「サイバーエージェント」J2町田を買収 クラブと大筋合意 20年J1昇格へ追い風
IT大手「サイバーエージェント」(東京・渋谷)がサッカー・Jリーグ2部のFC町田ゼルビア(東京・町田市)の経営権を取得する方針を固めたことが27日、分かった。同社とクラブが大筋で合意した。
複数の関係者によると、サイバー側は10億円以上でクラブ保有株の過半数を取得し、2019年からチーム運営に本格的に関わる。クラブ強化費など資金面をバックアップするとともに、社員らも派遣する方針。今後は、チーム編成などについても協議を続けていく。年内にも正式発表される見通しだ。同社では、初めてとなるプロスポーツへの本格的な参入となる。
サイバーエージェントは著名人に人気がある「アメブロ」やネット広告を展開。売り上げは3713億円(連結、17年9月期)で、営業利益は307億円と業績は好調だ。事業の1つであるインターネット放送「Abema TV」では、スポーツチャンネルを増設するなど、事業の多角化を図っている。スポーツとITの親和性を重視しており、FC町田の活動は「地域密着の理想的なモデル」だったという。町田の持つ育成システム、J2上位を争う実力などを考慮し、クラブ側と交渉を続けていた。
同社は2006年3月に、J2・東京V(当時・東京ヴェルディ1969)を運営する日本テレビフットボールクラブとの業務・資本提携を発表。日テレに次ぐ2位株主となっていたが、成績低迷などで2年で撤退していた。また子会社の「Cygames」は15年7月からJ1鳥栖のスポンサーに。昨年7月には伊セリエA・ユベントスのユニホームスポンサーになっている。
この日、J1ライセンスを交付されなかった町田にとって、サイバーの豊富な資金力はJ1昇格への大きな原動力になることが期待される。
◆町田ゼルビア 1977年設立のFC町田のトップチームとして、89年に創設。97年に町田ゼルビアに改称。09年にJFLに昇格し、12年にはJ2昇格。その後はJFL、J3を経て、16年にJ2に再昇格。主なOBに元日本代表のMF戸田和幸。監督は相馬直樹。
◆サイバーエージェント 1998年3月、設立。00年3月に東証1部上場。ネット広告、スマホのゲームやサービスを展開。東京・渋谷を拠点とし、16年3月から始まった「Abema TV」は音楽、スポーツ、マージャン、将棋など幅広いジャンルを扱う。従業員数4902人(連結)。
◆IT企業とスポーツ
▼ソフトバンク 04年11月、福岡ダイエーホークスを買収。Bリーグでは、120億円規模のスポンサー契約を締結。スマホなどで試合を生中継する。
▼楽天 球界再編問題に揺れる中、04年11月、東北楽天ゴールデンイーグルスとして球界参入。また14年12月には、Jリーグ神戸の運営会社の全株を取得。今季は元スペイン代表MFイニエスタを獲得した。FCバルセロナの胸スポンサーにもなっている。
▼DeNA 11年12月、球界参入。13年4月には「エスビー食品陸上競技部」の選手、スタッフらを受け入れる形で「DeNAランニングクラブ」を設立した。また、今季からBリーグ「川崎ブレイブサンダース」の運営も開始。
▼ミクシィ FC東京とスポンサー契約を締結したほか、Bリーグ「サンロッカーズ渋谷」、「千葉ジェッツふなばし」などを支援。今後、スポーツ事業を中心に拡大していく方針。