スイート原油
スイート原油(スイートげんゆ、英: Sweet crude oil)またはスウィートオイル[1]は、石油(原油)の種別の一つ。ニューヨーク・マーカンタイル取引所は硫黄分が0.5%未満の原油をsweetと定義している[2][3]。
逆に、硫黄を多く含む原油は、サワー原油(サワーオイル)と呼ばれる。
「スイート」という用語は、硫黄分が多い油と比較した場合、硫黄分が少ない物には比較的甘い味と心地よい香りがある点に由来する。19世紀の探鉱者は、少量の油を味わい、匂いを嗅ぎ、その品質を判別していた[4]。
スイート原油は少量の硫化水素と二酸化炭素しか含まない。高品質で低硫黄の原油は、ガソリンへの加工に使用されており、特に先進国で高い需要がある。自動車用のガソリンは石油需要の中で最も代替が難しいものである[1]。軽質スイート原油 (Light sweet crude oil) は市場から最も求められている種類の原油で、精製(分留)すると、石油製品の中でも価値の高いガソリン(ナフサ)、灯油、高品質ディーゼル油(軽油)が多く得られる。
価格設定
編集アメリカの媒体では一般的に「石油価格、price of oil」という用語は、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の1バレル(42米ガロン=約159リットル)をオクラホマ州クッシングで翌月引き渡す場合の価格を指す。この情報は、 NYMEXまたはアメリカ合衆国エネルギー省エネルギー情報局(Energy Information Administration)が提供している。
WTIは硫黄分0.45%と高品質でスイート原油の代表的銘柄である。WTIと双璧をなすのが北海ブレント原油で、こちらも硫黄分0.45%と高品質でヨーロッパ市場の基準価格になっている[1]。
このような価格の基準になっている銘柄をマーカー原油(marker crude)もしくはベンチマークと呼ぶ。現在、世界的に用いられているのは上記2種類に中東(日本を含むアジア市場向け)のドバイ原油を加えた3銘柄である[5]。
かつて、OPECの台頭後、1980年代半ばまではサウジアラビア産のアラビアン・ライトがOPECが定めるマーカー原油であり、その価格を文字通りのベンチマークとして、品質の高低などに応じて油価が定められていた。しかし1985年1月にOPECがこの制度を事実上廃止し[6]、それ以降、過渡期を経て上記のような代表銘柄の市場価格が指標として使われるようになった[5]。
生産国の一覧
編集スイート原油の生産国は次のとおり。
関連項目
編集脚注
編集- ^ a b c “スウィート・オイル[すうぃーと おいる]”. 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構. 2020年9月29日閲覧。
- ^ “Oil markets explained”. BBC News. 2020年9月29日閲覧。 “'Sweet' crude is defined as having a sulphur content of less than 0.5%.”
- ^ Szymon Wlazlowski, Björn Hagströmer & Monica Giulietti (2011). “Causality in crude oil prices” (English). Applied Economics (Applied Economics (Vol. 43 Issue24)) 43 (24): 3337–3347. doi:10.1080/00036841003636250 .
- ^ “Description of the MC 252 Crude Oil” (PDF). Oil Spill Academic Task Force, State of Florida. January 28, 2011閲覧。
- ^ a b Mabro, Robert (2006). Oil in the 21st century: issues, challenges and opportunities. Oxford Press. p. 351. ISBN 9780199207381
- ^ “マーカー原油 [まーかーげんゆ]|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト”. 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構. 2020年10月1日閲覧。