こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスや個人事業主という生き方が浸透しつつある昨今、一人で開業して仕事をしていきたいと思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、「一人で開業できる仕事は何があるの?」「どうしたら成功できる?」など、さまざまな疑問を抱いていることかと思います。
一人の開業にはさまざまな注意点があり、闇雲に開業してしまうと思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。そこで今回の記事では、開業を検討している方に向けて、一人で開業できる仕事の種類や必要なスキルを解説します。
なお、フリーランスとしての独立を考えている方は「フリーランスの仕事の種類一覧!職種ごとの特徴や想定年収」も併せてご覧ください。
「必要以上に安売りをしてしまう」「市場感より高い単価で参画してしまいトラブルになる..」
フリーランス市場は売り手市場であるものの、いまだに正しいノウハウが確立されておらず、多くの方が案件探しに苦労されています。
ですが、現在の市場感や企業側に刺さる経験・スキルを理解し正しく案件探しをすれば、誰でも自身のバリューを活かし単価を伸ばすことができる、というのも事実です。
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目次
一人で開業する際の選択肢
一人で開業する場合、さまざまなパターンがありますが、ビジネスの種類によって以下の2つに大別できます。
- 業務請負
- 起業
「業務請負」とは、いわゆる「クライアントワーク」を指し、クライアントから特定の業務の委託を受け、成果物を納品したりサービス・役務を提供したりする対価として報酬を受け取るものです。クライアントから案件を受注できればすぐに収入が得られるというメリットがあります。一方、報酬は単価や稼働量に応じて決まるため、高収入を得るには効率的に稼ぐという意識が大切です。
ここで指す「起業」とは、自身でビジネスを立ち上げる方法を指します。例えば「Webアプリを開発してユーザーから月額課金制で収益を得る」「自身でECショップを運営して商品を販売する」といったものが該当します。こちらは業務請負と比較して事業化が難しく大きな資金を必要とする一方で、成長によっては大きな収益を得ることも可能です。
資格がなくてもスキルを活かして一人で開業できる仕事
一人で開業できる仕事は多種多様ですが、まずは資格がなくてもスキルを活かして活躍できる仕事をご紹介します。年収の目安は以下の通りですが、同じように開業しても大きく開きがあります。これから開業を目指す人はぜひ参考にしてください。
職種 | 年収の目安 | 主な開業の種類 |
---|---|---|
1.ITエンジニア | 400万〜1,000万円 | 業務請負 |
2.ライター・編集者 | 200万~700万円 | 業務請負 |
3.Webデザイナー・イラストレーター | 200万~800万円 | 業務請負 |
4.動画編集 | 200万~500万円 | 業務請負 |
5.事務スタッフ | 200万円~ | 業務請負 |
6.情報発信・インフルエンサー | 100万~数億円 | 起業 |
7.アフィリエイトサイト運営 | 0~数億円 | 起業 |
8.各種カウンセラー | 300万~500万円 | 業務請負・起業 |
9.各種コンサルタント | 500万〜1,000万円 | 業務請負・起業 |
10.各種サロン | 300万~1,000万円 | 起業 |
11.各種講師 | 300万~600万円 | 業務請負 |
12.カメラマン | 200万~800万円 | 業務請負 |
13.ネットショップ運営 | 100万~1,000万円 | 起業 |
14.飲食店 | 500万~1,000万円 | 起業 |
15.小売店 | 300万~1,000万円 | 起業 |
16.買取 | 400万~600万円 | 起業 |
17.清掃 | 300万〜600万円前後 | 起業 |
18.学習塾 | 300万~800万円 | 起業 |
19.税理士 | 500万〜800万円 | 起業 |
20.行政書士 | 400万〜700万円 | 起業 |
ここからはそれぞれの仕事の内容について詳しく見ていきましょう。
1.ITエンジニア
ITエンジニアは、情報技術に関わる仕事をします。ITエンジニアという言葉は広義であり、システムエンジニアやプログラマー、サーバーエンジニアなども全て「ITエンジニア」です。フリーランス協会「フリーランス白書2023」によると、フリーランスの人で年収「400万円以上」の割合が最も多い職種はITエンジニア(77.0%)でした。一般的な収入の目安は400万〜1,000万円です。
ITエンジニアとして開業するためには、まずシステム開発やプログラミングに関する深い知識が求められます。通常の開発職の場合、「基本情報技術者」程度の知識は求められるものの資格が必要不可欠というわけではありません。ただしより高度な仕事に就く場合は、「応用情報技術者」や高度資格があると役立つ可能性があります。
使用するプログラミング言語は、非常に多くの種類があり、流行も変わります。そのため、トレンドにキャッチアップするハングリー精神も求められるでしょう。
社会のなかでITインフラやA(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)の技術は必要不可欠なものであり、今後も需要が見込まれる仕事です。ランニングコストについては、基本的には通信費や電気代、必要に応じてパソコンの買い替えなどで済むため、利益の出やすい職業です。
2.ライター・編集者
ライターは取材や記事の執筆をする仕事です。一方で、ライターが執筆した記事を編集するのが、編集者の仕事です。今はWebメディアの発展が著しく、Web媒体の記事を執筆する仕事が多くあります。
フリーランス協会の「フリーランス白書2023」によると、出版・メディア系の職種で働くフリーランスのうち、年収が「400万円未満」の人は59.5%、「400万円以上」の人は39.3%でした。編集者の収入は、ライターより少し多くなる場合もあります。およそ200万~700万円を目安としておくとよいでしょう。
ITエンジニアほど厳密なスキルを要求されるわけではありませんが、分かりやすい文章を書く技術が求められます。
パソコンと周辺機器、インターネットにつなぐためのサービスとの契約があればスタートでき、必ずしも資格は必要ありません。交通費や光熱費、通信費、資料代などは必要ですが、経費はさほどかからない職業です。
3.Webデザイナー・イラストレーター
Webデザイナーは、Webサイトのデザインを考える仕事です。一方でイラストレーターは、クライアントの依頼に応じて、広い意味でのイラストを作成します。Webデザイナーの収入の目安は、年収200万〜800万円程度です。イラストレーターの収入も、Webデザイナーに近い数字といえるでしょう。
Webデザイナーやイラストレーターになるためには、グラフィックソフト(Photoshop、Illustratorなど)やイラストのソフトに精通している必要があります。資格は求められないことが多い分、デザインのスキルがシビアに評価されやすい仕事です。
今後もデジタルコンテンツが一定数制作されていくことを考えると、需要のある仕事だといえます。ランニングコストもITエンジニアやライターとさほど変わりません。
4.動画編集
動画編集は、ホームページやYouTubeなどに投稿する動画を編集する仕事です。YouTubeに投稿されている動画は、カットやテロップなど、さまざまな編集がなされています。YouTuber自身が編集しているパターンもありますが、動画編集者に外注しているケースもあります。
動画コンテンツの需要は高く、5G時代の到来で動画市場の拡大が見込まれることから、今後も注目の仕事だといえます。
個人開業した動画編集者の収入の目安は、年収200万〜500万円程度のようです。動画編集者になるためには、動画のカット・映像加工・テロップ挿入などの基本的な加工技術のほか、動画編集ソフトのスキルやCG・音声関連スキルも求められます。動画編集ツールに関する資格を取得すればスキル・知識の証明になることもありますが、必須ではありません。
5.事務スタッフ
事務スタッフは、クライアントからの依頼を受け、事務作業を行う仕事です。会社の資料作成など、一般的な事務職と同じような仕事をこなします。仕事内容にもよりますが、事務スタッフの収入の目安は年収200万円程度からのようです。
事務スタッフは貿易事務や経理のように特定の資格が役立つケースもありますが、多くの場合に求められるのは、WordやExcelなど、Microsoft Ofiiceソフトのスキルです。特にExcelのスキルは重要で、複雑な関数が使えたり、さまざまなマクロが組めたりするとよりレベルの高い仕事ができます。
テレワークを実施している企業が増えたことから、事務スタッフも在宅のまま、業務請負という契約形態で働ける機会が増えました。
業務請負の場合の事務案件の単価はあまり高くありませんが、ランニングコストは電気代と通信費程度で済むため、働いた分が利益になりやすい仕事です。
6.情報発信・インフルエンサー
情報発信やインフルエンサーは、SNSなどでコンテンツを発信し、人々の注目を集める仕事です。YouTuberやTikToker、インスタグラマーなどがこれにあたります。クリエイターやプラットフォームによって収入は大きく変わり、年収100万円に満たない人から、年収数億円クラスまでさまざまです。
情報発信やインフルエンサーになるために、特に必要な資格はありません。人々を楽しませる企画力や、コンテンツを発信し続ける継続力などが必要です。
7.アフィリエイトサイト運営
アフィリエイトサイト運営は、記事内に広告が貼られたアフィリエイトサイトを運営し、広告主から成果報酬を受け取る仕事です。こちらも情報発信・インフルエンサーと同様、全く収入のない人から、年収数億円を稼ぐ人までさまざまです。
アフィリエイトで収入を得るためには、なるべく多くのユーザーをサイトに集めなければなりません。SEOを含むマーケティングのスキルや、コンテンツを魅力的にする文章力・編集力などが求められるでしょう。
8.カメラマン
カメラマンは、クライアントの依頼で写真の撮影をしたり、自分で撮影した写真を販売したりする仕事です。収入の目安としては、年収200万〜800万円程度のようです。
カメラマンとして仕事をするためには、撮影の技術はもちろん、豊かな感性やクライアントの意図をくむスキルが必要です。また、パソコンを使って納品できる状態にサイズや色調整をする作業をするため、パソコンのソフトを扱う知識も欠かせません。
カメラやパソコン、照明、必要に応じて車など、扱う機材が多く経費もかかります。
9.ネットショップ運営
ネットショップ運営は、アパレルや雑貨などのECサイトを運営し、顧客にモノやサービスを販売する仕事です。マーケティングやサイトデザインの変更など、ネットショップに関するさまざまな仕事をします。
アフィリエイトサイト運営と同じように、収入は人によって大きく変わります。副業程度ならば年収100万円前後で、本格的に開業する場合は1,000万円を超える人もいます。サイトを構築する力やマーケティングスキルが求められるものの、特別な資格は必要なく、昨今では簡単に出店できるサービスも増えています。
10.小売店
小売店は、自分のショップを経営し、利益を上げる仕事です。フランチャイズとしてはコンビニや書店、ネットショップ、中古車販売などがあります。収入の目安としては、年収300万〜1,000万円程度で、コンビニオーナーの場合は700万円前後ともいわれています。
開業資金はさまざまですが20万円程度から始められるものもあります。
小売店の開業に際して、必ず持っていなければならないような資格はありません。ただし古着や古本のような商品を扱う場合は、古物商の免許が必要になるなど、例外もいくつかあります。
11.清掃
清掃は、ハウスクリーニングなどのフランチャイズで、広義の「家事代行」にあたります。代理店のオーナーとして、清掃サービスを行うのが主な仕事内容です。
業者や店舗によって異なりますが、業界全体の収入の目安は、年収500万円程度のようです。開業資金は50万円台~なので、手軽に始められます。
清掃業界での経験がなくても、研修によって未経験から始められます。代理店のオーナーになるため、一般的なマネジメントスキルも要求されます。
12.学習塾
学習塾のフランチャイズもよく知られています。塾のオーナーとして生徒・講師の募集や、生徒に対して授業を行います。業者によっては、生徒の募集を本部がしてくれる場合もあるため、授業のみに注力することも可能です。
業者によって細かな違いはありますが、業界全体で考えると、収入の目安は生徒数にもよりますが年収300万〜800万円程度のようです。開業資金は300万~500万円というところが多いようですが、20万円程度で始められるものもあります。
資格は必須ではなく、教育業界での経験はもちろん、マネジメント経験や接客業経験などが重要になるでしょう。
資格を活かして一人で開業できる仕事
次に1人で開業できる仕事のうち、資格を活かして開業しやすい仕事を紹介します。
職種 | 年収の目安 | 主な開業の種類 |
---|---|---|
カウンセラー | 300万~500万円 | 業務請負・起業 |
コンサルタント | 500万〜1,000万円 | 業務請負・起業 |
サロン経営 | 300万~1,000万円 | 起業 |
講師 | 300万~600万円 | 業務請負 |
飲食店 | 500万~1,000万円 | 起業 |
買取 | 400万~600万円 | 起業 |
税理士 | 500万〜800万円 | 起業 |
行政書士 | 400万〜700万円 | 起業 |
それぞれの仕事について詳しく見ていきましょう。
13.各種カウンセラー
カウンセラーとしては、主に以下のような分野があります。
- 心理カウンセラー
- キャリアカウンセラー
- 結婚カウンセラー
カウンセラーの種類は豊富ですが、「顧客の相談に乗る」という仕事内容は共通しています。収入の目安は年収300万〜500万円程度のようです。
カウンセラーは人の話を聞く仕事なので、高いコミュニケーションスキルが求められます。分野によっては「臨床心理士」「公認心理師」といった資格が必要です。
働き方としてはクリニックやカウンセリングルーム、企業などに業務委託契約で常駐する場合や、自分で事務所を設ける場合もあります。また、オンラインカウンセリングを行っている人もいます。常駐やオンラインでは経費はさほどかかりませんが、事務所を設ける場合には家賃などがかかります。
14.コンサルタント
コンサルタントとしては、主に以下のような職種があります。
- 経営コンサルタント
- 戦略コンサルタント
- 人事・労務コンサルタント
- 店舗コンサルタント
カウンセラーと同様、仕事内容はコンサルタントによって異なりますが、「顧客から相談を受け、助言・指導などを行う」という点では共通しています。収入は比較的高く、平均年収は500万円前後で、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。
特定の資格は必須ではありませんが、分野によっては中小企業診断士やMBA(経営学修士)といった資格を活かせるでしょう。
自宅を事務所兼として働くか、事務所を構える人もいます。事務所を構えると家賃、光熱費、通信費などが必要となり、当然、利益は下がるので、最初は自宅を事務所代わりにしたほうがよいかもしれません。
15.サロン経営
サロン経営は、美容などのサロンを経営する仕事です。内装のアレンジやスタッフ募集、経理など、サロンのオーナーとしての仕事をします。収入の目安としては、年収300万〜1,000万円程度のようです。
オーナーとしてサロンを支えるため、経営者のような決断力や実行力が求められます。美容・理容の営業を行う場合、美容師免許や理容師免許が必要です。
サロンを開くには建物に関する経費や、設備費、当面の運営費などを考えると、開業資金は1,000万~1,200万円は必要とされています。
16.講師
講師としては、以下のような仕事があります。
- 外国語講師
- ITスキルの講師
- コミュニケーション講師
- ビジネスマナー講師
最近ではプログラミングスクールの講師の募集なども増えています。収入の目安としては、年収300万〜600万円程度のようです。
人に教える立場なので、その分野に関する深い知識や、受講者に教えるためのコミュニケーションスキルが求められます。小中高の場合は当然ながら教員免許が必要で、企業研修や習い事の講師であればケースバーケースですが、分野によって資格があると知識・スキルの証明として有効です。
働き方としては「講師を派遣する会社などに登録」「スクールに業務請負スタッフとして所属」「自分で講座を開く」などがあります。自分で講座を開く場合、オンラインならば経費を抑えられますが、レンタルスペースなどを使う場合には、レンタル料などがかかります。
17.飲食店
飲食店を経営するには、食品衛生責任者の資格や調理師免許が必要です。調理師免許はオーナー自身が持っている必要はありませんが、あった方が便利です。
売上は飲食店としてのジャンルや規模によりさまざまですが500万〜1,000万円程度が目安です。本部に払うロイヤリティや、かかる経費を引いた分が自分の収入となります。ロイヤリティの目安は売上の10%前後といわれています。
開業資金はキッチンカーであれば50万円程度から始められるものもあります。
18.買取
中古ブランド買取専門店のフランチャイズなど、買取専門のビジネスがあります。フランチャイズの場合は、その店舗のオーナーとして活動し、資金繰りや従業員の採用・教育などを行います。
業者によって収入の目安は異なりますが、大手のフランチャイズであれば年収400万〜600万円程度のようです。開業資金は100万円台から見つけられます。
店舗のオーナーとして、幅広い経営の知識やコミュニケーションスキルが求められます。また人事・労務などに精通していれば、オーナーとしての活動に役立てられるでしょう。営業するにあたっては古物商許可が必要です。
19.税理士
国税庁が管轄する国家資格で、税務に関する専門家として公正な立場で適正な納税を実現するための資格です。所得税や法人税、相続税などの相談に乗ったり、納税者に代わって申告を行ったりします。資金調達、事業継承、収益向上などへのアドバイスも行います。
独立資金としては事務所を借りるための費用や、オフィス家具、OA機器などの購入費用などが必要です。
厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると税理士の平均年収は約746万円です。
20.行政書士
行政書士もまた法律に関わる国家資格の1つです。各種契約書や、新車購入時の登録手続き、事業をするうえでの登録手続きなど、各省庁や都道府県・市区町村の役所、警察などに提出する書類の作成、提出の際の手続き代行を行います。多くの人は行政書士事務所などで数年勤務の後、独立するケースが多いようです。
独立にかかる経費としてはやはり事務所の賃貸料、設備費などがかかります。厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると行政書士の平均年収は約551万円です。
なお、行政書士の資格は、以下のような通信講座での取得も目指せます。
一人で開業する際の2つの形態
一人で開業する際は、「個人事業主」「法人」という2つの形態があります。ここではそれぞれの特徴を紹介します。
個人事業主
「個人事業主」とは、法人を設立せず、個人として事業を営む形態です。
個人事業主として開業するには、税務署に「開業届」を提出するだけでよく、手続きが簡単です。特に、開業資金が少なく、少人数または一人で始めたい場合に適しています。青色申告を選択すれば、所得控除のメリットを受けつつも、比較的簡単な帳簿管理で済みます。
ただし、個人事業主は会社員と同じく所得に応じた累進課税が適用されるため、事業が軌道に乗り所得が大きくなると納税額が増える可能性があります。また、社会的な信頼性では法人に劣る場合があるため、大規模な取引や融資には不利な場合もあるでしょう。
法人
もう1つは法人を設立する方法です。銀行口座の名義やクライアントとの契約、備品の購入にいたるまで基本的には全て法人の名義で行うことになります。
法人としてビジネスを行うと「所得額によっては個人の累進課税の場合よりも低い税率が適用される」「資金調達の選択肢が広がる」「信頼度が上がる」といったメリットがあります。ビジネスの規模を拡大していく予定なら法人が向いているでしょう。
法人を設立するためには法務局に法人設立登記の申請手続きを行ったうえで税務署や地方自治体、年金事務所などさまざまな窓口に書類を提出する必要があります。また株式会社を設立する場合は定款の認証手続きも必要です。個人事業主の場合と比較すると、必要な手続きの数は、設立時もその後も多いといえます。
一人で開業して成功しやすい仕事の基準
一人で開業できる可能性が高い仕事の基準は、以下の通りです。
- 自分が持っているスキルでできるかどうか
- 低コストで始められるかどうか
- 場所が必要ないかどうか
- 需要・ニーズが存在するかどうか
- 事業を行う人脈を持っているかどうか
- 仕事を得る手段を持っているかどうか
- 継続的な収入が見込めるかどうか
- 利益率が高いかどうか
- フランチャイズなど、サポートしてくれる企業があるかどうか
開業をする際、場合によってはさまざまな費用がかかります。場所を選ばずなるべく低コストで、なおかつ社会的なニーズがある事業を始めるのがよいでしょう。また、自分の現在の状況を整理することも重要です。例えば開業しようか検討している事業について、自分が専門スキル・知識や十分な業界理解があることは必須といえます。また、仕事の獲得の目処は立てられるか、いざという時に頼れる人脈があるかどうかも整理しておきたいポイントでしょう。
これらの点を整理してみて、事業を問題なく継続できそうであれば成功する可能性は高いといえそうです。
一人で開業できる仕事のメリット・デメリット
一人で開業できる仕事には、それぞれメリットとデメリットがあります。どのようなメリットとデメリットがあるか確認していきましょう。
一人で開業できる仕事のメリット
まずは、一人で開業できる仕事のメリットを紹介していきます。一人で開業できる仕事のメリットは以下の3つです。
- 自分の裁量で仕事ができる
- プライベートの時間を確保しやすい
- 幅広いビジネススキルが身につく
それぞれ詳しくみていきましょう。
自分の裁量で仕事ができる
一人で開業できる仕事は、どれも自分の裁量で仕事をすることができます。一般の会社では、配属される部署や役職によって自分のやりたい仕事ができないこともあるでしょう。
一方で、一人で開業している場合は、職種や仕事内容を自分で決めることができます。自分のやりたいことを自由に選ぶことができるので、仕事にやりがいを感じる人も多いようです。
プライベートの時間を確保しやすい
一人で開業して仕事をする場合は、自分で仕事の量やタイミングを決めることも可能です。うまくスケジュールを調整することで、一般的な会社員よりもプライベートの時間を確保しやすくなります。
会社員のように就業時間や休暇日の指定がないため、始業や終業時間、休暇日を自分で調整することが可能です。
幅広いビジネススキルが身につく
幅広いビジネススキルが身につく点も一人で開業して仕事をするメリットです。開業して一人で仕事をする場合は、メインの業務だけでなく、事務や経理の仕事もこなす必要があります。仕事を見つける際は、営業スキルも必要です。
業務範囲は広くなりますが、ビジネスに必要なさまざまなスキルを身につけることができます。
一人で開業できる仕事のデメリット
次に、一人で開業できる仕事のデメリットを紹介していきます。一人で開業できる仕事のデメリットは以下の3つです。
- 事務作業なども一人で行う必要がある
- 責任が全て自分にかかる
- 社会的信用が確保しにくい
それぞれ詳しくみていきましょう。
事務作業なども一人で行う必要がある
さまざまなビジネススキルが身につく一方、事務作業などの細かな作業を一人で行う必要がある点はデメリットともいえます。多くの場合、自分の事業に必要な事務作業をしている時間には収益が発生しません。
請求書の準備や確定申告の作業など、一人で開業する仕事にはさまざまな事務作業が存在します。一人で開業する場合は、自分で行わなければならないことを念頭においておきましょう。
しかし、確定申告などの作業は税理士に依頼することも可能です。その分の時間を営業やメインの業務に充てられます。依頼するのに費用が発生する点には注意しましょう。
責任が全て自分にかかる
一人で開業して仕事をする場合は、仕事の責任が全て自分にかかってしまいます。契約違反や納品物に不備があった際は、自分で責任を負わなくてはなりません。場合によっては、賠償金などが発生することもあります。
一人が開業している場合は、賠償金を支払うのも自分自身です。全ての責任を負う必要があるので、契約や業務内容は事前に把握して、不備が無いように対応しましょう。
社会的信用が確保しにくい
一人で開業して仕事をする人は、サラリーマンや公務員と比べて社会的信用が低い傾向があります。経済状況の悪化や業界に不況が訪れた際の悪影響を一般的な企業よりも受けやすく、収入が不安定であると判断されるためです。
社会的信用が低いと、クレジットカードやローン、賃貸物件を借りる際の審査が不利になってしまうことがあります。もちろん、審査が不利になるだけであり、一切できないわけではありません。収入を安定させ正しく確定申告を行うことで、社会的信用を徐々に高められます。
一人の開業に向いている人
ここまで一人で開業できる仕事の種類を見てきました。この記事を読んでいる方のなかには、「どのような人が一人の開業に向いているの?」と考えている方もいるでしょう。ここでは、一人の開業に向いている人を、3つのトピックに分けて解説します。
チャレンジ精神がある人
一人の開業に向いている人は、チャレンジ精神がある人です。会社員としてする仕事とは異なり、開業をした後は、幅広い仕事を自分でこなさなければなりません。
会社という後ろ盾が存在しないため、人によっては大きなプレッシャーがかかるでしょう。それでも「自分の信じた道を突き進みたい」という、チャレンジ精神がある人こそ、一人の開業に向いています。
広く自分でこなせる人
さまざまな作業を広く自分でこなせる人も、一人の開業に向いています。一旦開業をすると、今までは会社の営業に取ってきてもらっていた仕事も、自分で獲得しなければなりません。
また開業をすれば、所得税を自分で納める必要があるため、経理のような事務作業も求められます。会社員の時よりも、要求されるスキルが増えるため、マルチにこなせる能力が必要になるでしょう。
責任感が強い人
一人で開業をするとなると、責任感の強さも重要になります。会社員としてミス・不祥事を起こせば、自分の責任になるとともに、会社(使用者)側にも責任が問われます。
しかし自分で開業をしている場合は、全ての責任が自分に降りかかります。会社員としての責任も重いものですが、開業をする際はそれ以上の責任感の強さが求められるでしょう。
一人の開業で成功するために必要な4つのスキル
事業で成功するためには、多彩なスキルが必要になります。ここでは、コミュニケーションスキルや自己管理スキルなど、一人の開業で成功するために必要なスキルを4つ解説します。
1.コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、仕事の基礎であり、最も重要なスキルの1つといっても過言ではありません。会社員にもコミュニケーションスキルは必要ですが、一人で開業をする場合は、「人脈を作る」という意味でも必須のスキルになります。
一人で開業をするなら、「いかに仕事に直結する人脈を作れるか」がとても重要です。そういう意味でも、コミュニケーションスキルは外せないでしょう。
2.業界・業種の専門スキル
業界や業種の専門スキルも必要です。極端な話ではありますが、プログラミングスクールの講師をする場合、プログラミングの専門スキルがなければ人に教えられません。
YouTubeの動画編集者になる場合も、編集ソフトを使いこなせなければ仕事になりません。顧客にとって必要な価値を提供するために、その業務に必要な専門スキルを身につけておく必要があります。
3.自己管理スキル
一人で開業して成功するためには、自己管理スキルも重要です。会社員として働く場合は、出勤時間や業務内容が決められていることも多く、良くも悪くも「働かされる環境」が整っています。
しかし自分で開業をする場合、手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けてしまいます。徹底した自己管理ができない人には向いていないでしょう。
4.営業力・交渉力
仕事を獲得するために、営業力や交渉力も重要になります。一人で開業をする場合、自分で仕事を取ってこなければなりません。そしてその仕事の獲得を左右するのが営業力です。
また仕事を続けていくうちに、「単価を上げたい」と考えることもあるでしょう。そのようなシチュエーションでは交渉力が役立ちます。
一人で開業できる仕事を選ぶ際に注意したい5つのポイント
一人で開業できる仕事を選ぶ際は、関連法や資金など、さまざまなチェックポイントがあります。最後に、開業時や仕事を選ぶ際に注意しておきたいポイントを、5つのトピックに分けて解説します。
1.関連法を確認する
事業内容によって異なりますが、上で挙げた仕事に関わる法律には、以下のようなものがあります。
- 特定商取引法
- 電子契約法
- 医薬品医療機器等法(旧薬事法)
- 著作権法
- 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
特定商取引法は、主にネットショップ運営などを考えている人に当てはまります。電子契約法も、「商品購入のボタンを押した後、ユーザーの入力内容を必ず表示する」など、特定商取引法と同様ネットショップに関連する法律です。
医薬品医療機器等法(旧薬事法)は、化粧品や健康食品を取り扱う際に、医薬品と思わせるような表記を禁止する法律です。Webメディアで記事の執筆を行う場合は、こちらに注意する必要があります。著作権法や景品表示法も同様で、サイトやメディアを運営する際に必ずチェックしておきたい法律です。
2.関連作業を行う必要がある
開業をする場合、コア業務とは別の業務をこなさなければなりません。会社は「営業であれば営業の部署」「経理であれば経理の部署」のように、業務によって部署が分かれているのが基本です。営業であれば営業に集中できるため、ほかの雑務をこなす必要がありません。
しかし個人事業主の場合、本業をやりつつ営業をこなし、確定申告に備えて経理の作業をする必要があります。関連作業が多彩であり、マルチタスクの能力が求められます。
3.資金の備えを用意する
開業をする際は、一時的に収入がなくなったり、少なくなったりする場合があるので注意しましょう。特に店舗開業系やフランチャイズ系は、初期費用も高くつきます。
開業を考えている人は、初期費用のための資金はもちろん、しばらく収入がなくても生活していけるだけのお金を貯めておきましょう。
4.各種手続きを行う
各種手続きを行う必要があることにも注意しましょう。開業をする場合、「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を税務署に提出する必要があります。そして会社員とは異なり、所得があった年の翌年2月〜3月には、確定申告をしなければなりません。
確定申告は、税金に関する申告手続きです。収入や経費などの情報を基礎として、自分が支払うべき税額を計算して申告します。そのため、普段の費用の発生などを帳簿につけておく必要があります。
開業をした場合は、国民年金や健康保険の加入手続きも必須です。会社員であれば、厚生年金は会社との折半であり、給料から天引きされます。しかし個人事業主には厚生年金がなく、国民年金保険の支払いも自分でしなければなりません。
5.全て自己責任の意識を持つ
会社員とは異なり、個人で事業をする場合は全てが自己責任になるので注意しましょう。個人事業主・フリーランスは、組織にとらわれない自由な働き方に見えますが、自由だからこそ責任が大きくなる面もあります。
目の前の物事に貪欲に取り組む姿勢や、実行力・決断力が求められる場面も多いでしょう。自己管理を徹底し、「全て自己責任である」という意識を忘れないのが重要です。
まとめ
本記事では、一人で開業できる仕事について、「資格不要でスキルを活かせる仕事」から「専門資格が役立つ仕事」まで幅広く紹介しました。さらに、一人で開業して成功しやすい仕事の基準やメリット・デメリット、一人で開業する際に必要なスキルや注意点についても詳しく解説しました。
一人開業は、自分の裁量で仕事ができる自由度や、プライベートとの両立がしやすい点が大きな魅力です。一方で、事務作業や責任が全て自分にかかる点など、デメリットもあります。自分に向いているかどうかを検討し、準備を整えたうえでスタートするのがおすすめです。
IT/Web分野で一人での開業を考えている方には、ITプロパートナーズがおすすめです。「週2~3日から稼働可能」「フルリモート可」など柔軟な働き方が可能な案件を豊富に取り扱っており、希望やスキル・経験をヒアリングしたうえで、マッチする案件を紹介。一人で開業するフリーランスの方をサポートします。
- 高額案件を定期的に紹介してもらいたい
- 週2日、リモートワークなど自由な働き方をしてみたい
- 面倒な契約周りはまかせて仕事に集中したい
そのような方はぜひ、ITプロパートナーズをご利用ください!
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