株式会社たこ満(たこまん、英語Takoman Co., Ltd.)は、日本製菓業者。旧社名は株式会社多古満(たこまん)。直営店のロゴなどでは、たこまんと表記されることも多い。

株式会社たこ満
Takoman Co., Ltd.
「たこまん」竜洋本店の 駐車場と看板
「たこまん」竜洋本店の
駐車場と看板
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 たこ満、たこまん
本社所在地 日本の旗 日本
437-1521
静岡県菊川市上平川565番地の1
本店所在地 437-1421
静岡県掛川市大坂1465番地[1]
設立 1977年4月(創業:1953年[2]
業種 食料品
法人番号 4080401014653
事業内容 郷土銘菓・和菓子洋菓子
開発製造販売事業[2]
お菓子教室事業[2]
代表者 平松季哲(代表取締役
資本金 5000万円[2]
従業員数 380名[2]
支店舗数 直営店16店舗[2]
フランチャイズ店1店舗[2]
外部リンク https://www.takoman.co.jp/
特記事項:静岡県洋菓子協会会員
テンプレートを表示

概要

編集

静岡県菊川市に本社を置く製菓業者であり、郷土菓子、和菓子洋菓子開発製造販売を手掛けている[2]静岡県西部を中心に直営店「たこまん」を展開しており[3]商品は基本的にはこれらの店舗でしか購入できないが、例外的に東海旅客鉄道掛川駅構内の「これっしか処」や静岡空港の売店などで一部の商品が土産用として販売されている[4]。直営店においては、毎月「たこのはっちゃんデー」と呼ばれるセールが催されていた。

「アマンド娘」などの菓子で知られる株式会社ロリエ常盤家が経営破綻した際には、救済に乗り出し株式会社ロリエたこまんを設立し、店舗のリニューアルオープンした。

特徴

編集
 
たこ満の「遠州大粒完熟いちご大福」

経営理念として「ひとりのお客様の満足とひとりの社員の幸せ」[5][6] を掲げている。社長をはじめとする経営陣は、従業員向けの「デイリーニュース」をほぼ毎日発行しており、従業員との間で理念の共有を図っている[6]。デイリーニュースには、経営陣のメッセージだけでなく、菓子の製造個数が目標に達しなかった従業員から寄せられた自分は背が低いため台を用意してもらえれば作業が円滑に進み、菓子を待つ顧客の期待に応えられる、との改善提案など[7]従業員からのレスポンスも掲載されている。このような経営陣と従業員の相互対話を通じて、意志の共有を図り、経営理念を日常の活動に反映させている[7]

身土不二思想のもと、原材料は地元である静岡県西部(かつての遠江国遠州)産のものを極力使用している[5][8]。キャッチフレーズは「清らかな遠州からのおくりもの」であり、商品のネーミングも遠江伝説名勝に因む物が多い。包装紙には遠江の野花をあしらうなど、地元に根ざした企業姿勢が窺える。

これらの点から、静岡県西部を代表する製菓業の一つとして知られ、経営学者坂本光司が行った「静岡県西部地域顧客満足度調査」によれば、「あなたが他人に紹介できる自慢の店」として他の店舗を大きく引き離しての1位であった[9]顧客から県外にも出店してほしいとの要望が寄せられることもあるが、「『たこまん』は遠州をテーマにした菓子屋のため、残念ながら他県への出店予定はございません。今後も静岡県遠州地方を中心にと思っております」[10] と回答しており、あくまで直営店としての「たこまん」は遠州のみに限定する姿勢を鮮明に打ち出している。

直営店「たこまん」は、店舗ごとにさまざまな意匠を凝らした造りとなっている。城下町風の街づくりを進める掛川市に立地する「掛川本館」は、鉄骨造だが屋根瓦葺とし外壁にを用いるなど、和風を意識した造りとなっている[11]。それに対して、磐田郡浅羽町(のちの袋井市)に立地する「浅羽本店」は、同じく鉄骨造だが南国風を意識した造りとなっており、樹木などが植栽されたガーデンが併設されている[12]

インターンシップにも応じており掛川市、菊川市、浜松市中学校高等学校大学、および、特別支援学校といった地元の教育機関からの受け入れに応じている[13]

来歴

編集

1953年、静岡県小笠郡大坂村市町村合併により大浜町大東町を経て掛川市)にて創業[14]。その後、従業員の給与水準や労働条件を改善し他業種と遜色のない企業にしたいとの思いから[14]法人化を果たすとともに、小笠郡浜岡町(のちの御前崎市)に出店を果たす[5]。しかし、売上は伸びるものの、離職者が後を絶たない事態となった[5][15]。従業員の待遇改善を目指した規模の拡大が、結果的に離職者の増大を招いてしまったことから、経営方針を転換した。顧客満足と従業員満足を同時に目指すこととし「ひとりのお客様の満足とひとりの社員の幸せ」[5][6][15]を経営理念として掲げた。以来、小笠郡を中心とする静岡県西部に直営店を出店してきた。その後、本拠地と生産拠点は小笠郡小笠町(のちの菊川市)に移転することになり、「小笠本社」と「小笠工場」が設置された。創業の地である掛川市大坂の店舗は「大東本店」を名乗り登記上の本店についても現在も掛川市大坂としている[1]

名称

編集

初代社長が東京都に修行に出た際、奉公先で初めて食べた酢蛸のおいしさに感動し、この酢蛸以上の満足を顧客に伝えたいと考え「たこまん」と命名した[14][15]。当初の社名は漢字で「多古満」としていたが、のちに一部平仮名混じりの「たこ満」に改名した。社章は、を象った図形の中に、筆文字で「多古満」と表記されている。直営店などの店舗のロゴは、全て平仮名で「たこまん」とされていることが多い。

フィクションへの登場

編集

主な製品

編集
 
遠州茶屋の「紅ほっぺパフェ」
 
たこ満小笠本店で販売される「遠州大粒完熟いちご大福」
  • あんじぇんぬ
  • 城下餅
  • 遠州バウム
  • 掛川栗モンブラン みのり
    掛川市の自社農園栽培の栗使用
  • 栗みそ饅頭
  • 福豆大福
  • 大砂丘
    浜岡砂丘(静岡県御前崎市)を中心とする遠州灘の海浜にちなむ。
    永年チーズクリームが中に入っていたが、近年クリームの種類が増加。
    いちご、桜、ブルーベリー、マロンなどが期間限定で発売される
  • たこまん
  • 茶の葉フリアン
  • のんべえ饅頭
    応声教院(静岡県菊川市)の「のんべえ地蔵」にちなむ。
  • 初甘藷
  • 夢いちご
    遠州夢咲農業協同組合管内で生産された「夢咲苺」を使用した苺大福。

かつて販売していた製品

編集

キャッチフレーズ

編集
  • 清らかな遠州からの贈り物
  • 身土不二

歴史

編集

店鋪

編集

工房・お店「たこまん」

編集
静岡県西部を中心に17店鋪を展開する。(2012年現在)

関連店舗

編集

関連企業

編集

加盟団体

編集
  • 静岡県洋菓子協会

テレビ番組

編集

脚注

編集
  1. ^ a b 「最新情報」『株式会社たこ満の情報|国税庁法人番号公表サイト国税庁2015年11月13日
  2. ^ a b c d e f g h 「会社概要」『たこまん/会社概要』たこ満。
  3. ^ 「たこまん店舗案内」『たこまん/店舗情報』たこ満。
  4. ^ 「『たこまん商品取扱店』(敬称略)」『たこまん/店舗情報』たこ満。
  5. ^ a b c d e 藤井正隆『感動する会社は、なぜ、すべてがうまく回っているのか?』マガジンハウス2011年、91頁。
  6. ^ a b c 坂本光司&坂本光司研究室『「日本でいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標』朝日新聞出版2015年、217頁。
  7. ^ a b 坂本光司&坂本光司研究室『「日本でいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標』朝日新聞出版2015年、218頁。
  8. ^ 「身土不二」『たこまん/身土不二_茶 Archived 2014年8月19日, at the Wayback Machine.』たこ満。
  9. ^ 株式会社たこ満 Archived 2014年8月19日, at the Wayback Machine.』。
  10. ^ 「お客様からのご要望」『たこまん/FAQ-よくあるご質問について-』たこ満。
  11. ^ 「多古満掛川店」『多古満 掛川店|ヴァイスプランニング一級建築士設計事務所』ヴァイスプランニング一級建築士設計事務所。
  12. ^ 「多古満浅羽店」『多古満 浅羽店 | ヴァイスプランニング一級建築士事務所』ヴァイスプランニング一級建築士事務所。
  13. ^ 坂本光司&坂本光司研究室『「日本でいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標』朝日新聞出版2015年、201頁。
  14. ^ a b c 藤井正隆『感動する会社は、なぜ、すべてがうまく回っているのか?』マガジンハウス2011年、90頁。
  15. ^ a b c 深山昭彦「ひとりのお客様の満足とひとりの社員の幸せ」『たこまんのコアコンピタンス経営 ~心の時代の経営学~ |社会起業家を育成するビジネススクール 社会起業大学』社会起業大学。
  16. ^ 地元にあった奇跡の店SP 第2弾 超地域密着経営で大人気の和洋菓子店 - テレビ東京 2016年2月11日

関連文献

編集

外部リンク

編集