清水理史の「イニシャルB」
PCで使うにはどれを選べばいい? 携帯電話事業者の公衆無線LANサービスの現状
2022年5月16日 06:00
外出先での通信手段として確保しておきたいのが、駅やファストフード店などで手軽に使える公衆無線LANだ。
スマートフォンであれば、携帯電話事業者が提供するサービスを利用することで、エリアに入れば自動的に接続されるのが一般的だが、PCではそうはいかない。
サービスの刷新が進められた各携帯電話事業者の公衆無線LANを、PCで活用するための方法を紹介しよう。
敷居が下がったがPCには優しくなくなった携帯電話事業者の公衆無線LANサービス
スマートフォンを利用している限り、公衆無線LANの利用は楽だ。SIM認証が主流になったおかげで、エリアに入れば携帯電話事業者が提供するサービスへ自動的につながり、意識せずにWi-Fi経由でインターネットに接続できる。
また、NTTドコモやauでは、契約の敷居も下がっており、回線契約者向けだった従来型のサービスから、自社のポイントサービスや決済サービスに加入すれば他社回線利用者でも接続できる形態へ、公衆無線LANサービスをリニューアルしている。
これにより、事前の登録は必要になるものの、携帯電話事業者が提供する公衆無線LANを誰もが手軽に利用できるようになった。
しかし、このサービスをPCから利用しようとすると話が変わってくる。携帯電話事業者が提供する公衆無線LANは、あくまでも主役はスマートフォンであって、PCからの利用はあまり想定されていない。
自動接続もできなくはないが、IEEE802.1x認証の設定が必要だし、そもそもPCからサービス自体を利用できない場合もある。
リモートワークが普及した影響で、一周してPCから利用したいといニーズが高まりつつあるものの、サービス側はPCからの利用をあまり想定していないという、アンマッチな状況となっている。
もちろん、ほかのフリーWi-Fiを使うという手もあるが、スマートフォンの感覚と同じく手軽かつ安全に、携帯電話事業者の公衆無線LANサービスを使えるのが理想だろう。
携帯電話事業者の公衆無線LANサービスまとめ
それでは現状、携帯電話事業者の公衆無線LANサービスはどのようになっているのだろうか? PCからの利用という視点に限定して、各サービスをまとめてみた。なお、スマートフォンからの利用とはサービスやURLが異なる場合もある点には注意して欲しい。
au
2020年9月1日から、従来のau Wi-Fi spotの後継サービスである「au Wi-Fiアクセス」をスタートしていて、auの回線契約がなくても利用可能だ。
au Payユーザー向けのサービスである「au Wi-Fi アクセス スタンダードモード」が一般的だが、こちらはPCからの利用は不可。PCから利用する場合は、au スマートパスプレミアムユーザー向けの「au Wi-Fi アクセス セキュリティモード」サービスか、公衆無線LANサービスの提供元であるWi2のサービスを契約する必要がある。
- プラン1:au Wi-Fi アクセス スタンダードモード
URL:https://au.wi2.ne.jp/aupay/
料金:0円
利用条件:au Pay契約
手続き:PCからの利用不可
- プラン2:au Wi-Fi アクセス セキュリティモード
URL:https://au.wi2.ne.jp/smartpass/
料金:0円
利用条件:auスマートパスプレミアム契約(月額548円)
手続き:IDの確認とパスワード登録(https://au.wi2.ne.jp/smartpass/multidevice2/)
PCからの接続方法:https://wi2.co.jp/jp/4528/
- プラン3:Wi2 300 for auマルチデバイスサービス
URL:https://service2.wi2.ne.jp/wi2was/userAgreement?crplanid=aumdpay
料金:対象プラン契約者0円、対象プラン以外330円(対象プランhttps://www.au.com/mobile/service/wifi/wifi-spot/#anc03)
手続き:申し込み、IDとパスワード登録
PCからの接続方法:上記URLの「ご利用手順」参照
UQ mobile
独自の公衆無線LANサービスは提供していないため、au Wi-Fiアクセスまたは他社の公衆無線LANサービスの利用を検討。
povo
独自の公衆無線LANサービスは提供していないため、au Wi-Fiアクセスまたは他社の公衆無線LANサービスの利用を検討。
NTTドコモ(ahamo含む)
2020年3月25日から「d Wi-Fi」を開始していて、従来の「docomo Wi-Fi」は2022年2月8日終了済みだ。NTTドコモの回線契約がなくても、dポイントクラブ会員になればサービスを利用でき、PCからの利用も可能だ。
- プラン1:d Wi-Fi
URL:https://www.docomo.ne.jp/service/d_wifi/
料金:0円
利用条件:dポイントクラブ会員
手続き:dアカウントのID確認とパスワード登録(https://id.smt.docomo.ne.jp/src/utility/idpwchange.html)
PCからの接続方法:https://www.docomo.ne.jp/service/d_wifi/usage_pc.html?icid=CRP_SER_d_wifi_txt_to_CRP_SER_d_wifi_usage_pc&d=1&p=3,6
ソフトバンク
ソフトバンクWi-Fiスポットを提供中。PC向けのサービスとしては、回線契約者向けの「ソフトバンクWi-Fiスポット」と、1日単位で誰でも契約できる「ソフトバンクWi-Fiスポット(EX)」プランが用意されている。
ISP経由で提供される「BBモバイルポイント(おでかけアクセス)」も存在するが、現在は契約を停止しているISPが多い。ソフトバンクの固定回線ユーザーは月額319円で利用可能だ。
- プラン1:ソフトバンクWi-Fiスポット
URL:https://www.softbank.jp/mobile/network/wifispot/
料金:対象プラン契約者0円、対象プラン以外513.7円(料金詳細:https://www.softbank.jp/mobile/network/wifispot/price/)
利用条件:回線契約、通信モジュール内蔵PC(SIM認証必須)
手続き:不要
PCからの接続方法:https://www.softbank.jp/biz/set/data/mobile/lineup/pc/pdf/use_wifi.pdf(PDF)
- プラン2:ソフトバンクWi-Fiスポット(EX)
URL:https://exsupport.sbwifi.jp/service_web/index_pc.html
料金:514円(1日)
利用条件:なし
手続き:ユーザー登録、サービス購入(https://exsupport.sbwifi.jp/service_web/index_pc.html)
PCからの接続方法:専用SSID(SWS1day利用)https://exsupport.sbwifi.jp/service_web/process/pc/index.html
ワイモバイル
独自の公衆無線LANサービスは提供していないため、ソフトバンクWi-Fiスポットまたは他社の公衆無線LANサービスの利用を検討。
LINEMO
独自の公衆無線LANサービスは提供していないため、au Wi-Fiアクセスまたは他社の公衆無線LANサービスの利用を検討。NTT BBのSecure Wi-Fiを使ったWi-Fiオプション(月額200円)は、2021年6月30日でサービスを終了している。
楽天モバイル
- プラン1:楽天モバイルWi-Fi by エコネクト
URL:https://mobile.rakuten.co.jp/fee/option/wifi/
料金:398円
利用条件:回線契約
手続き:オプション契約、Wi-Fi IDとパスワード登録
PCからの接続方法:https://mobile.rakuten.co.jp/fee/option/wifi/
d Wi-Fiの汎用性が高い
このように、現状、携帯電話事業者が提供する公衆無線LANサービスは、PCから利用するには敷居が高い。加入している携帯電話事業者を考慮した場合、以下のようなケースであれば、PCからも公衆無線LANサービスを追加料金なしの無料で利用することが可能だ。
無料でPCから公衆無線LANサービスを利用できる条件
- auのスマートパスプレミアムに加入
→au Wi-Fiアクセス セキュリティモード - dポイントクラブに加入
→d Wi-Fi - Softbank契約かつ対象プラン加入かつLTE内蔵PCを利用
→ソフトバンクWi-Fiスポット
注目は、やはり「d Wi-Fi」だろう。dポイントクラブに加入するだけと敷居が低い上、PCからの利用制限もなく、費用負担なく無料で利用できる。PCでIEEE 802.1x認証の設定をしておけば、エリアに入るだけで自動接続も可能だ。
外出先でPCから公衆無線LANを利用する可能性がある場合は、スマートフォン契約の回線事業者に関係なく、このサービスを登録しておく価値があるだろう。
前述したように、リモートワークでPCから公衆無線LANを利用したいというケースも増えているので、ほかの携帯電話事業者にもぜひPC向けに公衆無線LANを手軽に利用できるような改善を検討して欲しいところだ。