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人間の欲がある限り…=投資銀行(のような金融)はいつか復活
 モルスタやゴールドマンが銀行化してから、投資銀行の終焉とか言われている。じゃあ、二度と投資銀行(のような金融)は出てこないのか、といえばそうではないだろう。今回の金融危機を経て人々が「儲けたい」という欲を捨てたなら別だが、「儲けたい(orリターンを得たい)」という欲がある限り、いつかまた利益を極大化を目指す金融業は復活する。それが現在の「投資銀行」という形を取っているかどうかは別だが、似たような金融業が台頭してくるものであろう。
 もともと「投資銀行」の収益は市場連動しており、収益の振れはかなり激しい。儲かるときはメチャ儲かり、その一方でメチャ損する。今回はメチャ儲けからメチャ損への変動が激しく、落ち方があまりに激しかったため、リーマンとか(当局のハンドリングミス?もあり)ショック死した。モルスタやゴールドマンはそのあおりでマーケットから危ないと思われ、仕方がないので銀行化というシェルターを必要とした。
 市場経済にはバブルが付き物。古くはチューリップ相場があった。近年ではわが国でアセットバブルが発生した。最近ではテックバブルがあり、そして今回のサブプライムである。バブルが起きる本質は「儲けたい」という人間の欲望があるからではなかろうか。預金は投資とは言わないけれども、元本は維持し、ちょっぴり利息も欲しい、という預金者らの「欲」がある。銀行はこの「欲」を満たす以上のリターンを稼ぐ必要があり、その行動が行き過ぎるとバブルが起きる。
 バブルが起き始める、ないしは起きているとき、「おかしい」とは思っても、現に価格がどんどん上がってみんなが儲かった儲かったと喜び、消費もブームが起きてマクロ的に好調な状態が続けば、「おかしい」という警鐘は正論であっても、かき消されやすい。世の中の目の色が変わった状態では、色の変わらない少数派は異端であり、人は一般的になるべく稼ぐことが義務付けられる以上、目の色の変わった流れに乗らざるを得ない。こういうときの最善の策は、流れに乗り、流れが止まる寸前に飛び降りる(バブルピークでの利食い)ことだが、まあ、そんな芸当は難しいものである。
 欧米金融危機の終息は見えないが、いつかは底を打ち、回復局面に向かうだろう。そのとき、人々が「儲けたい」という気持ちを取り戻し、高いリターンを求めてマネーを動かしていけば、それに応えようする金融ビジネスが活況となり、それを投資銀行というかどうかは別にして、活況が行き過ぎればまたバブルが起きる。そういうものであろう。
 二度とバブルは御免だと思うなら、金銭欲を捨てる必要がある。これは無理でしょうね。いつになっても金融詐欺が横行するのは、ある意味、人々の儲け欲が健在だから。がんじがらめの規制でリターン極大化に歯止めをかけたら…。その時は資産効果による消費拡大は見込めないので、全般に低成長が続くことになる。
 逆説的だが、投資銀行(orそのようなもの)の復活しない世界は経済がパッとしないことを意味する。これを歓迎するのは中央銀行だけかもしれない(苦笑)。
by bank.of.japan | 2008-09-29 22:17 | 金融システム | Comments(14)
Commented by 30兆円 at 2008-09-29 23:16
その国ばかりか、世界経済をも人質にしたビジネスモデルは、究極のビジネスモデルでしたね。今、起こっていることを見ていると、金融業は準公務員でいいのではないかとすら思えてきてしまいます。しかし、逞しいき投資銀行軍団は、鎧を変えて登場するのでしょうね。
Commented by PK at 2008-09-29 23:33
前に、北野一さんの本をお奨めにしたのは、このバブル乱発後の世界のことに関連しているし、バブルを先に経験した日本とか北欧とか見ると、違うと、やはり経験前と経験後は思うんですよね。宇沢爺の社会的共通資本とか頭の片隅にあるのは、北欧の現状を絡めて、バブル後の進路を漠然と考えてなんですけどね。
Commented by 小野(東京都 港区) at 2008-09-29 23:40
甚だ唐突ですが、思い違い等有るかもしれませんが、江戸時代。大岡越前は貨幣改鋳
平たく言うと貨幣安く多く作るって事も確か行なってたと思う。さしずめ今の金融緩和?
大岡採用した将軍吉宗自体そうした方針ではなかったか?だが結局価格高騰激しくなり
今の様な金利も無い時代今度は米の供給増やした。この新田開発の方が大岡は有名か。また
吉宗も、最初からそうだった気もするがこの後益々更に倹約で有名になった。その引締めで
貯蓄タンス預金消費低迷って感じになった為、その後の田沼時代は積極財政に転じた。
だが
寛政の改革(松平定信 しかも吉宗を理想とし)、天保の改革(水野忠邦)でまた再び緊縮
財政・・・天保の改革で改革に批判的で規制緩和を図ってた人物と言われてるのが御存知
遠山の金さん遠山金四郎景元。芝居小屋廃止されようとしてた際これに反対しそれもあって
後世ああしてお芝居その他で「名奉行」と賞賛され続ける事になったらしい。また、その前
の松平定信の時代「人足寄場」設立した鬼平こと長谷川平蔵は、その設立資金は何と
「相場」(米相場か銭相場)で得た!
Commented by 小野(東京都 港区) at 2008-09-29 23:40
定信に予算増額訴え出たがそれが受け入られずやむを得ずって事だったらしいが。

(しかもこの2人時代こそ違え何と同じ場所に住んだ(笑)。マジ!)・・・僕は・・・リターン
も勿論ですが、伊藤忠丹羽会長~小泉元総理で少々ふれさせて頂いた様な「自由」も重要(?)

ではないかという気もします。新奇、目新しいものイコール全て成功等と言う気も毛頭無い
ですが、利益追求と共に自由も新たな展開には不可欠じゃないのか?この投資銀行(の今後?)
のエントリーを拝読させて頂きそうした事をふと考えてしまいました。新たな選択の自由の
その結果は、少なくとも成功後誰しもが追求する前は、悪くてせいぜい自分自身の破滅って
程度でしょうし(笑)。

江戸時代だけでなく室町時代も面白い(?)足利義満は中国(明)から銭を輸入してた。今の
ドルの様な感じ?
Commented by 小野(東京都 港区) at 2008-09-30 00:23
誰しもが追求 → 誰しもが追従、等と書くべきだったかもしれません。ようは、

金融緩和積極財政緊縮財政(&、外貨準備?)、等々は、 意識無意識はともかく
踏襲されくりかえされる(?)様な事なのかも もしかしたら、しれないが、一方、

鬼平や遠山の金さんの様な、たとえ踏襲も何にもされなくとも(?)、にも関わら
ず、社会に貢献もし、支持も大いにされた、なんていうような事も、じつは歴史上

幾度も、繰返されてたかもしれないんではないか?そうしたいわば「超刹那的な事」
も、歴史上、実は、数多く、 存在してたんではないか。そういった事が、

このエントリーを拝見してたらなんだかふと思い浮んでしまったんです。
( 公務員、準公務員でも今後あって良いんじゃないか?、なんて事も・・・?? )
Commented by かるパース at 2008-09-30 00:24
そうなんです。常に相場を中心に市場と経済を動かす人間がいないと、経済の躍動感は生まれせん。いけないのはそういった存在を神の代理人のように言う人たちがいることです。
彼らは市場の所詮、市場の失敗の一要素でしかないということを、そのとき為政者、識者がどう認識するかです。
Commented by 飛車 at 2008-09-30 00:51
中のプレイヤーの人の視点は「儲かるんなら乗り遅れるな」でよいのですが、中央銀行のような大極的視点の人はそれじゃいかんのかも知れませんね。皆が「儲かる現状」を肯定しているときに、一人否定してかかるような所が求められるのだと思います。日本では1987~88年に利上げと緊縮財政を主張するような。でも、無理だと言っちゃいかんのだと思う次第。外野の人間だから、敢えてそう言います。

思い起こすと日本のバブルも今回のアメリカの問題も、根っこは「地価は上がり続ける」という幻想が、いつか「地価が上がり続けないとヤバイ」になっていったように思います。どこかのタイミングでの判断が必要だったのでしょうね。
Commented by シギー at 2008-09-30 12:30
貴エントリーの人の欲などは全くの同感として拝見しました。
マーチャント・バンクの言葉が好まれた頃に
同ビジネスにかかわり組織が変更になりインベストメント・バンク
になった経験を勤務した会社で二度しました。Invesrtment Bank の
中にMerchant Banking と言う部門ができ
ビジネスの幅は違っても名前が復活したことを知り嬉しかった
です。商業銀行化してもビジネスのコアは
投資銀行業務になると思います。過去に著名な
プレイヤーはブティック・インベストメント・バンク
と言われた会社をつくり現在はヘッジファンド、
Private Equityが活躍していますね。
MS、GSは得意のソリューションを自ら
行い衣は変えても実をとるという戦略でしょう。
低所得へのサブ・プライム・ローンがきっかけ
で高所得のインベストメント・バンクが破綻、
再編成とは皮肉だなあと思いました。
Commented by 初心者 at 2008-09-30 14:45
まったくおっしゃる通りで、自らの欲の重みにつぶされちゃう人が出るのも、人の性。仕方がないでは済まされないかもしれませんが、やはり仕方がないとしか言いようがないのでは?
10年後にはまた別のバブル(環境ビジネス?新エネルギー?)が起きてますよ、きっと。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-30 19:39
30兆円さん、どうもです。確かに準公務員化した方がいいという思いも分かります。ただ、それはそれでうまくいかどうかもよく分からないです。多少とも賢くなった新たな投資銀行の出現を待つしかないでしょう。

PKさん、どうもです。バブル崩壊による帳簿上の焦土化のあと何が生まれるのか。見守りたいと思います。

小野さん、どうもです。自由を制限すればいびつな形になるので、可能な限り規制はかけないほうがいいと思います。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-30 19:49
かるパースさん、どうもです。そうですね。市場経済は重視しても、市場は失敗する、という前提は忘れてはいけないです。

飛車さん、どうもです。ご指摘のように第三者的な立場としての中央銀行の存在意義は必要です。ただ、バブルは許さないという義務感から引き締め過ぎるのは勘弁かな、という気はします。

シギーさん、どうもです。金融業の変遷はいろいろであり、今回の危機を経て新たなモデルが構築されるのだろうと思います。人々が高いリターンを得たいという欲を持つ限り、それに応えるビジネスは必然的に発生するものではないかと思います。「バルジブラケット」が現在のような苦境に陥るとは予想外でしたが…。

初心者さん、どうもです。金銭欲が人間の本質的な性であるなら、またバブルは違った形でおきるものであろうと思います。これをうまく制御する方法が見つかればノーベル賞ものでしょう。
初心者さん、どうもです。
Commented by dell at 2008-09-30 20:19
1987-88年の利上げは無理でしょう。円高とブラックマンデーでとてもそんなことをできる状況ではなかったし、そんなことをするべきでもなかったと思いますよ。物価も安定してましたから。
Commented by Teddy at 2008-10-01 13:39
ところで、日本には、世界に冠たるインベストメント・バンク、野村證券が残っているのでは・・・
既存のIBを買ったりしたところは、×30のレバレッジによるアップサイドが期待できなくなって、人材をHFやPEFに引き抜かれないで済むのかどうか、ですね。とはいえ、オバマ=バーニー・フランクのコンビとなれば、その非伝統的金融機関へも規制の網がかぶさり、いかな人材にしても金融というフィールドでは逃げ場がなくなるのでしょう。
Commented by bank.of.japan at 2008-10-02 00:29
dellさん、どうもです。利上げの正当化は難しい環境であったようには思われます。マネーサプライの急増をどう評価するか鍵だったのかもしれません、振り返ってした論評できませんが。

Teddyさん、どうもです。野村證券は、元気があったころでもで、欧米メディアではstock brokerという枕詞が付いたように記憶します。今は投資銀行であること自体がリスクなので、無理する必要はないと思います。
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