三省堂神保町本店、建て替えのため営業終了 多くの客が別れ惜しむ 25年に再開予定
スポーツ報知
東京・千代田区の三省堂書店神保町本店が8日、現店舗での営業を終了した。
営業終了予定の午後8時を過ぎてもレジに並ぶ人の波は絶えず、すべての客が購入をすませたのは午後8時22分ごろ。店の前は“最後”を見届けようと、多くの客でごった返した。
「映画館に映画を見に来て、よくここも来てたから、そうか今日で終わりかと今知ったところです」。神奈川県在住の田中司さん(61)は当時東大文学部在学中の頃から店を訪れているといい、「フランス文学をやっていたので、海外文学の翻訳書などを購入してました」。三省堂の印象として「神保町の中心、良心的な本屋だな」とし、「品揃えも充実してたし、全体的な雰囲気など目に見えないものが感じられる本屋だなあと思います」と語った。
渋谷区在住の今田光子さん(88)は終戦直後から店を利用していた。「当時は本当に本屋が少なかった。闇市にも古本屋があったくらいですから。新刊書を扱う本屋が少なかった。同級生とひと月に一回ほど三省堂にきてお金を出し合って本を買うということを長いことやってました」と懐かしんだ。「地理学みたいなな本が好き。今日は思い切って買いました」と笑った。
現店舗は1981年3月に創業100周年記念事業として誕生。建設から約40年が経過し、建物設備の老朽化が進んだことから建て替えが決まった。立て替え工事中は6月1日から近隣の仮店舗で営業。新店舗での営業再開は2025年を予定している。