパート』を製作、東京学生映画祭において崔洋一に絶賛され、特別賞を受賞。 監督デビュー作となる『百年の絶唱』は、1997年に東京国際映画祭で上映された後、1998年に渋谷ユーロスペースでレイトロードショー公開され、僅か8日間の上映にもかかわらず、およそ1,000人もの観客を動員。以後も全国主要都市や海外でも上映されることになった。また、この映画を製作中に吉岡文平らと映画製作集団「スピリチュアル・ムービーズ」を立ち上げる。
2005年に公開されたドキュメンタリー映画『レフト・アローン』では、インタビューを中心に日本の戦後左翼史を検証。
2007年公開の『ラザロ-LAZARUS-』三部作では格差社会を描き、痛烈な問題提起と娯楽性が共存した映画として大きな反響を呼び、オランダ・ロッテルダム映画祭でも上映された。
2009年にカナダ・モントリオール映画祭で『行旅死亡人』が上映、2011年にはドイツ・フランクフルトの映画祭「ニッポンコネクション」で『土竜の祭』と『泥の惑星』が上映されるなど海外にも広く紹介されている。
2010年、「映画一揆」と題してこれまでの監督作品の特集上映が渋谷ユーロスペースを皮切りに、各都市で上映された。
2012年には佐藤正午原作の『彼女について知ることのすべて』を監督している。
脚本家として
編集瀬々敬久との出会いにより、1994年からピンク映画を出発点にしてシナリオを書き始める。犯罪と性をモチーフにした骨太な作風で知られ、瀬々敬久の初期の代表作『黒い下着の女 雷魚』(97)や、千原浩史・小島聖主演の『HYSTERIC』(00)、お笑いタレントの木村祐一が監督を務めた『ニセ札』(09)などでも実際の事件や犯罪に取材した作品を書いている。
それ以外にも、GacktとHYDEが主演した『MOON CHILD』(03)、矢崎仁司監督の『不倫純愛』(11)、久しぶりに瀬々敬久監督作品に参加した『64(ロクヨン)』(16)、菅田将暉と小松菜奈主演、山戸結希監督で大ヒットを記録した『溺れるナイフ』(16)など、手がけたジャンルは多岐にわたる。
『私立探偵・濱マイク』シリーズ(03)、『ダムド・ファイル』シリーズ(03)、『激動! 世紀の大事件 オウム真理教と闘った家族の全記録〜地下鉄サリン事件20年〜』(15)、ジェーン・スー原作『生きるとか死ぬとか父親とか』(21)など、テレビドラマのシナリオも手がけている。
人物
編集井土紀州という名は本名である。「文藝」2001年冬号の中原昌也との対談の中で「前に柄谷行人さんと会ったときに、10回ぐらい聞かれましたよ。「お前、それは本当に本名なのか」って」「ガキのころはいやでしたね、変な名前で」と語っている。
「井上紀州」と誤記されることも多々ある。
「文藝」(河出書房新社、「文藝」2021年冬季号・特集:中原昌也/第38回文藝賞発表)頁
主な監督・脚本作品
編集監督作品
編集- 第一アパート(1992年、共同監督・吉岡文平)
- 百年の絶唱(1998年)
- ヴェンダースの友人(2000年)
- LEFT ALONE(2005年)
- ラザロ-LAZARUS-(2007年)
- 人に歴史あり~十八歳の暗黒(2008年)
- 行旅死亡人(2009年)
- 犀の角(2009年)
- 土竜の祭(2009年)
- 泥の惑星(2009年)
- 青春Hシリーズ
- ピラニア(2010年)
- ふたりのシーズン(2012年)
- マリア狂騒曲(2013年11月30日公開)
- 彼女について知ることのすべて(2012年)
- 漂着物(2017年)
- 卍(2023年)
脚本作品
編集- 高級ソープテクニック4 悶絶秘戯 (1994年)
- 終わらないセックス (1995年)
- 赫い情事 (1996年)
- 牝臭 とろける花芯 (1996年)
- 禁じられた情事 不倫妻大股びらき (1996年)
- 黒い下着の女 雷魚 (1997年、瀬々敬久監督)
- 人妻・青年狩り (1997年)
- KOKKURI こっくりさん (1997年)
- 悶絶大回転 ひと晩に何回でも(1997年)
- 熟女ソープ 突きぬけ発射(1998年、榎本敏郎監督)
- THE FETIST 熱い吐息 (1998年)
- 汚れた女(マリア) (1998年)
- 魔弾!檻の中の美術教師 (1998年)
- 覗かれた不倫妻 主人の目の前で… (1999年)
- 喪服姉妹 タップリ濡らして (1999年)
- HYSTERIC(2000年)
- 濡れ濡れ 卍妻 喪服で昇天 (2000年)
- おしゃぶり天使 白衣のマスコット (2000年)
- RUSH!(2001年)
- ラブホテル 初めての体験 (2001年)
- ラブホテル あぶない関係 (2001年)
- 極妻任侠道 夜叉絶叫 (2002年)
- 私立探偵 濱マイク (2002年、日本テレビ)
- MOON CHILD (2003年)
- YUMENO ユメノ(2005年、鎌田義孝監督)
- 屋根裏の散歩者 (2006年)
- 刺青 堕ちた女郎蜘蛛 (2006年)
- 密戯 ひとには言えない… (2007年)
- ニセ札 (2009年、木村祐一監督)(脚本家・向井康介と共同作成)
- 禁断の果実 義息子との夜 (2009年)
- 運命のひと (2009年)
- 白日夢 (2009年)
- 不倫純愛 (2010年)
- ワラライフ!!(2011年、木村祐一監督)(木村祐一と共同)
- 激動! 世紀の大事件 オウム真理教と闘った家族の全記録 〜地下鉄サリン事件20年〜 (2015年、フジテレビ)
- 64(ロクヨン)(2016年、瀬々敬久監督)(脚本協力)
- 溺れるナイフ(2016年、山戸結希監督)
- 生きるとか死ぬとか父親とか(2021年、山戸結希監督、菊地健雄監督、テレビ東京)
- 遠くへ、もっと遠くへ(2022年、いまおかしんじ監督)
出演
編集脚注
編集外部リンク
編集- スピリチュアル・ムービーズ
- 井土紀州 (@eigagumin) - X(旧Twitter)
- 一般社団法人シナリオ作家協会 シナリオ作家リレー日記 井土紀州
- 井土紀州 - allcinema
- 井土紀州 - KINENOTE
- 井土紀州 - 日本映画データベース
- Kishû Izuchi - IMDb